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痛みーシグナルー

チクチクと刺すように
ズキズキと脈打つように
じわじわと心を削ぐように

痛みは、私達のもとにやって来る。
痛み。
それは、体が放つシグナル。

痛みを感じれば、私達は不快になる。
頭が痛ければ、頭を抱える。
腹が痛ければ、お腹をさする。
喉が痛ければ、温かいお茶を。

痛みを癒す手立てがないものかと、必死に探って答えを出す。
痛みはシグナル。
シグナルとは、信号だ。

青、黄、赤。
交通信号には、それぞれ色ごとに意味がある。
青は前進。
赤は停止。
黄はもうすぐ赤に変わる合図。

痛みのシグナルは黄色信号。
ズキンズキンと感じるのは、もうすぐなにかがやってくるという前触れ。

そのシグナルを見逃さないように、痛みは私達に教えてくれる。
痛みはシグナル。
信号が点滅する時、私達の警戒心は急激に膨らむ。
これから訪れる「なにか」に身構える。

そう、それは痛みだけではない。
様々な形で現れる、シグナル。

恋の予兆は、心臓の鼓動。
心臓が早鐘を打つ、恋のシグナル。

失敗を恐れると、流れる冷や汗。
手に汗握る、不安のシグナル。

なにかが起きる前触れというのは、知らず知らず私達の身の回りに溢れているものだ。

津波が起きる前に、鳥たちが大移動をするように。
海でなにかが起きる前には、魚が大量死するように。
火山の噴火に伴って、地震が頻発するように。

小さな変化は、ときに大きな渦を伴って大嵐となる。
時流を読む。
流れに逆らうことは、賢いとは言えない。
時流を読むべきであろう。

物事の流れ、ときの流れ、時代が巡り巡っていく先に、私達は流されて生きていく。
私がこうして物思いにふけり、それをせっせと書き留めているのも、時代の流れがそうさせているに過ぎない。

行き着く先にはなにがあるのか。
そんなことを考える。

痛みはシグナル。
胃が痛む。
心が痛む。
築き上げてきたものが、ガラガラと崩れる音。

私はきっと気づいていた。
もう、長くは持たないだろうと。
それでも諦めたくなかったのだと。

今、この時。
私になにができるのかを考える。
灯ってしまった黄色信号。
再び、みたび、押し寄せる不安の波。
きっと、決断を迫られているんだ。

そしてその時は、おそらく遠くない。
ドクンドクンと、脈打つシグナル。
今、私は生きている。

生のシグナル。
生きる証。
私はここに生きている。

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