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おねしょしたって、かわいいこ。

娘は毎朝、トイレに行きたくなると目を覚ます。
起床時間は6時半。
トイレに起きるのは、それより少し前。

だいたい6時前後だろうか。
もそもそ布団で身じろぎする音。
やがてむっくり、冬眠から目覚めた子グマのような体で娘が布団から顔を出す。

「…ママ、おしっこ」

今朝もそうだ。
朝イチのトイレは、私が一緒じゃないと嫌がる娘。

ところが、トイレに入ってもぞもぞお尻を気にしている。

「どうしたの?」
尋ねると、口を尖らせてぽそっと告げられる言葉。

「…なんか、濡れてる」

あちゃー、と思った。
めったに無いけど、漏らしちゃったんだな。
ただまあ、はっきり言って大した話ではない。

別に洗濯すればいいし、本人は悪気もなければ反省もしている。
用を足して、パンツとズボンを取り替えて、二度寝コースへ。
娘の布団はくっきりと「やらかした跡」がついていたので、私の布団に二人でもぞもぞ潜り込んだ。

二度寝のときは、ママの布団に入るものと思っているらしい。
娘は抵抗なく布団に入って、そのまますやすや眠ってしまった。

抱きまくら代わりの子グマちゃん。
ほこほこぬくもりを分かち合いながら、私もすっかり寝坊してしまった。

幸いお天気だった今日。
朝からブルーな日ではあったけど、お天道様に布団を晒すことでなんとかお許しいただこう。

ときに、娘はかなりヘビーな花粉症持ちなので、この時期布団を外干しするのはNG。
しかし、今日はことがことなので、久々の外干し。

冬用のもこもこ敷パッド、シーツ、敷布団を日光にあてて、風通しした。

半日後、ほわっほわに膨れ上がった敷布団。
敷パッドもシーツもよく乾いた。

花粉を良くはたき落として、部屋に入れる。

よし。
ここからがさらにひと仕事。

娘にとっては、布団に花粉がついていたら、呼吸困難を引き起こしかねない一大事。
今までも、寝ている間に鼻が詰まって、鼻水と痰から咳を誘発し、眠れなかったこと、嘔吐したことは何度もある。

それを思うと一切、手抜きは許されない。
敷布団を広げ、両面まんべんなくクリーナーで掃除をする。
同じく、シーツを掛けてからまたクリーナーをかける。
敷パッドも同様に。

計四回、布団の上を行ったり来たりして、ようやく完成。
私にはまったくわからないけど、これで娘が安眠できるであろうことを願って。

ひと仕事終えて、良し良しと我ながら満足。
朝から始まったおねしょにまつわるもろもろは、これで一段落したわけだ。

育児にトラブルはつきもの。
そして、子供は失敗を繰り返して成長するものだ。
そう思うから、この件に関して私は娘をまったく責めなかった。

だって、彼女に非はない。

寝ている間におねしょしてしまうのは、自分の力でコントロールできない。
おねしょが恥ずべきことだというのは、彼女もよく理解している。

そして、それを他の家族には知られたくないということも。
6歳児だって、いっちょ前に自我があり、プライドがあり、失敗を恥じる心を持っている。

夜。
ほっこりふわふわの布団を見て、娘はニコニコ微笑んだ。
言外に『良かった』と、安堵の色をにじませて。

ざっくりと整えておいた布団を懸命に整えて、お気に入りのぬいぐるみを布団の端から並べる。

失敗を受け止める心。
失敗を水に流す包容力。

心身に不調がないか観察する目。
心の成長を認め、失敗を乗り越える心に寄り添う母性。
何があろうと守り抜く愛情。

いま、なんの心配もなくすやすや眠る娘を見て、わたしは心底安堵している。
咳や鼻水に悩まされなくて良かった。

子を想う心は、一つ一つの行動に現れる。
今朝、娘はおねしょをしてしまって、パンツとズボンと布団一式を濡らしてしまったけれど。

私は娘と添い寝ができて幸せだったし。
ほこほこの布団で娘がすやすや寝ている今も、また違った幸せを噛み締めている。

日常から気づきを得る。
ライターとして、新しい発見を発信する。
母として、子どもたちの成長を見届け、守り抜く。

一つ一つが繋がって、まんまるの充足感をもたらす。
ああ、しあわせだな。
今日もいい1日だったな。

ちょっと頑張った日は、なおさらそう思う。
当たり前の毎日は、当たり前に訪れるものではないから。

すやすや眠る娘の顔は、いつ見てもとびっきりかわいい。
何があったって、この平穏を守り抜くんだな。

まだまだ、娘も母も伸び盛り。
おねしょしたって、かわいいこ。

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