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【住民税】学校では教えてくれない住民税!仕組みを分かりやすく解説!

収入が増えるにつれ、気になってくるのが「税金」。
所得税は、年末調整や確定申告で私たちに馴染みがあるかもしれません。

しかし、住民税って知らないことたくさんありませんか?

住民税を簡単にお伝えすると、

  • 住民税:「道府県民税・都民税」と「市町村民税(区市町村民税)」を合わせた総称(地方税)

  • 住民税額:「所得割:所得の10%」 + 「均等割:5,000円」の合計金額

  • 納付方法:「普通徴収」と「特別徴収」のどちらか

前年の所得をベースに納税額が決定され、その年の6月から翌年5月にかけて住んでる自治体に納めます。

新卒で入社した場合、住民税の支払いは入社2年目の6月の給与から天引きが始まります。

その仕組みを知っていないと「急に手取りが減った?」と思うこともあるかもしれません。

手取は生活費にも関わりますので、基本的な仕組みを知っておくことは大切です。

そこで本記事は、まずは住民税とは何か、そして納付方法や計算方法についてわかりやすく解説していきます。ぜひ最後までお読みください。

なお、住民税には「法人住民税」と「個人住民税」がありますが、ここでは個人住民税を指します。


住民税とは

住民税とは、地方税のひとつで、都道府県が課税する「道府県民税・都民税」と、市区町村が課税する「市町村民税(区市町村民税)」の総称のことです。なお、所得税は国税です。

イメージ図

納められた住民税は、生活に身近な教育や福祉、ごみ処理などといった行政サービスをまかなうために使われます。

つまり、住民税は地域における「町内会・自治会費」のような役割を果たしています。

住民税額の均等割と所得割の計算式

住民税には、前年の所得金額を基準とする「所得割」と、その地域に住む住人が一律に負担する「均等割」の2つで構成されています。

  • 所得割:前年の所得に応じた負担を求める

  • 均等割:所得にかかわらず定額で負担を求める

「所得割」とは、課税所得(住民税の課税対象になる所得金額)に対する課税の割合です。

税率は一律10%です。内訳は、道府県民税(都民税)「4%」、区市町村民税「6%」となります。

たとえば、課税所得が300万円とすると税率10%なので所得割は30万円になります。

一方、「均等割」は、課税所得にかかわらず一律で割り当てられる税額です。
「道府県民税・都民税」が1,500円、「市区町村民税」が3,500円で、年額5,000円です。

なお、東日本大震災の復興施策の財源(2014年度から2023年度の10年間)に充てるため、それぞれ年額500円ずつ計1,000円が上乗せされていましたが2023年度で終了。

2024年度(令和6年度)から、新たに新設された森林環境税(年額1,000円)が始まります。均等割とあわせて課税されるため、結果的に税額は変わりません。

住民税の税額は、上記の「所得割」と「均等割」を合算して算出します。

自治体により「環境保護対策」や「防災対策」などにより税率・均等割が異なる場合があります。
詳しくは自治体のHP等で確認してください。

住民税はいつから払う?

徴収方法には「普通徴収」と「特別徴収」の2種類あります。

一般的に働き方に応じて、どちらの納付方法で納めるか決まります。それぞれ以下の条件に当てはまる人が対象です。

  • 普通徴収:個人事業主やフリーランスなど

  • 特別徴収:給与所得者(正社員や契約社員、アルバイトなど)

「普通徴収」とは、住民税を自分で納める納付方法です。
個人事業主やフリーランスなどで働いている場合は、毎年6月ごろを目安に住民税決定通知書と納付書が届きます。

年4回(6月、8月、10月、翌年1月の各月)、納付書に記載された期限内に指定の金額を、金融機関や市区町村の窓口、コンビニで納めます。

なお、住民税は1年分をまとめて納付することも可能です。納付忘れや納付書の紛失が不安な場合は、まとめて納めておくと安心です。

一方、「特別徴収」は、事業者(会社など)が従業員から住民税額を徴収し、社員に代わって納税する方法です。

毎月支払われる給与から住民税を天引きし、年12回(6月から翌年5月)で徴収されます。

自身で納める必要がないため、普通徴収よりも簡単な納税方法といえます。

これらは、前年の1月1日から12月31日までの所得をベースに決定され、翌年の6月より納めることになります。※1月1日時点に住民票がある自治体に納付

新卒で入社した場合、前年に所得がなければ入社1年目は住民税がかからず、入社2年目から住民税を納めることになります。


住民税が非課税になるケース

特定の要件を満たす場合は、住民税が非課税になります。

たとえば、「生活保護を受給中である」とか「所得金額が自治体の定めた基準額以下である」などです。

住民税の非課税世帯には「所得割・均等割とも非課税」と「所得割が非課税」の2パターンが考えられます。

各自治体によって異なるため、ここでは「東京23区」を一例として紹介していきます。

(1)所得割・均等割とも非課税
所得割・均等割がどちらも非課税となるのは、いずれかの要件に当てはまる場合です。

(2)所得割が非課税
所得割が非課税になるのは、前年の総所得金額等が下記の金額以下の人です。

住民税の非課税世帯となるための要件は各自治体によっても異なります。自身が該当するかどうか確認したい場合は、市区町村の窓口でたずねるようにしましょう。

参考元:東京都主税局「6 個人住民税の非課税

住民税の計算方法

ここからはイメージをつかみやすくするために、
具体的に数字を使って「住民税」はいくらになるか算出してみましょう。

たとえば、年収が800万円の方を例とした場合、条件としては、

住民税の計算は、以下の4つのプロセスを経て算出します。

【 計算方法の流れ 】

  1. 年収 - 給与所得控除 = 給与所得

  2. 給与所得 - 所得控除 = 課税所得

  3. 課税所得 × 税率 - 税額控除 = 所得割

  4. 所得割 + 均等割 = 住民税額


1.年収 - 給与所得控除 = 給与所得

まずは、【給与所得控除】を算出します。
1.給与所得控除 (下図:⑤):800万円 × 10% + 110万円 = 190万円

そして、【給与所得】を算出します。
2.給与所得:800万円 - 190万円 =610万円

給与所得は「610万円」になります。

出典:国税庁「No.1410 給与所得控除」より加工作成

【2.給与所得 - 所得控除 = 課税所得】

「課税所得」を算出します。

  • 課税所得:610万円 - 187万6,000円(所得控除) = 422万4,000円

課税所得は「422万4,000円」になります。
※1,000円未満の端数は切り捨て

課税所得を求める計算で使われる所得控除ですが、住民税と所得税で金額が異なるものがあります。下図はその一例です。

詳しくは、東京都主税局「7 個人住民税の所得控除」よりご確認ください。


【 3.課税所得 × 税率 - 税額控除 = 所得割 】

所得割を算出します。

  • 所得割 :422万4,000円 × 10% - 0 = 42万2,400円

※100円未満の端数は切り捨て

所得割は「42万2,400円」となります。

本来であれば調整控除(税額控除)を差し引きますが、今回は全体のイメージをつかんでもらうため細かな計算は割愛しています。

なお、税額控除とは、「寄附金税額控除」や「調整控除」、「住宅ローン控除」などがあります。

詳しくは、東京都主税局「8 個人住民税の税額控除」よりご確認ください。


4.所得割 + 均等割 = 住民税額 】

最後に、所得割と均等割を足した金額が住民税額となります。

  • 住民税額:42万2,400円 + 5,000円(均等割)= 42万7,400円

以上から800万円の方が納める住民税は「42万7,400円」なります。

まとめ

住民税とは何か、そして納付方法や計算方法について解説してきました。

まとめると以下になります。

会社員だと、給与から天引きされているため意識する人は少ないかもしれません。

しかし、住民税の「仕組み」や「計算方法」を知ることで、賢く節税できるため一生涯役に立ちます。

なぜかと言うと、住民税の計算方法を通して「控除」について調べていると、自ずと節税方法が身につくためです。

自分自身がどれだけの税金を納めているのか、改めて知る良い機会になるのではないでしょうか。

税金は「無知の罰金」というように誰も教えてくれません。税金の仕組みをよく理解して、賢く上手に納税していきましょう。

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