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名前

私は自分の名前が嫌いだった。

母の「紫苑って名前を付けたかったんだ」って話をたくさん聞いたから。
私の名前が紫苑だったら...と何度も考えた。
私の名前は紫苑以外ではあってはならない様な感覚だった。

高校生の頃、付き合っていた人がいる。
その人は野球部で、コンプレックスを持った優しいムードメーカーだった。
その人のコンプレックスも含めて全て好きだった。
その人の名前の頭に私の名前と同じ漢字が入っていた。
たったそれだけのこと、それだけのことで私は自分の名前が大好きになった。
好きな人と同じ漢字で繋がっている。
これは運命だ!!なんて思っていた。

結局その運命は、私の未熟さで終わってしまった。

その人からは人を愛するとはどういうことか、とか無性の愛とか、人の暖かさとか、色んなことを学んだ。
今の私がいるのは彼のおかげだとはっきり言える。

終わってしまった恋だけど、私にとっての彼との約1年はとても大切な教訓になった。
その教訓だけは忘れずに生きていくと心に決めたし、彼の幸せを彼の親の次くらいに真剣に願っている。

私と付き合ってくれたこと、本当にありがとうございました。

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忘れられない恋物語

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