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「入江泰吉の心象風景 古色大和路」 入江泰吉

この写真集で “気配”を表現されている写真と 表現する事への写真家の思索を始めて知った。

1.入江調の美学

私が 奈良を歩く時に 他の街とは違う なんとなく感じる 気配や佇まいが 写真の中に あふれていた。特に カラー写真がそうだ、それは “入江調”として 随所に説明があった。

カラー写真は「色彩的には 実際以上に美しく写る場合もあった。しかし、それだけだった、きれいなだけで 情緒も雰囲気もない、退屈な写真に思われた。」 今までの価値観だけでは通用しないことに気づき、カラー写真に対する模索がはじまった。日本人特有の美意識、大和の歴史や文学などについて 根本から見つめ直す必要に迫られた。

ここを読んだとき 最近よく目にする 作り込まれた 鮮やかすぎる写真の数々が 思い浮かんだ。

写真は好みなので 好みが違うだけですが、私は その鮮やかさが 苦手な少数派で、1000も2000も「いいね」が付く写真に いいねを押せないでいた。

今も入江が生きておられたら 現代の「解像度」についても言及して欲しいところ。それも “入江調”に 取り込まれて 新たな表現が生まれるかも知れないけれど。

千年の時代の流れに、自ずから成り立った古式美 自然の施した彩色の美しさ 目には見えない特有の余情 「大和路は心象的に味わうべきた」

一方、モノクロ写真は 仏像写真に多い。それは 鮮やかなモノクロだ。

ただ 仏像は 見る人の心構えが整わなければ ならないということ、それでも 時々は 小賢しい自分を 見透かされてみるのは私には 必要だ。

画像1

(明神山へ登り 南側の二上山、大和葛城山、金剛山を眺めたときのもの、薄曇りだったので モノクロみたいになりました。2019/11)

2.入江の言葉

印象に遺った言葉は

写真で もっとも大事なのは ものを見る眼を養うこと 自分の努力によって達せられる。
自分の眼でよく観察し、被写体を理解することが大事
被写体に対して 愛情をもつこと、これが美しいものを見出すために 1番大事な心構え。
さり気ない景観に、風景の風の趣がかもされている風は 風味、風趣、風雅、風流、風格
科学の眼と、心の眼の焦点を合わす

3.まとめ

私の 愛情をもてる物を考えると、住み慣れたここでの空や 季節ごとに見られる小さな生き物なので、私なりに 観察し理解すればいいのだと思えた。

そして 夢中になりすぎて 無心になるくらいに、ただ 自分に正直でいたいと思う。

たくろーどんさんの「写真を読む日々」 で知り 図書館で借りた本です。ありがとうございました。

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