見出し画像

ザルツブルクJesse Marsch監督の講演会


ザルツブルクのJesse Marsch監督の講演に参加する機会があったので、そろそろ日本語でもまとめようと思います。

おそらくJesseについて一番SNSで拡散された動画がリバプール戦でのハーフタイムのチームトークの部分だと思います。




このように選手たちに熱く語りかけ後半に送り出し、結果は4-3で負けてしまいましたが2019/20シーズンでの印象に残った試合の一つでした。


講演でJesseは、

「ウィンターブレイクまでに自分たちは九つのフォーメーションを使った。私は選手たちが私たちのフィロソフィー、戦略、戦術、習慣を正確に理解しあっていたら、フォーメーションというものは全く重要でないと考えている。そして理論上では選手たちはどこのポジションでもプレーできるはずだ。」

と話していて原理原則の共有の重要性を最初に話していました。


そして最重要項目として「Everyone Together 全員で一緒にプレーする」ことを挙げています。

「もし自分たちが100%の力を出し切らず、チームの3,4人が90%の力でプレーしていた場合、それが3-0で勝利する時と0-3で敗北するときの違いだ。」

当たり前のことなのですが、まずはそこをチームに求めたと話しています。



そこからはザルツブルクでの原理原則を落とし込むために使っている共通言語について話が進みました。

まずはプレスのところです。面白いと感じたところは、ザルツブルクでは「ポゼッションを獲得するためにプレスをかけるのではない」として「我々は得点を決めるためにプレスをかける」と細かい違いを指摘していました。

78%の全てのゴールがボールを奪ってから10秒以内で決まるということも考慮してプレスの掛け方の部分は念密に計算されています。


守備のところでJesseが使っている共通言語では、

・Make/take the last step (最後の一歩を出す) - これは相手CBにプレッシャーをかける時に使い、ボールをCBから奪うことだけを考えてもらうために言葉だそうです。プレッシャーをかける時にはパスコースを切りながらとかどうやってどこまで近づくかなどを考えなくていいから、とにかく奪うこと、ボールとCBにアタックすることを考えることを意味する言葉。

・Pressing offers (プレスを仕掛けるトリガー) - プレスをチームとしてかけるトリガーをPressing offersといいチームで共有しています。

・Defensive shadow (守備の影) - これは俗にいうパスコースを背中で切るようなものになります。

・Forward checking (前で奪う)- 相手の前に入りこみボールを先に触る、インターセプトすることです。

・Catenaccio check mark (カテナチオマーク) - これはボールのあるサイドの選手たちを高く押し上げプレスにいかせ、逆サイドの選手はバランスをとりタイトに守備を構築する言葉になります。


そしてボールを奪った瞬間の切り替え時には、

・Meeting at the penalty spot (ペナルティエリアで集合) - これはクロップが主に使っている言葉らしいのですが、ボールを回収した際に3トップの選手にはペナルティエリアにまずはスプリントして入ることを指示している言葉になります。

ザルツブルクではカウンターでなるべくゴールに直結した動きを取るように、練習の時に菱形のような形で11v11をすることがあるそうです。(深いクロスをあげないように)

スクリーンショット 2020-10-08 17.59.37


次はボールを保持している状態では、

・Net (ネット) - チームでたくさんのトライアングルを作るように促す言葉。それぞれの選手の距離が10-15ヤードが理想をしています。ネットの網が大きくなりすぎないことが重要で、なるべくコンパクトに攻撃も距離を保つことを強調していて、逆サイドで幅を作る選手がいないことが印象的でした。

・Rest defence (レストディフェンス) - ポゼッション中でも相手のストライカーをマークしていること。

・Half lane (ハーフレーン) - ハーフスペースのこと。ザルツブルクではサイドチェンジの時はハーフスペースからハーフスペースのことを指す。

・On the move (裏への動き) - 自分たちの選手が相手の裏のスペースに何回抜け出す動きをしたかを数えている。Jesseが以前監督をしたNY Red Bullsではフォワードは13回、ウインガー10回、10番もしくはFBが8回を目安に合計42回を設定。ザルツブルクではフォワードは20回を目安にしていて、チームの合計回数は100回を超えることもシーズンの中の試合ではある。

気になったのはなぜボール保持時にもチームが広がらないのかのところだったのですが、

「選手間が10-15mで相手チームの守備がコンパクトだとしても、質の良い動き出しとコンビネーションがあれば裏を取ることは可能だし、練習ではもっと狭いスペースで練習をしている。奪われた後にもすぐにスプリントしてカウンタープレスをかければボールをいい位置で奪える」

との絶対的な自信を持っていました。


その後に練習内容を少し紹介してもらったのですが、やっぱり意識していることはプレスの部分とフィジカル、メンタルともに強度の高い練習が多いため休憩の時間も多めにとっている部分とのこと。


レッドブルグループのクラブのサッカーは見ていてとても面白く勉強にもなるので、このような形で監督の話を聞けたのは刺激的でした!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?