見出し画像

目をそらしていたモヤモヤを解きほぐしてみる。

#20231010-254

2023年10月10日(火)
 新型コロナウイルスが流行し、人の動きに厳しい規制がかかっていた数年前、暮らしを大きく変えた家族がいる
 都心に住んでいたのだが、地方へ移住を決意。
 あれよあれよという間に、何度かその地への訪問とお試し宿泊を繰り返し、引っ越ししてしまった。

 その過程で、人の手が極力入らない自然なものへの傾倒がどんどん強くなっていくのを目の当たりにした。
 おそらく人工的なものを排除した生活をはじめたら、体調や気持ちが好転したので、自然への想いが強くなり、さらに使うものや口にするものを選ぶようにしたら、もっとよくなったと実感し…… そのサイクルがつまずくことなく、回りだしたのだろう。
 日本の都心で、自然なものにこだわると、何かとお金がかかる。
 移住は住む環境も含めて、まるごと自然のなかになる。また野菜などの生産地に住めば、輸送等のコストがかからないため、都心より安価に買うことができる。自分で作るにしても、都心よりハードルが低い。農家でなく家庭菜園だとしても、野菜は採れるときは一斉に採れるのでご近所からのお裾分けもあるだろう。

 私も生育過程や加工にこだわりがあるものに、興味はある。
 化学や薬品に詳しくないが、農薬たっぷりの野菜よりは低農薬や無農薬、有機栽培とあれば、そちらの方が体にいいようと思う。
 もうこの肉体で生きて50年越えなので、私自身は今更な部分はあるが、目下成長中のノコ(娘小4)を見ていると、食品添加物などを避けたくなる。だが、ノコはカップ麺大好き、お菓子も素材の風味を大切にしたものより工場での大量生産品にかれ、食べたがる。
 街中に住んでいれば、スーパーやふらっと入ったコンビニでもそれらはすぐ買うことができる。ノコの目にも入る。子どもに目の前にあるものを我慢させるのは難しい。
 そういった買える環境が近くになければ、子どもだって欲しがらず、ないなりの暮らしとなる。

 そこの家族の子どもたちは、暮らしのなかで田植えを手伝い、野菜を収穫し、最近飼育をはじめた小型の家畜の世話もする。ちょっとお邪魔して1回2回体験するのではなく、それが生活のなかにある。都心とは違う広い広い家のなかを走りまわり、近所の耳を気にすることなく声を上げる。
 子どもらしく、生きている。
 もちろん子どもの気質にもよるだろうが、こうした暮らしの方がノコもストレスが軽くなるかもしれない。

 モヤモヤするのは、そこに「理想の暮らし」があるからだ。
 それなら、いじいじ悩んでいないで、少しでもそうなるよう動きはじめればいい。
 だが、それは「ノコにとって」で、私はそれなりに我が家が気に入っている。都心の真ん中ではないが、電車やバスに乗れば1時間かからずに山手線の駅に着く。山ではなく、住宅街レベルだが適度に緑もあり、昆虫もいる。少し足を伸ばせば、田んぼが広がる景色だって見られる。
 そこそこ都心に近く、そこそこ自然もあって、四季を感じられる。

 日本では山奥の集落にでも移住しない限り、そこそこの街では子どもへの誘惑は多いし、規制も多い。大人が売ろうと企画した商品、サービス、娯楽にあふれ、だが、子どもがのびのびと遊ぼうとすると「あれはダメ、これもダメ」といわれる。
 我慢を強いられる
 そうなんだ、私自身は移住したいわけではない。
 自然豊かな土地に憧れがないわけではないが、この辺りでも私は小さな自然を毎日見付け、感じている。夏の酷暑が遠ざかった途端、鳥の鳴き声が聞こえはじめた。これから冬に向かい、空気が冷たくなるにつれ、あのさえずりはもっとよく響くようになるだろう。公園ではドングリが落ちているし、ころんと丸いクヌギの実も見かける。
 ノコの我慢を少しでも減らしたいと思うからこそ、自然豊かな土地でノコも暮らせばと思ってしまうんだ。
 きっと毎日口にする食材をはじめ、吸って吐く空気ひとつにしろ、ノコに少しでもよいものをと願ってしまう。大人都合のあふれる情報や商品から遠ざけたいと考えてしまう。
 ノコによりよいものをと願うものの、私自身はそこまで望んでいないから踏み切れない。
 モヤモヤの原因は、その家族が夫婦そろって人工物を遠ざけようと考え、自然に身を置くことを実行し、子どもたちが満ち足りて見えるからだ。家族の向かう方向がずれていない。

 我が家はこの環境で、どうしたらノコの負担を軽くできるのだろうか。
 それができれば、私も安心して青空を仰げるのかもしれない。

この記事が参加している募集

子どもの成長記録

これからの家族のかたち

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?