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「2040年の日本」by野口悠紀雄を読んで

【第一章】を読んで

 野口悠紀雄氏は すごい経歴の持ち主でもあり 大蔵省に勤務した人だけあって、問題の分析を細かに分かりやすく解説してくれていて、私のような政治や経済にうとい人間でも、とても分かりやすい!というのが、第一印象だった。
それによると【少子化】が日本を崩すという、「2040年問題」

 巷では、新聞なり ニュースなりで 見掛けることはある。が
「どうしようもない問題」を 深堀も出来ず、只「将来 子供や孫の代で 大変な思いをするだろうなあ」と、漠然とした暗雲に かき消されていた。
しかし、この本によって、少しづつ黒雲で覆われていたことが見えて来た。

 まず、現在 政府が世界にも遅れを取っている「デジタル化」について
焦りが見える。それについて
「デジタル人材の育成にむけて、リスキングを強化できるか p.54」の中で「デジタル人材の育成に向けて、企業がリスキングに乗り出す動きが始まっているが、そうした動きをさらに加速させる必要がある。p.55」

要するに、デジタル人材がいないっと言っていいほど、育っていないのだ
「遅れている」と言えば「遅れている」
世界がどんどん先に進んでいるのに、日本はぼんやりしていた?
だから、あわてて「デジタル化」をしようとしても、慣れていない日本人はエラーを出してしまうのだ。
 これまで、成長続けていた研究部門の助成金が 削減されてきている。
ノーベル賞をとった山中教授の研究所でさえ削減され、山中教授自身研究費のやりくりにアイデアを絞っているという。
政府は なにをやっているのか?
何をやろうとしているのか?
今まで、日本は「人材を育てることに力をいれてこなかった」のだ。
そして、
今まで 日本の政府が 世界の状況から 何を学んでいたのか? なのだ。
世界が 戦争や貧困にしのぎを削りながら四苦八苦しているのを見ている はずなのに、日本政府ならびに国会議員は 何も学んでいなかったのでは?それどころか自党を保持することばかり、その上 政策として「時代を遡ろうとさえしていた」ことに気づいたのは、安部元首相の銃撃事件で 表に出て来た事柄からだった。

「少子化問題」から派生する大きな問題(所得代替率の引き下げ、年金財政は破綻する、それによる支給開始年齢を70歳に引き上げる」等)を
明確に説明しないまま、目先の解決策に委ねてしまっている。
政府の見通しは甘い、なぜか?
野口悠紀雄氏曰く
「シビアな数値」を見せるより「高成長の数値」を見せるほうが、国民も 安心する。しかし、事実 下降数値の方に移行し続けているのだ。
「政府は【ゼロ成長のシナリオ】を示すべきだ。p.55」

では なぜ 2040年が問題視されるのか?

少子化=労働力の低下

「労働力の推移は、長期的成長率に大きな影響を与える。そして、労働力の状況を決めるのは、人口動態の変化だ。p.57」つまり、「1980年代頃までは、イギリスやアメリカの方が 高齢化が高かった。(中略)日本は 当時 若者が多く『ジャパン・アズ・ナンバーワン』と称賛されていた時代だ。(中略)ところが、1990年代の中頃以降、日本の高齢化率が急速に高まり、英米を抜いた。そして、この頃から、日本経済の長期停滞が始まった。そして 現在「日本は世界で最も高齢化が進んだ国」になった。(中略)出生低下率で少子化がさらに深刻化 p.59」

2060年には現役世代人口と高齢者人口がほぼ同じ」

「つまり、現在出生率が低下していることの結果は、40年後、50年後に、きわめて深刻な問題になるのだ。こうした条件の下で日本社会を維持し続けるための準備を、いまから行う必要がある。ここまでは社会保障制度を維持するための負担について考えた p.64」

出生率引き上げより、高齢者や女性の労働力率引き上げが重要
 
出生率を高めることは、さまざまな意味において、日本の重要な課題だ。しかし、それによって社会保障問題や労働不足問題が緩和されると期待してはならない。(略)出生率を引き上げることよりも、高齢者や女性の労働力率を上げることのほうが、はるかにおおきな効果を持つ。p.66」

「103万円の壁」や「配偶者控除」というのは女性は専業主婦という時代の名残だ。労働力が減少する社会において、こうした制度を変えなければ、女性の社会参加を本格的に増やすことは出来ないであろう。(略)さらに、外国からの移民をみとめることも必要だ。 p.67」

 移民を認める数が 世界で最も少ない日本は この問題をどう考えているのか? いまのところ、これについての問題意識があるのかないのか、現状維持の様子だ。
「女性の労働力」に期待すのは「定年退職者」に期待するのと同じで、私は賛成である。
私の「子育てが終わった時、また 親の介護と見送りをした後」私は「何かをしたかった」だが、今更… 手に職があるわけでもなかったので、始めたのが「ボランティア活動」だった。
あくまでも、自分の出来る範囲で!を モットーにした。
だから、定年退職が引き上げられるのであれば、それも賛成だ。
まだ若き退職者に、熟した仕事歴を活かして欲しいし、本人も活かされることはうれしいであろうと想像する。ということであった。が、現実は違った形になった。

「しかし、増えたのは非正規雇用だ。そして、増えたとはいえ、非正規の 労働時間は、正規労働者に比べれば短い。したがって、一人当たりの平均 賃金は、むしろ低下することになってしまった。p.67」

非正規雇用を決断実行したのは 誰だ!

 私は 普通の至らない女である。それも80年間生きてきた女である。
その観点からすれば「少子化」の問題は「社会」にあるのではないか?と 思う。それも 長いながい歴史の社会制度の歪みとして、時代の変革期に 現れる現象ではないのか?とも思う。

事実、「出生率を上げる」だけでは 問題は解決しない。
なぜなら、すでにこの世に生まれてきた子が 親の手によって殺されたり、虐待されたり、ついに引きこもりになったり、いじめによって自殺までするに至っている。
その子たちが まともに育っていたならば、どんなに 明るい働き手が増えるか! と、
これは 社会もしくは社会構造の歪みの結果なのではないのか?とさえ思う

 この世の中は どんどん加速している現状に
科学は「AI」を見つけてしまった。
「AI」は 全てを一挙に 束ねてしまい、「AI」に頼り
人は考えることを 止めてしまい
「AI」に 同調するかのように 世の中の速度も早まっている。
それによって、
人に「ゆとり」が無くなり、せかせかと前を向いてのみ生きているようだ
そんな人々の前に 何があるのか?
考えてみよう!
「こころのゆとりを無くした者の前」には「死」や「絶望」しかないことを、気づいていない。

 子供を育てる時 一番必要なのは「心のゆとり」である。と、私は思う。ゆとり無く、イライラしながらの子育ては 子供にとって一番哀しいこと、親も子も一緒に育つ楽しみさえ体験出来ない、勿体ないことになるのだ。
子育てを楽しむくらい心のゆとりを持ててこそ、子供はまともに育つ。

「子供を産み育てたくなる社会」それは「社会全体で子供を育てられる社会」で あることでは ないのか?

 政府が「少子化」に関する手立てを いくら考えても「その場限りの付け焼き刃」であるとしか思われない。
みんな 根本が分かっていないから…

★女性の雇用についても、もっと社会が理解せねばならぬことが沢山ある。
★女性の雇用と子育て、能力ある女性の社会進出に対する男性の本音
★女性同士の意識の改革
★女性が子供を産むかぎり、その中で どのように社会を改革していくのか

動物を見よ!
子育てに専念して、ある程度 独立できるまで 付きっきりではないか?
昆虫を見よ!
群れの中に役割分担に徹している

人間が群れて社会をつくる生き物である限り、昆虫のような役割分担をするのか?
原始共産社会?

考えれば考えるほど、頭がこんがらがる。

 社会の何が悪いのか?なんて、分かっているけれど、どこからどの様に 手をつけていけばいいのか…? 

これは おおきな難問題ですぞ!











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