4月12日の日経新聞で、来日した米著名投資家のウォーレン・バフェット氏に関するインタビュー記事が複数掲載されました。世界で最も信用力のある投資家とも言われ、世界一の富豪になったこともあるバフェット氏の見解は、投資家だけではなく企業経営に関わるすべての人にとって示唆的だとされます。今回の来日では何を話したのか、今日のテーマにしてみたいと思います。
関連記事からいくつか抜粋してみます。
先日、日本での投資にマクロ環境の追い風が吹いているということを考えましたが、バフェット氏もやはり同様の見立てのようです。景気動向の動きに加え、地政学、金融、政策の観点から、米国と日本が有力だと見ていることがうかがえます。この時期に2度目の来日ということが、象徴的に感じられます。
「事業内容を理解できる会社」を挙げている点は、示唆的です。言い換えると、本質的、長期的な観点から選んでいるということだと考えます。「何をやっているかよくは分からないが、トレンドと言われる分野で伸びているから」「チャートが買いのサインを出しているから」などは、投機としては有効な視点なのかもしれませんが、本質的な投資の視点ではないということだと思います。
この点について、投資家に限らず、企業内の事業活動での意思決定や検証に通じる視点だと思います。
先日もある企業様にて、「担当がこういうのをやりたいと言って、DX関連の提案をしてきて、予算を求められた。そういうのもやっていかないといけないだろうとは思っていたので、よくわからないが善は急げで、一任して予算を承認しようと思う」というお話を聞きました。投資のスピード重視は重要な視点ですが、責任者がよくわかっていないものへ投資を認めるというのは、本質から外れていると申し上げた次第です。この手の例は、身近にあるのではないかと思います。
バフェット氏は、日本企業について「かなりうまくやっている。100%出資している会社であれ、一部出資の会社であれ、経営に問題があると判断した場合はその会社は買わない。日本の5大商社に対しては経営者が良い判断をし、お金を使い果たすこともないという印象を持った」とも語っています。共通の領域として、事業活動でパートナーとなる社外の企業を求めていくにあたっても、候補先の経営陣がよい判断をしていると思えるかどうかが重要な視点だという基本的なことを、認識させられる示唆です。
また、バフェット氏が日本企業の中にも積極的な評価ができるところが増えたとしているのは、明るいニュースだと受け止められます。
長期的な企業成長は、研究開発・設備投資・人材投資の3大基礎投資の結果で決まっていきます。バフェット氏の示唆も参照に、的確なアニマルスピリッツを発揮した投資活動を改めて考えるべきなのだと思います。
<まとめ>
よく理解したものに対して、適切な価格で投資する。