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長岡まつり大花火大会にて(3)

前々回から、長岡まつり大花火大会前後の出来事を取り上げました。今回は、花火そのものについて感じたことを取り上げてみます。

・趣旨が明確である

ある口コミサイトでは、「長岡は花火の質、マナー、情熱等、総合的に見て日本一」「有名どころの花火を毎年見ているが、やはり長岡」のような書き込みもありました。行ってみると、改めて素晴らしいと感じた次第です。私なりに感じたポイントを挙げてみます。

長岡花火財団のサイトでは、長岡まつりについて次のように説明されています。(一部抜粋)

長岡空襲の翌年、昭和21年8月1日に「長岡復興祭」を開催、昭和22年には花火大会が復活しました。長岡花火に込められた想いは、時を重ねてもなお変わることなく、今を生きる私たちの中にしっかりと受け継がれています。

花火自体の歴史はもっと古いのですが、1948年に8月1日を「戦災殉難者の慰霊」の日とし、2・3日を「花火大会の日」と改めたことが、現在の形のもとになっているようです。

「慰霊」「復興」「平和への想い」は、花火大会の開始前、最中、終了時に繰り返しアナウンスされ強調されていることです。私のように、あまり深く考えず参加した初心者でさえ、どういう趣旨で行われるようになった花火大会なのか、理解が進みます。

取り組みを維持し、後世に伝え続けるにあたって、その取り組みの趣旨を明確にして、知らせて理解・共感してもらうということは、やはり大切だと感じます。

・体系だった演目、それに合わせたアナウンスが行われる

上記も含めて、現地の駐車場~河川敷までいたるところに設置されている屋外スピーカーから聞こえてくるアナウンスは、とても体系的な内容でした。39の大型花火1発ごとに、花火の概要、製作者やスポンサーなどの紹介がなされます。(これは、この花火大会が花火師による競技会という位置づけになっていることも影響していると思います。)

「日本一の花火大会を日本一のマナーでお願いしたい」「来年もまたここで会えることを願っています」など、観客向けの案内も随所でたいへん工夫されていました。これを聞くことで、「(当然ではありますが、改めて)マナーを守って協力し合いながら見ないといけない」と自然と思えてきます。

・会場が周到に設計、設営されている

会場では観覧用のシートや椅子などが、きれいに並んでいます。観客が所定の場所以外に立ち入らず、所定の場所のみを歩いて移動するよう誘導するための、ロープや看板、ガムテープなどがかなりきめ細かく配置されていました。これらはたいへんな作業だっただろうと推察します。

また、会場には飲み物やわずかな食べ物売り場があるのを除き、食べ物屋などの露店がほとんどありません。聞いた話では、出店を制限しているのだそうです。露店の有無についてはいろいろな意見があるかもしれませんが、制限が現在の花火大会の状態をつくれている一因であることは確かだと思います。

・会場が有料である

昨年の2022年から無料席はなくなり、有料席のみとなったようです。会場での観覧には、観覧料を支払うことになります。

長岡市の発表によると、今年の花火大会の2日間で、会場での有料観覧者数は延べ295,000人だったようです。

花火大会の関連サイトを参照すると、椅子席は3,500円/人、椅子のないスペースは1,000円/人とあり、他にもいくつか料金設定があるようです。何人がどのプランを使ったのかまでは分かりませんが(そのような詳細情報もどこかにあるのかもしれませんが)、簡易的に295,000人の1/3の10万人が3,500円、2/3の19.5万人が1,000円の利用者だと推定すると、有料観覧席による収益は次の通りとなります。

3,500×100,000+1,000×195,000=5億4500万円

この花火大会のための最終的な経費がいくらなのかは存じ上げませんが、このような金額を以前のようにスポンサー企業や地元の有志の善意だけに期待し続けるのは、無理があると思います。「それなりの場所で見る人からは、費用を負担してもらう。そして、仕組みに沿って運営しよいものをつくり継続させていく」という考え方は、適切であろうと思います。

各地の花火大会で、費用の工面が困難になって実施を断念したり、クラウドファンディングを取り入れて経費にあてたりする話を聞きます。会場の有料化は、積極的に検討されてよい視点だと、個人的には考えます。

・花火が素晴らしい

そして、もちろん花火自体が素晴らしいことです。1発ごとに、この日のために丹精に準備してつくられた花火であることが感じられます。これだけの花火を1度に見ることで、改めて花火の良さを実感します。

・運営協力者の姿勢

当日は、多くの運営協力者を見かけました。一部はボランティアの方なのかもしれません。バスの車中でも、「会場は暗くて自分の席までどうやって歩くとよいのかわかりにくくなります。ご案内係の人に座席名を言って質問するのが一番早いです」と聞いていました。その通りで、いたる所にいるご案内係の方に座席名を告げると、すぐに首尾よくどの方角に行くべきか案内してくださいました。

当日だけではなく、上記であげた事前の会場設営にも相当な人手がかかっているはずです。これは想像ですが、運営関係者の方は目的意識高く張り切って動いているのではないかと感じます。それも、上記のような一連の流れ・取り組みがあってのことだろうと考えます。

周囲から聞こえてきた話では、地元の方はもちろん、遠方からもリピーターが多い印象です。

お客さまとの関係性について、マーケティングの観点からは、「潜在客」「顧客」「得意客」「支持者」「代弁者」「パートナー」といった段階で区分して捉えることができます。「代弁者」は自社のよい評判を自社に代わって積極的に宣伝してくれる層です。「パートナー」になると、自社の事業に協力までしてくれる層のイメージです。

お客さまが次のステップに移り、そのステップを維持し続けるためには、お客さまの求める価値にかなう商品・サービスを提供し続けなければなりません。また、その商品・サービスが選ぶに値する価値があるというメッセージに触れ続けてもらう必要があります。長岡花火は、そうしたマーケティングの観点に沿った取り組みも熱心になされているからこそ、得意客はもちろん、支持者や代弁者、パートナーが多いのではないかと思います。

イベントとしてはもちろん、いろいろな領域の事業活動にも応用して参考になる点の多いまつりだと感じた次第です。

<まとめ>
見る人が熱心な支持者になるには、やはりそれなりの取り組み、理由がある。

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