マガジンのカバー画像

イリュームについて

17
運営しているクリエイター

記事一覧

ILLUMEと馬淵晃さんを偲ぶイベント終了しました

ILLUMEと馬淵晃さんを偲ぶイベント終了しました

もともと、このマガジンの一連の記事を書き始めたのは、アートディレクターの馬淵晃さんが亡くなって、偲ぶイベントを開催するということになったからでした。

M氏が亡くなったことを悼み、また、彼が尽力した科学のビジュアル化に関して、ゆかりある人が集まって話すイベントを企画している方がいて、私にも何か話せとおっしゃるのですが、何から話して良いか悩むし、話せば色々あるしということで、何を話して良いかまとめる

もっとみる
幻の科学情報誌『ILLUME』とはなんだったのか:前置き

幻の科学情報誌『ILLUME』とはなんだったのか:前置き

 先日亡くなったアートディレクターM氏と私が長く一緒に仕事をしたのが、企業広報誌であり科学情報誌だった『ILLUME』でした。

M氏が亡くなったことを悼み、また、彼が尽力した科学のビジュアル化に関して、ゆかりある人が集まって話すイベントを企画している方がいて、私にも何か話せとおっしゃるのですが、何から話して良いか悩むし、話せば色々あるしということで、何を話して良いかまとめるために、しばらく思い出

もっとみる
幻の科学情報誌『ILLUME』とはなんだったのか:第1回イリュームという名前に込められた意味

幻の科学情報誌『ILLUME』とはなんだったのか:第1回イリュームという名前に込められた意味

連載スタートしてみます。

1号1号に思い出があるので、書くと長くなりそうだなあ。しかも、10年以上前の話で、最初は30年前になるわけですからねえ。読んで面白くするのは大変だなあ。できるかなあ。

ILLUME=イリュームに込められた想いとはまず、この名前のことから始めたいと思います。

人間もそうですが、名前には作った人の意図と想いが込められているものだからです。こうであって欲しい(意図)とか、

もっとみる
『ILLUME』とはなんだったのか:第2回:副題に込められた意味

『ILLUME』とはなんだったのか:第2回:副題に込められた意味

第1回では誌名から、その意図を考えてみました。そして、誌名に込められた意図とコンセプトを集約し磨き上げた珠玉の言葉が「ILLUMEの言葉」となったことを解きました。

刊行にあたって「ILLUMEの言葉」が、編集顧問によってもたらされた、ある意味、理想とする姿であるとすると、もう少し現実的な、発行元が表した言葉があります。

それは、「ILLUMEの刊行にあたって」というものです。

 私たちの今

もっとみる
『ILLUME』とはなんだったのか:第3回:2度のコンペティション

『ILLUME』とはなんだったのか:第3回:2度のコンペティション

第2回では、副題である「創造する人のための科学情報誌」という言葉が持った意味と発行部署及び担当者との出会いが生んだ「幸運」ということを解きました。

コンペティションの背景いよいよ、小出しにしてきた(もったいぶったわけではないのですが)本誌が発行することになったコンペティションについてご説明したいと思います。

このコンペに提出された企画書の写しが、我が家にあったはずなのですが、すぐに見つからなか

もっとみる
『ILLUME』とはなんだったのか:第4回:編集顧問会議の設置

『ILLUME』とはなんだったのか:第4回:編集顧問会議の設置

第3回は発刊に至る2回のコンペ開催の裏側についてご説明しました。その背景には、当時のCIブームや広報誌ブームがあったことも触れました。

編集顧問会議を置いた意図2回のコンペを経て、A氏の企画で創刊することが決まった「創造する人のための科学情報誌」ですが、まず最初に行われたのは、編集顧問の委嘱でした。

前回説明したように、編集顧問会議の設置はA氏が本誌の「せいとうせい(正統性及び正当性)」の確保

もっとみる
『ILLUME』とはなんだったのか:第5回:創刊号に至るまで

『ILLUME』とはなんだったのか:第5回:創刊号に至るまで

前回は、ILLUMEの特徴であった編集顧問会議に焦点を合わせてご説明しました。

ILLUMEがバブルの真っ最中1989年から、社会の急変の中で約20年続いたのは、この編集顧問会議の位置付けがあったことは間違い無いと思われます。

編集顧問会議で一蹴される創刊企画ILLUMEの企画が持ち上がったのが1988年、創刊は1989年4月だったことはすでにご説明したかと思います。

つまりバブルの真っ最中

もっとみる
『ILLUME』とはなんだったのか:第6回:創刊号と編集方針

『ILLUME』とはなんだったのか:第6回:創刊号と編集方針

長いね、それにしても。自分でも書いているうちにいろんなことを思い出すものだと呆れています。

4本柱を核として江崎玲於奈先生がインタビューに出てくださることが決まって、ついに1989年4月創刊に向けて、本格的に稼働したILLUMEですが、当然、インタビュー以外の企画も動いていました。

11月の編集会議で、山崎先生からダメ出しをくらった創刊企画は、練り直され、4本柱と2本のコラム、1本の連載という

もっとみる
『ILLUME』とはなんだったのか:第7回:社会貢献活動である意味

『ILLUME』とはなんだったのか:第7回:社会貢献活動である意味

成立の流れを追っているとなかなか、他の話が書けないので、ちょっと外れて、この時の宿題を書いてみます。

この日本語と英語で言うと、社会貢献活動をphilanthropic programとしているところが重要なのですが、その説明は次回に。

こう書きながら、第3回ではオリエンとコンペの話をしてしまいました。

時代背景とオリエンの課題その中で、TEPCOの意図として「東京電力を代表する企業情報誌」

もっとみる
『ILLUME』とはなんだったのか:第8回:編集部の苦闘:サイエンスシリーズの作り方

『ILLUME』とはなんだったのか:第8回:編集部の苦闘:サイエンスシリーズの作り方

前々回では創刊号で生まれた編集方針「素人のためにできるだけ理解しやすく、玄人に後ろ指を刺されることがなく」について触れました。

もう少し具体的に、どんなふうにイリュームを作っていたのかを思い出してみましょう。

最先端の事象を最先端の研究者にサイエンスシリーズは、ある分野の最先端の研究内容について、その専門研究者に執筆していただくという贅沢な考え方で企画されました。

科学雑誌のようにサイエンス

もっとみる
『ILLUME』とはなんだったのか:第9回:編集部の苦闘:印刷と構成の変容

『ILLUME』とはなんだったのか:第9回:編集部の苦闘:印刷と構成の変容

サイエンスシリーズ以外の記事の作り方を書こうと思ったのですが、それに付随して、印刷とか構成が徐々に変化したことについて書いてみます。

読者が知っている言葉だけで、世の中はできているわけではないわけです。平易であるということは、専門用語が全くないということではありません。専門用語はわからないけど、そこに書いてある文意がわかるということが重要です。専門用語は調べれば良いし、本誌ならば脚注を見れば良い

もっとみる
『ILLUME』とはなんだったのか:番外編:私の場合

『ILLUME』とはなんだったのか:番外編:私の場合

創刊からの流れと、構成やデザインの変遷などについて、徒然なるままに書いてきましたが、閑話休題。

また、制作方法もアナログからデジタルへのシフトが進んでいきます。原稿が手書きからワープロになり、ワードデータに変わっていきます。レイアウトも手書きの指定紙による入稿から、クォークエクスプレスさらにインデザインとレイアウトソフトを利用したものに変わっていきます。

ILLUMEへの参画全て知っているかの

もっとみる
『ILLUME』とはなんだったのか:第10回:M氏の場合

『ILLUME』とはなんだったのか:第10回:M氏の場合

私の場合は、番外編で良いけど、この方の話は本編なので、第10回記念号です。

M氏とは、ILLUMEの創刊から休刊まで編集人のA氏を支え続けた、本誌のアートディレクターです。

サイエンスビジュアルについては、この回で少し書きました。

内容を捉えながらも、読者の興味を惹くように抽象化されたイメージビジュアルの創造は、毎回、デザイナーの知恵の絞りどころで、それに応えるイラストレーターたちの挑戦でも

もっとみる
『ILLUME』とはなんだったのか:第11回:ノーベル賞とILLUME

『ILLUME』とはなんだったのか:第11回:ノーベル賞とILLUME

ILLUME38号の歴史の中では、ノーベル賞との関係も浅からぬものがありました。

さらに、毎号テーマが異なる本なので、過去の号を示す必要があると提案し、バックナンバー総目次一覧表を別刷で作成し、本誌に封入することにします。

バックナンバーに見るノーベル賞バックナンバー総目次を入れて置いたのは、読者に過去の号にも興味を持ってもらい、多くの方に読んでもらえるようにとの工夫だったのですが、今となって

もっとみる