書籍企画でも技術資料でも「何を書くか?」より「どう書くか?」が重要

先日、最寄りの大型書店に寄って拙著の配置を確認したところ、冊数はそこそこ確保されていたものの、あろうことか背見出ししか見えない陳列になっていました。これまで本を買って読むだけの立場だったので何も気づきませんでしたが、泡沫筆者が書いた新書落ちに対する書店の陳列は無慈悲です。

このまま黙って帰っては枕を濡らすだけだと思ったので、書棚から拙著を1冊取り出し、戻す位置を間違えるフリをしながら、表紙が見えるように勝手に本の陳列を動かしてしまいました。

怪しいオッサンが営業妨害している現場が監視カメラに残っているかもしれませんが、泡沫筆者が必死で売ろうとした愚行としてご放念いただければ幸いです。よろしくお願い致します。

さて、拙著の発売前に「書籍企画の切り口」について書いたのですが、いま読み返すと、「What」と「How」を区別して書けていないことに気づいたので、今回はそこを掘り下げて説明し、テクニカルライティングとの関係を解説したいと思います。

編集者が書籍企画で重視していること

先日、青丹社から拙著の取材を受けました。「本を紹介する本」を編集し、某大手企業の法人クライアント向けのノベルティとして毎月配布しているらしいのですが、なんとそれに拙著が選ばれたのです!すげえ!

しかも、初版発行の部数がナッパの戦闘力くらいしかない拙著に対し、先方の部数はギニュー特選隊のリクームの戦闘力を軽く上回るくらいあるらしいです。まじかよ。20倍くらいあるやん。

結構な販促になるのではと、担当編集者ともども期待しております。嗚呼、神様、仏様、青丹社様。今回の取材は、以前に書いた謎のコンテンツ制作会社の「なんちゃって取材」とはワケが違うぞ!ハハハハ!

さて、その取材で「なぜこの本を書いたのか?」という質問がありました。拙著の「はじめに」で書いたことだけ言葉を換えて答えればいいものを、よせばいいのに、企画の切り口の話までペラペラしゃべっちゃったんですよ。なんせ本物の取材ですから!ついテンション上がっちゃって!ハハハハ!

……で、取材が終わり、その取材に同席していた担当編集者と次回作の企画のブレストをしたのですが、やはり「切り口」に話が集中するんですね。つまり、「何を書くか(What)」より「どう書くか(How)」の方が圧倒的に大事であることを、編集者も強く意識してるんです。

もっと言えば、私が観察する限り、編集者は:
(1)どう書くか?(新しい切り口は何か?)
(2)その切り口は読者の好奇心を喚起できるか?課題を解決できるか?
(3)その本が書店のどの書棚に並べられるか?
(4)会社の出版実績の種類を増やし、書店の書棚を拡張できるか?
……たぶん、このあたりのことを重視しているはずだということです。

特に、上記(4)は出版社として狙いたいチャレンジです。技術評論社の場合であれば、「理工書」以外の書棚に進出できないか?ということなので。

「切り口を変える」はマーケティングそのもの

前に書いたとおり、誰もが書籍化できるコンテンツを持っています。これは「ネタ自体が完全オリジナルであることはない」ということと同じです。

本一冊分のネタなんて誰でも思い付くし、同じネタを書いた本が必ずあるんです。それこそ「ピロリ菌が胃がんの原因だ」なんて、医者向けの医学書を開けば必ず書いてある。

でも、「アナタもむだ死にするかもしれない」という切り口から、「ピロリ菌が胃がんの原因だ」という事実を一般層にも分かりやすく書けば、たちまちインパクトのある内容に変わります。

そういう意味で、ホリエモンの「むだ死にしない技術」は、お手本のような事例ですね。この切り口で、将来の胃がんから救われた人は多いでしょう。

一言でまとめてしまえば、要するに「マーケティング」です。商品(コンテンツ)は変えない、売り方(切り口)を変える。それが秀逸で、上記(1)~(4)のランプが全部点灯すれば、出版社からすれば「ぜひ出版したい」となるわけです。

拙著の主題も「どう書くか?」

「特許明細書の書き方」の切り口を変えて書いたのが拙著なわけですが、その拙著自体が「どう書くか?」を主題としています……ややこしいですね。つまり、「どうテクニカルライティングするか?」ということです。

技術の内容をそのまま丸出しにしても、誰にも理解してもらえません。例えば、独自のアルゴリズムをフローチャートのように説明するのは最悪です(拙著73ページ参照)。ヘタをすると、自分で考えた技術を自分で誤解することにもなりかねない。

他人にも理解してもらえるように、説明の切り口を変えましょう。ただし、技術資料の場合、その切り口には決まった型があります。それこそが、拙著で書いた「黄金フォーマット」なわけです。このフォーマットに沿って技術の内容を言語化すれば、研究開発が捗るよ!

……というわけで、書籍企画の話と拙著の宣伝を強引にドッキングした記事がこちらになります。今回もオチに困ったので、最後にオモシロ動画を置いときます。このくらいピアノが弾けたら楽しいでしょうね。

というか、いまだにオチのつけ方がよく分かりません。関西人失格かもしれん。


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藤田 肇

成果を生み出すテクニカルライティング

「正しいテクニカルライティングの作法を身につけて思考を整理し、それを正確に言語化できるようになれば、研究開発で継続的に成果を上げられる」——拙著に関する追加情報を更新します。
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