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「人間中心設計(HCD)認定資格」で、UXデザインスキルを見える化する

こんにちは。富士通デザインセンターのコバです。
今日はUXデザインと「人間中心設計(HCD)認定資格」のお話です。


UXデザインの資格「人間中心設計(HCD) 認定資格」について

最近のデザイン業界では「UXを重視しよう」「体験価値を考えよう」などの言葉をよく聞くようになりました。製品やサービスやイベントなど、何かをデザインするときに「体験をデザインしよう」「使う人の視点から考えよう」という流れは、モノからコトへという世の中の動きとも一致していて個人的にもすごく納得感があります。
 
デザイナーに限らず、モノやサービスを企画する人、作る人、売る人は誰もが「これをみんなに使ってほしい、使って喜んでほしい」と考えて仕事をしているはず。そう考えると、体験価値を重視するUXデザインという職種は、これからもっと様々なビジネスシーンで重宝されたり、ひょっとしたらある種のビジネススキルとして、一般化していくのかもしれません。
 
さて、UX デザインに関する資格のひとつに「人間中心設計(HCD) 認定資格」というものがあります。特定非営利活動法人 人間中心設計推進機構という団体による資格で、 HCD(Human Centered Design)=人間中心設計の専門家に必要とされる「コンピタンス」を明らかにして、その能力を満たしている人を「専門家」または「スペシャリスト」として認定するものです。

この「人間中心設計(HCD) 認定資格」は、年に1回試験があるのですが、最近ではデザイナー職以外の方の受験も増えてきているそうです。デザイナー以外の方々にもUXデザインの手法やマインドが広がっているんですね。

どんな試験なの?

「人間中心設計(HCD)認定試験」 の試験要綱には、試験で定められている「コンピタンス一覧」が掲載されています。見てみましょう。

「人間中心設計(HCD)認定資格」では、受験時にHCDに関わる業務経験を申告します。
ひとつひとつの実績が上のコンピタンスマップのどの項目に該当するのかを記載して内容を説明します。
スペシャリスト(実務経験3年以上)は基本的な能力であるA群から6項目、専門家(実務経験5年以上)はA群から7項目、業務を推進するのに必要な能力であるB群から3項目以上の記載が必要です。
 
A群を詳しく見ていきます。「A10.デザイン仕様作成能力」はいかにもデザイナーの専門領域という印象があります。でもその上の「A8.製品・システム・サービスの要求仕様作成能力」「A9.情報構造の設計能力」になるとむしろ開発者側のスキルっぽくも見えます。
また、HCD-NetではUXデザインをするだけではなく、実装できる能力も求められています。ただ「UXデザインを知っているよ」ではなくて、情報を構造化したり仕様としてまとめたり、案件をリードしてチームで実装するというB群にあるような実績が必要とされています。

開発者側のスキルもHCD専門家認定に生かせる

現実世界の案件はだいたいチームプレーですから、クライアントやチームを巻き込みながら良いデザインを実装するマネジメントや教育がコンピタンスマップに組み込まれているのは、UXデザインの実践という点では現実的に見えます。
 
さらに、これを見ていると、エンジニアもプロマネも営業も、あらゆる職種においてUXデザインの「入口」が開いていることが分かると思います。
例えばリサーチが得意な人ならA1の調査業務から始めて、だんだんできることを増やしていく。エンジニアならA8の仕様作成を入り口に、その根拠となるユーザー体験を理解し、そのユーザー体験を導いたユーザーリサーチを知っていく、と自分の得意領域の「仕様作成」からユーザー体験の学びを始められる、というロードマップを描けるのがHCDのコンピタンス一覧かなと思っています。

資格をとったらどうなるの?

学びの話だけではなく、資格のメリットについても考えてみます。資格保有者に聞いてみた「資格のメリット」には次のような項目が挙げられました。

・自分のスキルの可視化/棚卸。これからどんな方向にスキルを伸ばしていきたいかの参考にもなる

・クライアント、ノンデザイナーに、自分のUXデザインのスキルについて説明するときに「資格」があると納得してもらいやすい

・実務試験が必要な資格なので、経験値のアピールになる

・資格を取得してHCD-Netの会員になると、社外に仲間ができたり、最新の研究や手法について情報が入ってきやすくなる

ということで、UXデザインをやっている人は人間中心設計(HCD)認定試験の受験を検討してほしいし、UXデザインってつかみどころがないな、何だろう?と思っている人はぜひこのコンピタンス一覧を見ながら自分のスキルやこれまでの経験を振り返ってみてほしいです。
 
 
「富士通のデザイン」サイトでもHCDに関する記事を掲載しています。資格保有者による座談会で生の声をお伝えしているので、もぜひ参考にしてください!

HCDの認定資格について、気になった方はこちらをご覧ください


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