ストレス沼から這い出て新たに浸かった沼の調子が良すぎて肌ツヤとマインドがグッドすぎる

 自分の年齢を思うとき、いつも「aikoが今の私と同じ年の時は何を歌っていたんだろう」と考える。aikoが今の私と同じ27歳の時には「今度までには」をこの世に生み出していて、aikoの恐るべき感受性と才能に改めて感動するとともに、自分といえば何をやっているんだと気持ち半分で考えながらカラムーチョを箸でちまちまつまみ、発泡酒のロング缶を飲んでいる。
 一昨年に転職した仕事にも慣れ始め、仕事の一つ一つに動揺したり深く悩んだりすることもなく、想定時間内に終え、週末にも平日の深夜にも仕事を引きずることなく、いわゆるワークライフバランスがきちんと整った人生を送っている。今我が人生にストレスがない。ストレスとはマブを貫いてきた私が、ストレスと距離を置ける日が来るなど夢にも思っていなかった。

 つい去年までというのは、とにかく余計なことをばかりを考えて、考えなければならないことからは目を背け続けていた。生産性のない時の流れに身を置き、馴染みのない香りに包まれながら夜に天井を見つめると、ほんの数メートルの高さが何億光年も向こうのように思えて、手を伸ばしても立ち上がっても何をしても届かない、どこにいるのかわからない、と自分の所在も自分自身も見失って、気づけば眠る前に泣き、夜道で泣き、暗いところで泣くことで何かを保ちながら、息も絶え絶え、昼間には繕い上げたピカピカの笑顔で立っていた。

 無駄なことばかりに気を取られ、大事にしなくてはならないものを疎かにしていた当時の私を救い上げたのは、たった一本の動画だった。

 初めてその動画をみた時、なんてチャラい歌なんだと驚いた。なんてチャラい…なんて…チャラいぞ…けしからん!!

 そう思ってからは、気が狂ったようにリピートした。本能の赴くまま、何度も、何度もリピートした。何周か目には動画のなかの男性らと一緒に「ヘイ!!!!!」と言っていた。完全に我を忘れていた。

 9人の似たような若い男性が、頭にデカイヤホンをつけて歌っている。時折カメラ目線で何かをささやいたり、「大好き」とかささやいて恥ずかしそうに目をそらしたりしてくる。挙句の果てにウィスパーボイスの「帰さない」。私は困った。チャラい言葉だけではない。
 間奏で軽く踊ったり、おちゃらけた笑顔をみせたり。あざとさまで付け加えてくる。これまでに経験したことのない、言葉にできない感情で満たされる。私はもう大人の女性なはずなのに、あからさまに若い男性がキャピキャピ「大好き」だの「チューして?」だのなんだのを歌っているのを見て、確実に高揚している。目には見えないが、女性ホルモンが身体中を経験したことのない怒涛のスピードで駆け巡っているのを私は確かに感じた。

 彼らは名を「Snow Man」と言った。動画を見た次の日には、全員の顔と名前を覚えた。紹介RAP~We are the Snow Man~を見たらすぐに全員の顔と名前が一致した。見た瞬間にメンバー全員が愛おしく感じられた。

 こうして始まった私のSnow Man沼。私がストレス沼から解放されたのは確実にSnow Manのおかげといって良いと思う。肌ツヤが良くなり、寝つきも良くなった。メンタルがひどく落ち込んでしまい「もうだめかもしれない」と思ったときは、Snow Manの公式YouTubeを見ればすべての悩みが解けて消えていった。疲れも悩みもストレスも迷いも恐れも、Snow Manが「どうも!スノーマンです!!!」と言って、笑って、はしゃいでいれば、綺麗さっぱり消えていく。

 CDを買ったりライブに行ったりファンクラブに入ったりはしていない。ただ彼らが、この地球上で健やかに穏やかに日々を送り、懸命に励んでいる姿を見守られればそれで良いのだ。彼らが元気で生きていることが、私の元気の活力となっている。
 さまざまな悪や危険から彼らを守りたい。身を挺してただ守りたい。願わくばSnow Manの母になりたい。それは無理なのはわかっているので、いつだったか酒を飲んだときに「Snow Manがなにがしかの事件とかに巻き込まれてぇ~、撃たれそうになったらぁ~即座に彼らの前に飛び出てぇ~、全員の盾となり彼らを完璧に守って~死んでいきたい」「そして私の葬式にSnow Man全員が訪れて花を添え『あなたのおかげで…』『ありがとう』と言われたい」と言った記憶がある。これこそが本望だ。酔ったときの戯言ではない。

 Snow Man。あなた方のおかげで私はストレスのない人生を送れています。本当にありがとう。ストレスはなくとも、気は狂い続けている私に、これからもどうか活力を与えてください。

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