「あなたはヒトですか、ヒトではありませんか」
　ふだん利用しているSNSのアンケートの冒頭である。ふざけているのかな。
「ヒト以外」
　にチェックを入れると、
「宇宙人」
「ペット」
「人工知能」
「亡霊」
「その他」
　という選択肢があらわれた。
　すべての質問に答えると、あとで「現在の結果」が表示される。
　ぎょっとした。回答で一番多いのは「人工知能」で53.2パーセントだ。もはやそういう時代なのか。ぜんぜん気づかなかった。「ヒト」の22.5パーセントがそれに続き、「ペット」が18.3パーセントもいる。「宇宙人」の2.2パーセントは多いのか、少ないのか。
　ヒトは五人に一人しかいないことになる。ネット友だちのあれやこれやを思い浮かべるが、顔を知らない人が多い。人だと断言できるかと言われると、怪しい。
　猫のミーちゃんが膝に乗ってきた。デスクトップ画面をじっと見つめている。
「おまえもネットをしているのかい」
「ニャー」
「するわけないよな」
　ミーちゃんは、突然、机に上がると、マウスを操作してパソコンをログオフした。いつの間にかミーというアカウントができている。
　ミーちゃんは、アンケートページを開くと、
「ヒト以外」
「ペット」
　をチェックし、髭を震わせて、
「ニャー」
　と自慢げに鳴いた。
　そういえば、よくSNSでよくやりとりしている人のハンドルネームは「三井」さんだ。私は凍りついた。

（了）

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