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【肩甲骨を使う①】立甲とは?やるべき理由・メリットを解説

「立甲」は一時期ちょっとしたブームになった感がありますが、見た目のインパクトのわりに「なぜできる必要があるのか」「立甲するメリットは何なのか」はいまいち知られていないように思います。

立甲を知らない方は、まずは下記の動画を見てみてください。

これは私の立甲ストレッチ風景です。

立甲は、簡単にいってしまえば、動画のように肩甲骨を肋骨からはがすように開くことです。
ただし、ただこのようなストレッチで肩甲骨を柔軟にするだけでは、あまり意味がないとも思っています。

そこでこの記事では、立甲をやるべき理由、メリットについて解説します。

執筆者 ふかやとしふみ
古武道師範、身体均整師(ボディデザイナー)。剣術を中心に武道・武術やさまざまなトレーニング、整体を実践する中で工夫してきた、体の不調改善、身体機能UPの方法を紹介しています。


肩甲骨の動き・役割について

立甲について、前提になるところから説明します。

肩と肩甲骨の関連

大前提として「肩」の関節は、実は1つではありません。
一般的に「肩関節」といわれる肩甲上腕関節以外に、肩の動きを補助する関節が以下のように複数あります。

■肩関節
・肩甲上腕関節
・第二肩関節
・肩甲胸郭関節
・胸鎖関節
・肩鎖関節

引用元:もっと知りたい人工関節(https://motto-kansetsu.com/shoulder/index.html)

いわゆる肩関節(肩甲上腕関節)がメインなのは間違いありませんが、それ以外の部分も複雑に関連して動くことで、肩の非常に自由度の高い動きが可能になります。

上記の肩関節の中でも、特に大きく動くのが肩甲胸郭関節で、これがいわゆる「肩甲骨の動き」です。

肩甲骨が肋骨の上をスライドするように大きく動くのが、この肩甲胸郭関節の特徴です。

そして、肩甲骨は背中の大きな筋肉によって動かされるため、肩や背中まわりの筋肉がかたくなると、動きが阻害されてしまいます。
肩甲骨の動きが悪くなると、肩関節の動きをサポートできなくなり、肩関節だけに負担がかかってしまいます。

その結果、肩を痛めやすくなります。

そのため、肩甲骨が柔軟に動くことは、とても大事なのです。

また、前述のように肩甲骨は背中の大きな筋肉と一緒に働くもので、肩関節の土台になっています。
そのため、肩甲骨が使えるということは、背中の大きな筋肉のパワーを腕に伝える上でもとても大きな役割を果たすのです。

したがって、肩甲骨が使えることはとても大事なものだと、まずは押さえておきましょう。

肩甲骨が使えるメリット

ここまで肩甲骨の構造や働きについて簡単に書きましたが、肩甲骨がちゃんと使えるメリットをここで整理しておきましょう。

✅背中のパワーを腕に伝えられる
✅運動のパフォーマンスアップ、肩や肘の怪我防止
✅五十肩のような加齢による肩の不調の予防
✅姿勢改善

端的にいってしまうと、肩甲骨が使えることでヒトとしての身体をしっかり使えるようになるということです。

サルの木登り、木わたりを見ると分かるように、サルは肩甲骨から腕を長くノビノビと使って運動するのが普通です。
また、ヒトも原始の時代には、木を登ったり、槍を投げたり、道具を多様に使うために肩甲骨から腕を使っていたことでしょう。

構造上、肩甲骨は腕の土台ですので当然です。

現代人のように、腕をパワフルに使わず繊細に使う作業しかしなくなれば、肩甲骨の機能が衰えるのは当然です。

そのため、ヒトとしての本来の肩甲骨の機能を使えるようにするだけで、姿勢改善から肩の不調予防、強いパワーの発揮など多くのメリットを享受できるのです。

意味がない?立甲をやるべき理由

前置きが長くなりましたが、ここから立甲をやるべき理由について説明します。

立甲について「見た目のインパクトだけ」「やる意味が分からない」と思われている方も多いようです。

確かに、冒頭でも述べたように、立甲は一時期流行したものの、なぜやるべきなのかという議論はあまり見られなかった印象です。

ここで私が考える立甲をやるべき理由、メリットを説明します。

①肩甲骨のストレッチ、柔軟性向上

立甲は、単純に肩甲骨の動きの柔軟性向上のために行うメリットがあると考えています。

そもそも、私が施術などを通じて多くの方の体を観察してきた中で思ったのが、本当に多くの方の肩甲骨の動きが悪くなっていることです。

特に、おそらく肩甲下筋などが緊張し続けてかたまってしまっているために、肋骨の上をスライドするように肩甲骨が動かなくなっているケースが多いです。

おそらく、デスクワークなどで腕を固定して使う時間が多いために、土台となる肩甲骨を安定させるために緊張させ続けるような使い方をしている方が多いのだと思います。

立甲は、この肋骨から肩甲骨を引きはがすように使うストレッチになりますので、柔軟性を高めることができます。

②腕と体幹の連動性を高める

前述のように、肩甲骨は腕の土台であり、肩甲骨の働きによって背中からの強いパワーを腕に伝えやすくなります。

そのため、腕と体幹の連動性を高めることが大事なのですが、そのためには
◎肩甲骨を開いて(外転)、その状態で動かせること
◎肩甲骨回りの筋肉のオンオフをコントロールできること

が大事だと考えています。

立甲は、肩甲骨を開いた(外転)状態で、そのまま後ろにスライドさせるような動きです。
そのため、肩甲骨を開いたまま動かす身体操作の訓練になります。

また、立甲は肩のインナーマッスルや前鋸筋のコントロールにもなります。
前鋸筋とは、壁を腕で押したときなどに使われる脇の下、肋骨の上にある筋肉です。
この筋肉は、肩甲骨を前にスライドさせるように緊張します。

立甲は、肩甲骨を前にスライドさせ前鋸筋を緊張させたところから、前鋸筋だけを抜くようにコントロールするとできます。

前鋸筋は、背中の力を腕に伝える上で必須の筋肉ですので、このコントロールを高めることは運動のパフォーマンスアップに必要です。

このように、立甲は肩甲骨のコントロール力を高める上で、やはりいいエクササイズになると私は考えています。

ただし、注意点もあります。

立甲だけではダメな理由

立甲は、一般的には四つん這いになって、床を押す力(自分の体が沈む力)を使って行います。

肘を伸ばして腕を固定したまま、肩甲骨の力を入れたり抜いたりすることで、肩甲骨を後ろに飛び出させるようにストレッチしやすくなるからです。

しかしこのやり方だけでは、他動的なストレッチです。

股割りなどと同じで、可動域を広げることはできても、肩甲骨そのものを自在にコントロールすることには直結しません。

運動している方ならわかると思いますが、柔軟性があるだけではパフォーマンスにつながりません。
柔軟性が必要なときはしなやかに、パワーが必要なときは安定的に、というような使い分けが必要です。

そのため立甲はあくまで一つのストレッチや身体操作の訓練だと考えましょう。
その他の肩甲骨を安定的に使うエクササイズなどと組み合わせて行うことをおすすめします。

まとめ

  • 立甲は、肩甲骨の柔軟性の向上やコントロール力の向上につながるエクササイズ

  • 立甲は万能ではないため、肩甲骨を安定的に使うエクササイズなどと組み合わせて取り入れるべき

立甲や、肩甲骨を使う具体的なワークについては、今後別の記事で紹介します。


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