見出し画像

杭州のアリババ新モール「親橙里(チンチェンリー)」に行ってみた! その1

最近、ニュースや講演などでよく話題に出るアリババ。その規模拡大の勢いは凄く、1年ごとに中国のライフスタイルを変えていっているらしい。残念ながら、日本にいるとその凄さは伝わってこない。ということで、実際に中国へ行って体感してきました。

■ 拡大が続くアリババ

アリババといえば中国最大のECサイトで有名だが、近年はキャッシュレス決済のAlipay(アリペイ)をはじめ、動画・SNS、デリバリー、食品・レストラン・百貨店など様々な分野に進出し、そちらもすでに中国最大手となっている。

そのため、例えば、オンラインで食品スーパーの商品を購入すると「30分以内に無料で自宅に届く」といった極めてタイムラグのないオンラインとオフラインの融合が出来てしまう。待つことが嫌いな中国人のニーズに応えた超効率社会がアリババによって実現しつつある。

そして、今年4月にオープンしたアリババのショッピングモール「親橙里(チンチェンリー)」では、さらにオンラインとオフラインの融合を加速させる最先端ニューリテール技術を導入しているらしい。アリババが目指すオンラインとオフラインが融合したリアル店舗とは一体どんなものなのか?

■上海から杭州へ

親橙里があるのはアリババ本社がある杭州市の郊外。多くのアリババ社員が住む居住区域内にある。日本からだと飛行機で上海まで行き、上海からは車でいくか新幹線とタクシーを乗り継いでいくことになる。どちらも上海から2時間半ほど。今回は車をチャーターし、日本語ドライバーに案内してもらった。

日本語ドライバー 丁(てい)さんの運転で杭州へ。ガイドしながら覚えたという日本語はとても上手で、道中、中国のIT事情などを聞かせてもらった。

偽札が多い中国ではキャッシュレス決済が喜ばれるらしく、手数料もかからないので、上海のほとんどの店で導入されている。上海では現金を持たずAlipayやWeChatPayだけで生活ができるという。最近はAlipayの方が人気だとか。また、UberEatsのようなフードデリバリーがたくさんあり、実店舗に行くより早いので丁さんもよく使うらしい。

上海では、デリバリー用の青や黄色のバッグを乗せたバイクがたくさん走っている。フードだけではなく、物品も扱うらしい。

ちなみに、上海から観光で杭州まで来る日本人はほとんどおらず、丁さんは今回が初の杭州ガイドとのこと。杭州は都市部としては自然環境が良く、富裕層が住む場所として人気だとか。アリババがリアル店舗を作ったことは今回初めて知ったらしい。

雪の影響で予定を30分オーバーして到着。確かにビルが密集している上海より環境がいい。しかしめちゃくちゃ寒い。
丁さんはランチに行くということで、しばらくお別れ。

■きちんと生活に根ざしたモール

親橙里についてまず気付くのが、モールの規模。地下1階から5階まで開いた吹き抜けをぐるりと囲むようにテナントが並ぶが、日本のモールと比べても小さく感じる。上海のモールはどれも大きいので、この規模はめずらしい。
また、上海のモールのようなド派手な内装ではなく、白とオレンジを基調としたモダンなもので、ハイブランドショップは一切なく、食品、雑貨、インテリア、ファッション、レストラン、映画館と生活に必要なショップが並ぶ。

これは、このモールの利用客がほとんどアリババ社員であり、福利厚生と実証実験を兼ねたプロトタイプという位置付けのためのようだ。

映画館では、トトロとアクアマンが上映されていた。

テクノロジーを駆使した派手な近未来のモールを期待していたが、意外とパッと見は普通のモールと何ら変わらない。生活に使う身近なものだからこそ、あえて外見は大きく変えなかったのかもしれない。

■個人に合わせたサイネージ

モールには様々なサイネージが置かれ、個人に合わせた広告が表示される。
事前情報では、1階の大きなサイネージでビッグデータを利用した広告が表示されるとのことだったが、テナント広告ばかりが流れていたので、現在は止めてしまったかもしれない。

小さいサイネージでは、前に立つ人によって広告を変わるのが確認できた。男性だとデジタル製品やジム、女性だとお茶や化粧品といった広告が流れてくる。ただ、広告数が十数種類と少ないためか、男女をざっくり判別して表示しているだけで、欲しいものズバリッとはいかない。そもそも、プライベートな情報が大きく表示されるのはかなり抵抗があるので、上手く活用されるかは正直怪しい気がする。

とはいえ、オンラインで探していたモノをオフライン店舗に繋ごうとする狙いは面白く、こういった玉石混合でもたくさん作って試すマインドはとても中国らしいやり方で、中国の勢いを感じる所だろう。

通路に設置されたプリクラは、撮影が先で、お金は後払い。体験を先に持ってくるやり方はアプリの課金を彷彿させる。

■店舗にはレジがない

今回、最も気になってたのが、モール内の店舗はすべてキャッシュレス決済に最適化されているという点。つまり、現金レジがない!!
中国人にとってはキャッシュレス決済が合理的な選択だというのは分かったが、はたして日本人の私たちに合うのだろうか。

レストランでは、口牌というアプリから商品を選んでAlipayで決済。これぞ、まさにオンラインとオフラインの融合。

ただ困ったことに、Alipayを利用するには、中国の銀行口座が必要となる。一応、クレジットカードだけで登録可能なWeChatPayに現金をチャージしていったものの、やはりここはアリババ帝国。ライバルのWeChatPayは使えないんだとか。こういった規格の乱立で、ユーザーが不便を被るのはどこも同じなんですね。

はたして、日本人はアリババ帝国でランチを食べられるのか…。

次回に続きます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?