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マドレーヌは最強の焼き菓子説


マドレーヌのすすめ


「お菓子作り初心者で、まったく自信はないが何か作ってみたい」という人には、迷わずマドレーヌを勧めます。理由は以下のとおりです。

失敗する要素が少ない

「バターを室温に戻してクリーム状に練る」「卵をもったりするまで泡立てる」「泡をつぶさないようにさっくり混ぜる」といった手加減の必要な要素がいっさいありません。成形もデコレーションも不要なので見た目がひどくなることもありません。

特別な器具や材料不要

必要な器具はオーブンとボウルと手動泡立て器の3つ、基本の材料はバター、卵、砂糖、薄力粉の4つです。ベーキングパウダーも不要です。入れるレシピもありますが、ふくらみが大きくなる一方で口触りがもさもさするので私は入れないほうが好きです。買っても使い切れないですし。
マドレーヌ型があるとおしゃれな貝型になりますが、むしろ弁当用アルミケースのほうが簡単で便利です。

レシピ

材料(アルミケース4~5個分)
・バター(無塩):50g
・卵:1個(約50g)
・砂糖:50g
・薄力粉:50g

材料がすべて同量なのもありがたい。砂糖は45gくらいまでは減らせます。

① オーブンを180℃に余熱
② バターを小鍋で弱火にかけて溶かす
③ ボウルに薄力粉と砂糖を入れ、泡立て器で混ぜる(ふるわなくてOK)
④ 卵を割り入れてざっと混ぜる(この段階では適当で大丈夫)
⑤ 溶かした熱いバターを一気に入れ、がーっと混ぜる
ここで生地がツヤツヤのマヨネーズ状になるまで力一杯ぐるぐる混ぜるのがコツです(卵の水分とバターの油分を乳化するため)。
⑥ スプーンでアルミケース4~5個に生地を流し入れる
⑦ 180℃のオーブンで20分焼く

アレンジも自在

マドレーヌのすごいところは少々のアレンジや誤差にはびくともしないタフなレシピです。
焼き時間が多少前後しても大丈夫、以下のようにお好みで生地にいろいろ混ぜて楽しむこともできます。
・ココア
・チョコチップ
・ママレード
・レモン果汁
・はちみつ
・ラムレーズン
・チャイミックス
(見出し画像ではココアを入れています。写真が下手ですいません…)

分量はいずれもひとさじくらいでしょうか。私が過去に試した限りでは、表面が干ばつ地帯みたいにひび割れたりなぜか甘い部分が中心に集まってフィリング風になったりしましたが「これはこれでいける」という程度で大失敗した記憶はありません。
余ったら冷凍できますし、アルミケースごとオーブントースターのフライ温めモードか何かで解凍すると焼きたての味が復活します。
高温で焼くのと手で触る工程がいっさいないため衛生上も比較的安心です。

【おまけ1】プルースト現象について

マドレーヌと言えばプルーストです。
挫折度トップクラスの大長編小説「失われた時を求めて」の冒頭で、紅茶に浸したマドレーヌを食べて過去の記憶がよみがえるシーンがありますね。
香りで記憶がよみがえること一般をプルースト現象と呼ぶほど有名なので私も実際にやってみましたが、紅茶が油まみれになるうえ、マドレーヌ生地がモロモロになって後悔しました。
どうも初期原稿ではラスクかビスコッティだったそうで、そういう口の中を怪我しそうな硬いお菓子を紅茶に浸したくなるならわかるのですが、なぜプルーストはマドレーヌに改変したのか…謎です。

【おまけ2】今日のおすすめ本

おすすめ本はこちら。

作家の梶村啓二さんが夜な夜な(かどうかわかりませんがイメージとしては夜っぽい)古典文学をイメージしたお菓子を手作りして本とともに味わう、という異色の読書ガイドです。
作品解説と一緒にレシピも紹介されていますが、レモンドゥリズルケーキとか焼きメレンゲとか、なかなか通好みですね。

冬の夜、温かいお茶を淹れて、手作りお菓子と一緒に読書はいかがでしょうか。


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