計算的に世界を見る─xLAB,アンドリュー・ウィット氏講演

8/4(土)に拝聴したxLABのファカルティ・レクチャー,アンドリュー・ウィット氏の講演が非常に面白かったので,簡単にメモを(同時通訳だったが,あまり内容は聞き取れなかったと思う).


とりあえず,xLABについて

2週間を通して世界各国の先進的な建築教育を行う大学の学生を対象に行われるスタジオ。xLAB サマー・プログラムでは、スタジオの開講に合わせて一般公開プログラムとして講演会を開催します。


アンドリュー・ウィット氏について

ハーバード大学デザイン大学院建築学科准教授/幾何学から知覚、建設、自動化や文化などの関係性について教鞭を執り、研究を行う/デザインや技術に置けるインキュベートを行う会社、Certain Measuresを共同設立


哲学と数学を学んだ後,建築を修め,ゲーリー・テクノロジーズに勤めたというアンドリュー氏.経歴がすでに興味深い.
そんなアンドリュー氏のレクチャーは自身のプロジェクトを紹介する,というオーソドックスなものだったが,各プロジェクトの持つ幾何学的,文化的,建築的,都市的な深みが興味深かった.

アンドリュー氏が設立した「Certain Measures」


Impossible Objects

建築のサーフェス(表面)に着目し,複雑な曲面形状を実現するソフトウェアの開発し,生成するプロジェクト.

ある点から見れば2次元オブジェクトに見え,ある点から3次元オブジェクトとして立ち現れるというあり方をする形状の開発が見所だろうか.

日本ではあまり親しみはないが,国内で言えば「横浜大さん橋」のようなサーフェス(表面)をテーマとした建築群がある.


Mine the Scrap Installation

廃材をスキャン
→得られた形状からタイプを40に分類
→それをマップ化し,系統図を作成
→形状のサーチエンジンを作成

という

Googleの画像検索の廃材版

とも言える試みをインスタレーションとして展示した作品

左から右に膨大なデータが流れ,スキャンされた材からデータドリブンに生成可能な構造物が表示される.

規則性のないように思える「廃材」というものをパターン認識によりタイポロジカルに分類することで,活用可能にする.

データドリブンなタイポロジー!


Digital Landfill

今度はそれを実際の建築に応用.

友人の別荘を解体
→スキャン

形状だけでなく,素材の質もスキャンすることで材の状態までも評価できるようにしているという.得られたデータから最適化などを駆使し,新たな構造物を動的に生成する.
動的に生成するためスケールアップ+ダウンも考えられるようなプロジェクトとも言える.


Kintsugi++

また,日本の金継ぎに感銘を受けて,
「バラバラになった破片から新しい容器をつくる」ツールもつくったと



Spatial Recognition Software

こちらは都市レベルでのパターン解析.
ビルの平面をスキャンし,建築の型の系統樹をつくる,というもの.
アレグザンダ-か誰かの本で見たイタリアの都市の「図」と「地」の絵を思い出しますね(芦原義信氏の『外部空間の設計』?).

そして,得られた結果から都市ごとに類似性を見出しマップ化していくみたいなことをしているぽいです.


horizons

ネットに情報落ちてなかった.

1960年代のサンセットストリートのすべての建物のファサードが並列された書籍のように,建物のファサードを集めて,それをパターン認識,画像認識で学習させる.
そして,無限のエレベーションを生成みたいなプロジェクトもやっているとか.



アンドリュー氏が(多分言っていたように)

テクノロジーはメディアであり,テクノロジーは,知覚・認識を使ってクリエイティビティにおけるデザインの潜在能力を高めることができる.

とのように,これらの試みは建築や都市,幾何学,タイポロジーなどさまざまなものへの解像度を高められそうな印象を得た.
とりあえずざっくりメモ.

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