見出し画像

売れる本ってナンダ!【#推薦図書】

ひとつ前のnoteで、書店がどんどん失くなっていくというグチを延々書いた。


書店減少を食い止めるために、ただの読者好きにできることは何か。
考え続けている。

そんな時に出会ったのが、額賀澪・著『拝啓、本が売れません』である。


この本が、めっぽう面白い!
本づくりに携わるさまざまなプロフェッショナルたちに、著者が話を聞きに行くのだが、改めて本をつくるのに、これだけ多くの人の思いが詰まっているんだなということがわかる。

著者、額賀さんと言えば、2015年に松本清張賞小学館文庫小説賞をダブル受賞して、鳴り物入りでデビューされた、すごいお方。

そんな彼女のデビュー3年目。
自らの書籍が3ヶ月もたつと書店の棚から消えてゆき、初版部数が減り、重版がかからない状況に焦りを覚えはじめていたという。

「本が売れない」と言われるこのご時世に、自分はどうすれば作家として生き残れるのか?

P14

と考えはじめたところから、この本はスタートする。

そういえば。
私自身も額賀作品が文庫になったら読もうなんて思っていたのに、そのまま手を出しそびれて、今に至る。今回、初めて読むのであった。

この本では、例えばラノベの敏腕編集者さんから、キャラクターの強さの重要性を学び、webデザイナーさんからは、作家本人がsnsで発信していくメリットを学び実践していく。


そうやって売れる秘訣をあれこれ探る、エッセイというかドキュメンタリーな1冊である。

とにかくどのプロの元に行っても、結論は
とにかく面白い小説を書け
に、終始する。

数々取材を続ける中で、

私は《売れる本》が書きたいんじゃない。自分が「面白い!」と思った本を売りたいんだ。

P158

と、自分の思いを新たにする。

取材した、いろんな方からいただいたエッセンスを盛り込んだ長編小説が
風に恋う

なんだそう。

印象的な表紙で、書店でも気になっていたのを思い出した。
この話を書き上げた直後、額賀さんが叫んでいる。

「いいもん書けたぞー」

P164

これは俄然、気になってきた。
ぜひ読んで見なくてはっ。

ちなみに「本が売れない時代」に、ただの読者ができることは何だろうという問いのヒントが、この本に隠されていた。

映像企画のプロデューサーさんに取材した時の言葉。

「受け取る側って、『提案されたい』って、考えてると思うの。(中略) 失敗したくないから、確実に自分が楽しめるものを誰かにオススメしてほしい、っていう人が多いと思うんだよね」

P130

この部分を読んだ時、「これだ!」と思った。
これまで私は書店員でもないのに、身近な人たちに本を布教し続けてきた。

「書店が減ってきたから、面白い本との出会いがない」
なんて言ってる場合じゃなかった。

数少なくなってきた書店に行って、アンテナ張って本と出会って、自分が考える『面白い』を突き詰めよう。

それで、自分が「いい!」と思った作品は、これまで以上の熱量で布教していこうと思う。


#推薦図書
#額賀澪
#拝啓本が売れません

この記事が参加している募集

推薦図書

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?