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ワイナリー生活、「もう出て行きたい!」ってときもあるよ編

こんにちは
オーストラリアのワイナリーで働いてるフミです🍇


去年今年と、4軒ほどのワイナリーに滞在しました。
わたしは将来、醸造家になりたいわけではなく、
知識ばかりで頭でっかちなただのワイン好きから、
作り手のパッションや哲学まで楽しめる人になれたら、
そんな好奇心から始まっています。

だから今は、好きなワインの系統から選ぶのではなく、
気候も考え方も違うワイナリーを巡って、
感じられることの幅を広げたいと思っています。

今まで滞在させていただいたところは、
いわゆるナチュラルワインとして日本で知名度のある
できる限り添加物や人による操作をしないワイナリー、
最新のマシンや化学の知識を生かして
ここ何年も高い評価を得続けているワイナリーなど。
行ってみて、一層感じますが、本当にさまざまです。
作る人の性格や経験の結晶なのですよね〜。

(話は逸れますが、ジャケ買いありだなって思うのも、
作り手の美学が好きなら、案外外れないという持論。)


また、全く違った視点に魅力を感じてもいます。
オーストラリアの田舎で暮らす人々の、食の豊かさ。
形は違えど、醸造家のみなさんとても美食家で、
畑で採れた新鮮な野菜を楽しんだり、
自分のボートで釣りに行って刺身をふるまったり、
地元の美味しいチーズやハムをよく知っていたり。

その姿を見ていると、どうやって生きていきたいな、
みたいなことを考える時間が多く生まれます。


そして、わたしの生活も、滞在先により違います。
まるで、くじ引きのような。
行ってみないと、全く分かりません。

一人ぼっちでコテージに住む。
オーナー家族と毎日夕食を共にする。
労働者のシェアハウスで、交代で食事を作る共同生活。
ワイン好きが集った家で毎日ワインを開けて語らう。
ワイナリー併設のレストランで働くお姉さんと
仕事後の一杯とナッツが日課になる。
などなど。


記事を読んだ方から、
「わたしも、ワイナリーで働いてみたい」
そう言ってもらうこともあるので、ここはひとつ、
キラキラばかりじゃない話をしようかなと思います。


あるとき、ピッカーと呼ばれる、
収穫のためのバックパッカーと住むことがありました。
「ワイナリーで働くのだから、ワイン好きだろう」
それは、わたしの自分勝手な期待でした。

ワイン好きと言うも、実のところまるで興味がなく、
カスクワインと呼ばれる、段ボール箱に入った、
品種も産地もわからない謎のワインを飲んで、
酔って、音楽をかけて踊って、騒ぎます。

まあ…、うるさいけど、それは個人の自由として…。


約束通りの賃金が払われているにもかかわらず、
仕事開始後2週間経たないうちに賃金に不満をいい、
賃上げ交渉が決裂して急にカップル揃って退居し、
人手が足りなくなったり。

畑では、規模に合わせてピッカーを雇います。
収穫期に急にピッカーに辞められてしまうと、
予定通りの日程で収穫できず、酸が落ちてしまったり、
作りたいワインのスタイルを叶えられなかったりします。
ピッカーの給料はワインの原価に直接かかるので、
簡単に変えることはできないからこそ、
雇う前にあらかじめ伝えてあります。

そんなことを意にも介さず、
次に決めた仕事をオーナーに平気で話す姿を見て
呆れてしまいました。
ワイン好きじゃなくてもいいから、
人に対しての常識的な敬意を持ってほしい。

でも、これも、もしかしたら
わたしが不満に思うべきことではないかも…。


海外のドミトリーに泊まったことのある方は
経験されたり、想像しやすいかも知れませんが、
共同キッチンのシンクはいつ行っても皿で溢れ返り、
洗われたはずの鍋は、何かがたっぷりこびりつき、
机も床も食べ物、飲み物、靴の砂こぼしっぱなし。
バスマットは24時間びしょびしょで、
どこのタオルも布巾も全部汚れていてかび臭い。
ドアを閉めないから、ハエが大量に入り込み、
それが耳元でうるさくて寝られない。

正直一緒に住める方々ではありませんでした。
あーもーほんと出て行きたい、って何回思ったか。
どんな人と住むか、自分では選べず、
必ずしも、毎日楽しく生活できるとは限りません。

「何となく楽しそう」では、なかなかしんどい時も。
何しに来たんだっけ、と立ち返る軸を持って、
自分のしたいことや見たいものに向き合って過ごす。
とはいえ、人間だもん、イライラしたりして。


せっかくなので、いい話で締めたい笑

今一緒に住んでいるイタリア男子とフランス女子は、
ワイナリー経験も豊富で、実際にワインメーカーとして、
お給料をもらって働いている人たち。

ワインを飲み交わして、意見を言ったり、
過去ワインに関するどんな勉強をしてきたか、
これから何したい、どうなりたい…
そんな話ができるようなアツい環境です。

まだまだヴィンテージは続くので、
今のラッキーな生活を存分に楽しみたいと思います✨
誰と過ごすかって、大事だよねえ。

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