低気圧爆弾
近未来にやって来る新戦国時代の話。
世界中の戦場で猛威を振るう兵器は、低気圧爆弾と呼ばれていた。
爆弾低気圧の襲来かと錯覚させる暴風雨が突如、吹き荒れる。建物という建物を破壊する。
でも、これは序の口。
暴風雨の上から降ってくるのは、リアル爆弾だ。破壊された建物の中を、人を、焼き尽くしてしまう。
第一波、第二波と続く攻撃だから、極めてタチが悪い。
低気圧爆弾を造るには、大量の雨と風が必要だ。
だから、低気圧爆弾を造るため、大量の雨と風が地球から消えてゆく。
一年中、カラッカラの猛暑日と熱帯夜が続くことになる。
いつのまにか、人は低気圧爆弾を欲するようになっていた。
雨と風、つまり水と冷を求めて。
地球が朽ちてゆく。
人が人を、滅ぼしてゆく。
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