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176 チョコレート・ナイト

すっかり空気が冬色になってきた。
空気は目に見えるわけではないけれど、どうしても季節によって「色」がある気がする。
それは人それぞれ、過ごしてきた時間や見てきた景色、感じてきたことによって変わるものだ。

例えば、夏は海や空のブルーをイメージする人もいるだろうし、日差しのイエローが頭に浮かぶ人も、いきいきとした植物のグリーンを想像する人もいるだろう。どれも尊い感性だと思う。

冬はどうだろう。雪の白、重たい空の色グレー、枯れ木の茶色。あたたかみのあるレッドなど。
正解のないものについて考えるのはいつも楽しい。

私はというと、紺色と茶色のイメージ。紺色は長く長くなっていく夜の色、茶色はココアやチョコレートだ。それは、私の中で幾度ものチョコレート・ナイトを過ごしたからだと思う。


寒くなればなるほど、チョコレートがあると嬉しくなる。
夜、くたくたの状態で楽しむチョコレート・タイムはとっても贅沢。
冷えでかたまった身体や一年の疲労がたまった心を、カカオの香りがじわじわと癒していく。
もちろんしょっちゅうはできないけれど、思いっきり自分を甘やかしたい夜もある。
心が潤うなら、カロリーやニキビ発生の可能性なんて些細なものだ。

今回は、冬に向かう夜に楽しむチョコレート・タイムに関するおしゃべり。

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01 チョコレートと自分の対話
自分を癒したい夜は、チョコレートをお供にどんなことをするだろう。
キャンドルを灯して、その小さな炎をゆらゆらと眺めるのもいいし、気になっていたドラマや映画を見るのもいい。

私の場合、チョコレート・タイムを設ける夜は自分の振り返りをすることが多い。
過去に描いたもの・書いたものを眺めたり、これまでもらった手紙を読み直したり、アルバムをひらいたり。

すると、これまで色々な人と出会い、支えられ、その中で間違いもあったかもしれないけれど、自分なりに考えて歩いてきたことがわかる。

こういう日は、少し甘めのチョコレートがおすすめ。
ミルクを感じるやさしい味わいのチョコレートで、自分の時間を認めてあげよう。

ある夜、手紙を見ていたら、封筒の中から大学生の頃の写真が出てきた。
友人と花壇の前でおすまししている写真だった。
それを見て、なんだかかわいいなと思った。
顔がどうこうじゃなくて、覚えたてのちょっと下手なお化粧とか、あまり似合っていない茶色の髪とか、アルバイト代で買った背のびワンピースとか。

少しでもキレイになりたくてした「一生懸命」が可愛く写っていた。
ときには、客観性を失うくらいがんばるのもいいかもしれない。

チョコレート・ナイトは、そういう気づきを与えてくれることもある。

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02 チョコレートと他人との対話
チョコレートをお供に読書をするのもいい。

新しい本でもいいし、前に読んだことのある本もいい。
前に読んだことのある本は、一度会ったことのある人にもう一度会いに行くようなものだ。

変わらないものを見に行くのは、自分の変化を知ることでもある。
前に読んだ時には気がつかなかったようなところが印象に残ったり、伏線に気がついて感激したり。本を閉じていても、時間は進んでいるのだ。

物語はもちろん、エッセイも見るラジオのようで楽しい。
深まる夜の中、チョコレートの香りと一緒にうんうんとうな頷きながら読む。

こういう日は、ナッツやドライフルーツが入っているチョコレートがおすすめ。さまざまな食感が考えの多様性とマッチして、豊かな気持ちになる。

ときどき「そうかなぁ?」と思ったり、「そういう考えもあるのね」と視野が広がったり。
他人の頭の中を覗くことで、自分の心の広がりを感じる。


疲労で立ち止まった時、あるいは躓いてしまった時。
すぐに歩き始めてもいいけれど、そのまま座り込んで自分の気持ちに目を向けると、次の一歩が力強くなることもある。チョコレート・ナイトは、そんな座り込む時間だ。

夜が濃く、力を増す季節。チョコレートとあたたかい飲み物(おやすみの前の日は、お酒も素敵)を用意して、音のないおしゃべりを味わってみよう。

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