[超短編小説]美味しくない、べっ甲飴。
人は性質的に、人の痛みより、喜びに対する共感能力が低く出来ているらしい。人の悲劇は蜜に変わり、人の喜びはあくまで人の喜びのまま。全然、甘くない。
_____ワタシは、甘い蜜だった。
高校時代の記憶は、クレヨンの黒で塗りつぶされたまま。光に透かしてみても、その光景を見ることはできない。残酷で、悲惨な、乙女の社会。
卑劣で、圧倒的な、オナゴの世界。
スカートの裾は刃物の形に撫でられたまま、リボンは4つ目まで買い直して諦めた。
イジメたアノコが死んだ日に、ワタシはその味を知った。
それは、罪悪感の味がした。
砂糖を煮詰めて焦がしたような、
ベトベトに形を変え続ける、
汚い色のワタシの蜜。
甘くて、甘クて、甘クテ、甘イ。
___美味しくない、べっ甲飴。
−− おまけ −−
タイトルをまず思いつき、ノリでどれだけ書けるものかとやってみました。正直、美味しくない短文だと思いますが、昔の自分がワタシの構想に自然と手を出したような感覚がしました。イジメかっこ悪い。悪口言ったら負け組。やられた側にしかわからない蜜も沢山あったなと、ふと胸くそ悪くなるのでした。