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コートの売り方:アプローチと最初の質問編

アパレル販売員のみなさん、お疲れ様です。

気温は徐々に下がりはじめて、冬を越せるアイテムを目的にお買物や下見に来られるお客様が増えていると思います。やっとですね。

秋冬は単価の高いものが多いので、より着実な接客が必要と考えられます。「アプローチを早めにして、目的をお聞き出しして、ニーズに合ったものをご提案していきましょう。まずは種まきを!」…朝礼などで、こんなことを言われる毎日ではないでしょうか。店内のディスプレイはアイテム集約・集積コーナーを設置するなど、アイテム別ニーズに応えやすく、探しやすくしていることと思います。

ディスプレイはそれで良いとして、
課題は接客のプロセス「ニーズのお聞き出し」です。

お客様のニーズを早く知りたいのは販売員だけ

たとえば「今年はコート新しくしたいなぁ、いいのがあればだけど」と考えるお客様がご来店されたとします。

なんとなくコートを見て回っていると、その様子を見ていた販売員が近づいて「コートでお探しなんですか?」と聞いてきます。(いきなりこう聞くのも良し悪しですけど。)

そこでお客様が「あ、はい…」と答えるやいなや、キターーーーーー!!とばかりに「どういった感じでお探しなんですか?」と突っ込んでしまう販売員さんが多いです。単価が高いアイテムですから意気込みは分かりますが、その前のめりな感じ、お客様の警戒心を増幅させてしまいます。

そんな立て続けになんて聞かないよ~、という人でも、代わりに「お探しの感じあったらおっしゃってください」とか言っていませんか?語尾がクエスチョンマークでないだけで聞き出そうとしていることが同じため、言われる方はあまり変わらない印象です。

お客様がそこでスラスラと答えられるほど、欲しいコートの具体的特徴が決まっていたら、コートをなんとなく見たりなんてしません。目的らしいコートを目掛けて入店、またはそれらをじっくりと見ます。そういうことは、普段から観察グセが付いている販売員さんなら分かるはずです。

先を急がずお客様が何をしに来たのか察して対応する

質問攻めが良くないことは分かっていても、質問をしなかったら、お客様が何を求めているか分からないですよね。推測ばかりしていては、ズレてしまうことだってあるし…ではどうしたらよいでしょうか?

まず惜しい接客の例を会話形式で挙げます。

販売員「そちらは今日入荷したばかりなんです…、今日はコートをお探しなんですか?」←質問①

お客様「あ、はい…(まぁ探してるっていうかなんていうかだけど…)」

販売員「そうなんですね、どんな感じでお探しとかありますか?」←質問②

お客様「いや、まだ特に…(買うかも分からないんだけどな~、やっぱなんか店員要いるとめんどくさいな、ネットで見てから出直そうかな)」

このやりとりは、「そうなんですね」という一見受け止めに見えるワードが入っていますが、ニュアンス的には「やっぱりね」と変わりません。そしてそのまま聞き出しに突っ走る感じは、まだ販売員に心を開こうと思えていないお客様にとって、ペースが合わない場合があります。

しかも質問②ではお探しのコートの特徴をお客様に一から説明させるスタイルです。お客様によっては、ちょっとめんどくさいと感じられます。

次に、もう少しうまくいきやすくなる例を挙げます。

◇◇

販売員「今日やっと羽織り物がたくさん入ってきたので、どうぞ色々ご覧になってみてください」

お客様「あ、そうなんですね(へぇ、いいとき来たかも)」

販売員「この辺りは毎年人気の定番のタイプで、あちらのラックのほうは今年っぽさが強めでコートが主役になる感じです。」

お客様「あー、(オシャレすぎるのはちょっとなぁ…)」

販売員「着回せるものの方が、使えそうですか…??」←質問⑴

お客様「そうですねー、まぁ、ちょっと見てみます」

販売員「かしこまりました。厚さや重さも、ぜひお手に取られてお比べになってくださいね」

お客様「はい、ありがとうございます(あ、そっか、重さね…)」

◇◇

こちらの例では、質問はひとつだけです。その質問⑴までの間に、お客様が見ているアイテム(コート)についての情報提供があり、店内や商品のどこを見たらよいかお客様が判断できるようにヒントを渡しています。そして質問⑴の回答だけで、着回せるほうが良いという具体的ニーズを聞き出せています。

何より一番差が出てくるのは、これらのやり取りの後のお客様の滞在時間です。販売の仕事をされている方ならこのあとのシーンの想像がつくと思います。

最後に、気付いた方もいると思いますが、ふたつ目の例のはじめに販売員が「コート」と言わず「羽織り物」というカテゴリ広めの表現を使っているのもちょっとした理由があります。さて、一体どうしてでしょうか。

答えを知りたい方、ご意見のある方は、noteにコメントかtwitterのDMなどでメッセージをください。

では、本日は以上です。

風邪など召されませんように!

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