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図書館司書が探した「スティックシュガーの猫」とは?

こんばんは、古河なつみです。
以前にもご紹介した事があるのですが、図書館でレファレンス(調べ物の相談)を受けて頭を悩ませた「うろ覚えの書名」をまたご紹介したいと思います(状況や質問者さんの言葉については単語を入れ替えたりしております)。以前の記事は下のリンクからどうぞです。



Q.『山手線魔法少女ミラクルリーナ』という本を探しています。

私「……村田沙耶香さんですよね?」
利用者さん「そうです!検索機で村田さんの名前を入れて、タイトルを入力しても全然出て来なくて……」
私「多分ですが『丸の内魔法少女ミラクリーナ』では?」
利用者さん「それです!路線じゃなかったですね……」

このご質問は地名の覚え間違い、そして「ミラクリーナ」という造語の覚え間違いがMIXになっていた事例でした。こういう場合は著者名に村田沙耶香さんの名前だけを入力して、著書一覧で見ると正解に辿り着きやすいです。


Q.『スティックシュガーの猫を追って』という本はありますか?

私「(まずい、書名に心当たりが全然ない!)……小説、ですかね?」
利用者「ええ、海外の方で……どこの人だったか……名前もちょっと……新聞で紹介されてたんですけど」
私「いつ頃の何新聞かわかりますか?(データベースの書評欄を調べようと起動する)」
利用者「朝日なのは確かだけど、随分前の話だから……量子力学がどうとかって書いてあったんだよ」
私「な、なるほど……(量子力学……猫……ん? スティックシュガー……シュガー……シュ……シュレディンガーの猫!?)」
利用者さん「ちょっと厳しいかな?」
私「いえ、わかりました。フィリップ・フォレストさんの『シュレーディンガーの猫を追って』だと思います」
利用者さん「ああ、この表紙。そうそうこれ!」

ひらめきクイズみたいな事例でした。
ちなみに量子力学の「シュレディンガーの猫」、哲学の「ツァラトゥストラ」は私自身もタイピングミスで検索結果ゼロになりがちなややこしい単語なので気をつけるようにしていました。


Q.『ブラックバード』っていう村上春樹の本なかったっけ?

私「ブラックバード、ですか……伊坂幸太郎さん、ではないんですよね?(最初は『バイバイ、ブラックバード』では、と疑っていました)」
利用者「検索機で見たらそれが出てきたけど違うんだよ。村上春樹だったから読んだはずなんだ」
私「(村上さんの小説、私もだいたい読んでるはずなのにそのタイトルに覚えがない、と言うことは……)短編、ですか?」
利用者「んー、確かに短かった気がするなぁ」
私「(流石に短編のタイトルは全部把握してないし、インターネット検索で出てくるかな?)……ブラックバード、村上春樹……あれれ、すぐに出てこない……?」

※村上春樹さんは国内外問わず注目されている作家さんなので検索結果にノイズ(調べ物に必要ではない情報のこと)がとても多い傾向があります。しばらく一人で混乱していると、先輩司書から「国会のNDL(国立国会図書館オンライン検索)なら短編集に収録されているタイトルも全部見られるよ」と助言をいただきNDLのサイトへ移動。

私「書名が「ブラックバード」、著者は「村上春樹」さん……んん?」

私「あっ、村上春樹さんが訳されているレイモンド・カーヴァーの『象』に「ブラックバード・パイ」という小説が収録されていますね」
利用者「彼本人が書いたんじゃなかったっけ? そうか、外国の話だったもんなぁ。手間かけて悪いね!ありがとう!」

自治体によっては予算の都合でデータベースの機能が少なく、所蔵している短編集に収録されている各話のタイトルまでは検索できない場合があります。そういう時は国立国会図書館の蔵書検索システムで調べると各話のタイトルと掲載されているページ数を(基本的には)確認する事が出来ます。
ピンチの時は先輩に早めに相談するのがやはり良いですね……!

今回の紹介はここまでになります。
お読みくださりありがとうございました。
それでは、またの夜に。

古河なつみ

まずはお近くの図書館や本屋さんをぐるっと回ってみてください。あなたが本と出会える機会を得る事が私のなによりの喜びであり、活動のサポートです。