見出し画像

図書館の意外な弱点!○○○を持っている公共図書館は激レアです

こんばんは、古河なつみです。
学生さんの受験シーズンも終盤に入ってきましたね。
司書として働いていた頃はこの時期になると、ある資料の所蔵について問い合わせが増えてくるのですが……そのレファレンスを受けた時のお話をしたいと思います。


「○○大学の赤本(過去問題集)ってありますか?」

上記のような問題集を見た事がある方は多いと思います。
学びの場を提供する公共図書館なのだから、勉強に役立つ「問題集」は揃っていそうですよね。

ところが……問題集を所蔵している公共図書館はたいへん少ないのです。

私が学生さんに「この図書館には赤本の所蔵がなく提供が難しいです」とお答えすると「えっ……? 塾の先生が図書館には赤本が揃ってるって言ってたんですけど……?」と首を傾げられてしまい、事情を説明するのに苦労した記憶があります。

おそらく学生さんにアドバイスをした塾の先生が仰ったのは「学校図書館」のことでしょう。

公共図書館では「書き込み」などの汚損トラブルが発生しやすいことから「問題集」と呼ばれるような資料はあまり所蔵しない傾向があります。

代わりに学生さんの味方となるのが「学校図書館」です。全ての学校にある、とまでは言い切れませんが大学受験に需要の高い赤本は学校図書館で所蔵している可能性が高いです。

「それなら公共図書館の資料って受験勉強には役に立たないの?」

大学の過去問を解きたい、という明確な目的がある方には確かに公共図書館は役に立たない施設かもしれません。
しかし、お勉強に役立つ資料はちゃんと所蔵をしています。

「英語の文法でわからないことがある」
「数学の因数分解の解説を詳しく知りたい」
「世界史について通覧できる本を探している」
「小論文の書き方が知りたい」

こういった弱点を克服したいと考えている方には紹介できる資料がございます。もしも学びたい分野がはっきりしている場合は図書館の司書にぜひ訊いてみてくださいね。

番外編「資格取得のための過去問題集は置いていますか?」

これは余談ですが「簿記」や「アロマテラピー」「カラーコーディネイト」などの資格について勉強できる過去問題集を探している、という問い合わせも意外と多いです。

これらの「資格取得のための問題集」も書き込みなどのトラブル防止のためにほとんどの自治体が所蔵していません。

とはいえ「問題集」はなくとも、学習の手助けとなる資料は所蔵している可能性が高いです。

特に簿記は需要が大きいためわかりやすく解説した資料が多く出版されています。アロマテラピーであればハーブの効能などについて一覧でわかるような資料も存在しており、カラーコーディネイトであればカラーデザインの見本帳や色についての基礎的な用語を解説する資料もあります。

公共図書館の司書には様々なタイプの人がおり、利用者さんから依頼された書名を調べて「ないですね」と答えて終わりにしてしまう方も残念ながらいます。

ですが、もしも特定の本でなくてもいいのであれば「似たような内容の本やそのジャンルの参考になる本ってありますか?」と追い質問をしてみてください。

求めている内容に近い資料を紹介してもらえる可能性がぐっと上がります。

もちろん、そこまで言わなくとも案内をしてくれる司書もいるので、もしも詳細を尋ねられたら事情をお話してみてくださいね。

ここまでお読みくださりありがとうございました。
それでは、またの夜に。

古河なつみ

まずはお近くの図書館や本屋さんをぐるっと回ってみてください。あなたが本と出会える機会を得る事が私のなによりの喜びであり、活動のサポートです。