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ビックダディを見ていた

【2013年5月10日】2歳9か月

いきなり他人の家族の話だが、僕は『ビックダディ』が好きだった。見てない人も、その存在ぐらいは知っているはずだ。当然、好きも嫌いもあるだろう。これまでの「大家族」ドキュメンタリーの枠では語れない、一つの王国、まるで「ムツゴロウ王国」のような広がりと奥行きのある団体芸が魅力だった林下家。そんな家族には、チビから成人まで、豊富な人材がずらっと揃っていた。成長の段階も様々。僕は自分の娘の年齢を、林下家の誰かに重ねつつ、娘の今後の成長を予測しながら見るのが好きだった。

「3歳になるとあーなるのね」「4歳になると、あんなに生意気なことを言うのか!」「5歳になると手が付けられなくなるなぁ」とか。

参考にしている家族があまりにも特殊ではあるが、そんな成長のグラデーションを『ビックダディ』に見ていた気がする。だから、勝手にお世話になった。そんな番組も4月の放送で一区切りらしく、今後の放送があるかどうか分からない。これから僕は何を楽しみにして生きて行けばいいのかと落ち込んだが、そもそも他人の家族にうつつを抜かしてる場合ではない。

8月には娘が3歳になる。

俗に言われる「三つ子の魂百まで」の3歳を迎えてしまうことになる。
これまでの教育は合っていたのか?もう娘の成長に軌道修正は利かないのか?
そんな答え合わせの緊張を強いられるような言葉だ。そもそも教育らしい教育はしてないのだが、自分がどんな背中を見せられるかだけは考えて生きて来た。
背中を見せた所で、こっちが期待する想いを抱くとも限らない。見せただけで終わる可能性もある。いや、見てすらいないかもしれない。でも、そんなもんだろうと思う。自分だって、親の背中なんかイチイチ見てなかったし。それに、娘はすでに自分の思想を持ち、自由に生き始めている。
あんなに怖がっていた切り札の鬼も、ここへ来て、「鬼は存在しない」「鬼はやって来ない」ことを知り始めてヘラヘラしている。
ここは一発、本気で鬼を召喚する(僕が鬼の面を付けて本気で鬼を演じる)
しかない。今度、絶対に泣かせてやろうと思う。

<文・フルタジュン>

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