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OKレクレーション

御年80歳の未来さんと光里さん。
今日も井戸端会議で盛り上がる。
近くて遠い…未来のお話。
 
光里「未来さん、
   気になることがあるんだけどぉ」
未来「何?
   気になることって?」
 
「未来さんの施設では、
 レクレーションってある?」
「あるわよ。
 ゲームをしたり創作とかかな?」
 
「そうだよねぇ。
 その歌ってやっぱり童謡どうようとかぁ?」
「童謡も歌うけど、
 別の曲もあるわよ」
 
「うちはカラオケとかあるんだけど、
 みんなが歌ってる曲がわからないのぉ」
「世代一緒じゃないの?」
 
「そうなんだけど、
 万人ばんにんが知ってる曲ってなくない?」
「言われてみれば、
 私たちの世代で国民的ヒット曲って、
 なかったね」
 
「そうなのぉ。
 私たちの時代って、
 誰もが知る定番がないのぉ」
「確かに。
 共通の話題で困った覚えがあるわ」
 
「そうでしょ?
 好きな曲をノリノリで歌われても、
 知ってる人がいないから通夜つや状態よぅ」
「それは大変ね。
 うちはどんな曲でも盛り上がれるわよ」
 
「え?!どうしてぇ?
 どんな曲でも?」
「どんな曲でも大丈夫よ」
 
「そういう楽曲集があるのぉ?」
「違うわ」
 
「じゃあ、
 みんなで音楽の勉強してるとかぁ?」
「それはしてないけど、
 …でも勉強と言えば勉強ね」
 
「どんな勉強ぉ?」
リズムの勉強
 
「リズムゥ?」
「うちの施設の高齢者は手拍子が上手いの」
 
「手拍子?」
「歌う曲のリズムに合わせて、
 手拍子や鳴り物なりものを鳴らすのが、
 上級者レベルなの」
 
「上級者レベルゥ?」
「うちでは利用初日からリズムの取り方を、
 徹底的に教え込まれるの。
 私でもできない16ビートをきざめる
 おじいちゃんもいるのよ」
 
「そんなこと可能なのぉ?」
「たまにふるえてるだけだって、
 馬鹿にする人いるけど、
 あれは間違いなく4/4拍子よ」
 
「やればできるんだねぇ」
「そうよ。
 そしてそれの良いところは、
 どんな曲でも合わせられるし、
 誰もが楽しめるということ」
 
「なるほどぉ。
 知らない曲でも手拍子で、
 盛り上がれるんだぁ」
「凄いでしょ?
 でもそれだけじゃないの」
 
「まだ何かあるのぉ?」
「うちの利用者は、
 コールが出来るの」
 
「コールゥ?」
「知らない?
 よく歌に合わせて、
 歌い手の名前さけんだり、
 掛け声を掛けたりするの」
 
「ああ~見たことあるぅ。
 確かアイドルとかのコンサートで、
 踊りながら叫んでるの、見たぁ」
「そうそう、そういうのが、
 うちの利用者の人達は、
 完璧にできるの…踊りはないけど」
 
「ヤバいねぇ…あっ、そうかぁ!
 それなら誰がどんな曲を歌っても、
 取り残される人いないんだぁ。
 それ考えた人、かしこい!
 なんか凄いというか…尊敬
「でしょ?
 この前、マスターしたのは、
 米津玄師さんKICKBUCKキックバック
 
「あんな速い曲できるのぉ?」
「そりゃあ練習したわよ。
 みんな真剣だから上達が早くて。
 歌い出しの部分の、
 努力未来 a beautiful star!を言う職人
 その節々でオ~イ!と、
 合いの手を入れる人達で、
 気持ちがアガるアガる~」
 
「未来さん興奮してるねぇ」
「私は歌レクの時間が一番好き!
 だってレクが終わるといつも、
 ライブ終わりの満足感みたいな、
 余韻よいんがたまらないの~。
 みんなの体力考えて、
 火曜日限定なのがほんと残念」
 
「いいなあ~楽しそうでぇ」
「人生、楽しく生きたいでしょ♪
 みんなこれに名前までつけてるのよ」
 
「名前ぇ?」
「みんなこれのこと、
 オタ終活しゅうかつって呼んでる」
 
「流行りそう~」
 

これは未来の話でありフィクションです。
でも30年後はさだかではない…。

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