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世紀末怒覇奪祭! ~前夜祭~

解説席。

「本日はここ南日本、
 地鶏の名産地○○町にやって参りました!
 実況の小田です。
 解説は地元を愛する会会長、
 松永さんにお越し頂きました。
 本日はよろしくお願いします」
「どうもですじゃ」
 
「この○○町は昨今さっこんの、
 人口減少シャッター商店街
 住民の高齢化など、
 地方が抱える問題が山積さんせき
 役所も対策が追いつかない状況でした。
 
 誰もがもうこの町は駄目だと諦めてた…
 
 その時!
 救世主きゅうせいしゅが現れました!
 
 それがこの町がほこ青年団!
 武蝋里ブローリーーーー!!
 
 そうですよね会長」
「その通りですじゃ」
 
「悲しみに暮れ…疲弊ひへいする町民たち。
 追い込まれた人々を救うべく、
 彼らは5年の歳月ついやし、
 愛する者たちのため知恵をしぼり、
 辿たどり着いたのが、
 この日本一にほんいちド派手な祭典さいてん
 
 魔怒魔苦簇マドマクスーーッ!!
 
 ご覧下さい!!
 
 目の前にはゆうに20人は
 乗れるであろう巨大な山車だし!!
 
 道幅いっぱいの車体は、
 絶対転倒しない安全基準仕様
 
 そうですね会長」
「安全ですじゃ」
 
「武蝋里のメンバーは、
 ド派手な特殊メイクに、
 トゲトゲしいライダース姿に身を包み、
 鉄仮面のような、
 フルフェイスのヘルメットーー!!
 
 もし道で遭遇そうぐうしたら、
 視界に入れてはいけない見た目だーー!!
 
 え~情報によりますと、
 武蝋里ブローリーという名前ですが、
 最初はブロイラーが候補だったそうですが
 まんま鶏肉は格好悪いということで、
 変更されたそうです。
 
 あと彼らが装着している装備は、
 全身オフロードバイク用の、
 衝撃吸収プロテクター…だったんですね。
 
 これなら何があって大丈夫だーー!!
 
 完璧なまでの完全防備…さすがです!!
 
 そうですね会長」
「象にまれても大丈夫じゃ」
 
「おっと!
 山車の先頭には、
 ダブルネックギターを抱えた人物が
 クレーンで宙吊りにーーーー!!
 
 大丈夫なのかーー?!
 
 髪がトサカのように…超長い…
 いや、あざやかなメッシュが入り、
 トサカというより尾長鶏おながどりのようだ!!
 
 そして腰にはもちろん、
 安全帯とワイヤァーー!!
 
 素晴らしいです会長」
「あれは長男の嫁じゃ」
 
「何やら尾長鳥女が他の山車に、
 合図を送っているぞ…」
 
キュイーーーーン!!
 
ギターをき鳴らすーー!!
 
ジュワーーーン!!
 
「今度は山車の上の男がそれに応えるべく、
 銅鑼どらを響かせたーー!!
 
 凄いぞーー!!
 
 おっと!山車の上で勇ましい男女が、
 一斉に時の声
 いや!雄叫びを上げたーー!!
 
 そして太めのチェーンを握る屈強な男女が、
 力の限りチェーンを引く~~!!
 
 今まで微動びどうだにしなかった巨大な山車が、
 いきなり!
 トップギアの猛スピードで、
 駆け出したーー!!
 
 チェーンにつながれた山車は、
 まるで暴走した装甲車《そうこうしゃ》ーー!!
 
 そして勢いそのままに…
 大観衆で沸き立つ観客エリアに…
 
 殴り込みだーーッ!!
 
 観客大熱狂ーーゥ!!
 
 血をたぎらせる高速ギターの響きが、
 山車をドンドン加速させてるぞーー!!
 
 凄いですよ会長!!」
「うちの自慢の嫁じゃ」
 
つづく。


 このお話はフィクションです。
実在の人物・団体・商品とは一切関係ありません。 

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