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【新刊発売記念】『ばいばい こころの緊急事態 追い求めるのをやめてみた。』著者・妹尾まみと父・妹尾河童の親子インタビュー vol.2

【親子インタビュー②】

父:妹尾河童(自伝的小説『少年H』著者)
 × 娘:妹尾まみ(『ばいばい 心の緊急事態 追い求めるのをやめてみた。』著者・心理カウンセラー)

『チャレンジ精神と強運を持つ父、優等生タイプでしっかり者の母』

インタビュアー:
まみさんは、河童さんのこれまでの人生をどう感じていらっしゃいますか?

まみ:
父の人生は、チャレンジ精神と強運そのものだと思います。
父は母より運動神経が鈍いのに、趣味でも、スキーだけでなく、射撃をしたり、素潜りをしたり、果敢にチャレンジして楽しんでいました。
実にたくさんのことに興味を持って、チャレンジして、それが見事に仕事に結びついたりしているんですから、びっくりするほど強運に恵まれていますよねぇ。

河童:
僕は、ほんとに運が強い。出会う人にめぐまれている。
いろんな形で次の人と鎖のようにつながっているんだ。
若い頃には思ってもみなかったことだけれど、振り返るとそうなんだよなぁ。
ぼくは舞台美術家になる前は看板屋の小僧だった。
その小僧が、人からの紹介で劇場のポスターを描くようになり、突然オペラやバレエの舞台美術を頼まれるようにもなったことがきっかけで舞台美術家になった。
するとテレビの時代がやってきて、「ミュージックフェア」や「夜のヒットスタジオ」などの音楽番組やドラマのデザインも手掛けるようになり、それらの仕事を評価してもらえて、40歳のときに、文化庁の芸術家派遣研修制度で生まれて初めて海外を旅した。そしてそのときのスケッチが本になった。
すると週刊誌の連載も依頼されるようになり、連載が本になりエッセイストという肩書も増えた。
僕と同じように戦争を体験した澤地久枝さんたちからの勧めで、自伝的小説「少年H」も書いた。
そんな具合にどんどん繋がって来たわけだ。

インタビュアー:
まみさんが子供の頃、お母さん(風間茂子さん)はどのような方でしたか?

まみ:
本書にも書いていますが、今の母は、継母なんです。
彼女は、父とは真逆の真面目でしっかり者の優等生タイプで、とても責任感が強い人なんですね。
だから継子でも一人前に育てることを自分の役目と考えていたようで、徹底的にしつけられました。
ちっともしつけが行き届いた娘には育ちませんでしたけれど(笑)
大人になってからは、母の優しさがわかるようになりましたが、子供の頃の母は、「クールで厳しい人」というイメージでした。

河童:
彼女は継母らしくなかった。本気になって育てていたね。
あんなに一生懸命子育てするのは大変だったろうなと思う。
まみは、階段を降りるのが下手で、体がだんだんのけぞっちゃうの。だから階段の降り方まで教えていたこともあったね。

まみ:
運動神経が悪いのは父の遺伝です~。
幼稚園のお遊戯で私一人だけがちゃんとスキップを踏めていないことがわかり、母が呆れて特訓してくれたこともありました。

河童:
周囲から継母だと思われることで、いろいろ悩んだりもしていたと思うよ。

まみ:
母が私に一生懸命向き合ってくれていることは、子供心にも伝わって来ていました。
実は、私は小学生のときに、母の育児日記を盗み読みしたことがあったんです。
日記の冒頭に、母の継子育ての決意のようなことが書かれていて、当時の私には意味不明でしたけれど、読み進めながらボロボロ涙が溢れました。
厳しいから好きとは思えない母でしたけれど、信頼関係は築かれていたのかもしれません。「継母だからいじめられるんだ」などと思うようなことはありませんでした。
母は、継子の私との関係がうまくいったら、実の子をもうけたいと思っていたらしいです。
だから弟とは、8歳も年が離れているんです。
それだけ真剣に子育てについて考えてくれていたのでしょうね。

河童:
まみの弟はね、学校の宿題で「大きくなったらどんなお父さんになりたいか?」という作文を書かされたとき、「普通のお父さんになりたい!」ってたった1行だけ書いたことがあった。
つまり僕のような親父にはなりたくないってことだよな。

まみ:
子供っぽくて、ちっともお父さんらしくなかったからね~(笑)
子供っぽい親に育てられる子供は大変なんですよ~!

インタビュアー:
本書のキーワード、「見捨てられ不安」について教えてください。

まみ:
「見捨てられ不安」は、何らかの事情で、家庭環境に不安や緊張を感じていたために、子供らしくのびのびとした気持ちで育つことができなかったような人たち特有の、得体の知れない不安な心理状態を表すものです。
大人になって自立しても、人から見捨てられることを極度に恐れ、周囲の言動に過敏なため、常に不安、焦り、孤独などの負の感情に支配されがちになります。
「見捨てられ不安」は、自虐的な思考回路や、自己評価の低さの原因にもなります。

あるとき、私も「見捨てられ不安」が原因で、生きづらいことに気がつきました。
私の場合は、子供の頃、両親がまるで二枚の鉄壁のように感じていたため、親の愛情を認識することができずにいたことが影響していたんじゃないかと思います。本当は、こんなに愛情深い両親だったにもかかわらずです!
親の厳しいしつけが「見捨てられ不安」の原因になっている人は多いようです。
私も、希死念慮、共依存、ワーカホリック、うつ病、不眠症……など50年近くも「生きづらさ」を抱えていて、二度も離婚してしまいました。

でも、私のように、大人になってから、信頼関係を築ける人たちと出会えて、物事の受け止め方も変わり、「生きづらさ」から解放される可能性は誰にでもあるということをお伝えできたらと思って、本書を書きました。
希望を捨てずに、無理をしない程度に頑張って生きていれば、自然に良い人間関係に恵まれるようになります。
私は、がむしゃら過ぎて、人との縁も蹴散らしてしまっていたように思います。(笑)
いくら頑張ってもうまくいかないこともあるんだと、観念したときに、自分の生き方の癖のようなものがわかってからは、スーッと肩の力が抜けて、気が楽になったら、それまでの人間関係も急に良くなって、「見捨てられ不安」からも解放されたんです。
親元を離れて三十年近くも経ってから、親に愛されていないわけではなかったんだと思えるようにもなりました。
私がそのようなことを1冊目の著書に書いたとき、両親は、「あんなに愛情を注いで育てたのに、愛されていると思えていなかったなんて」とショックを受けたようでした。

河童:
親の心子知らず、親も子供の心知らずっていうことか・・・

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                               つづく

著者:妹尾(せのお)まみ プロフィール
心理カウンセラー(認定心理士)。
44歳で東京福祉大学社会福祉学部社会福祉科国際福祉心理専攻。在学中の短期留学(フォーダム大学とハーバード大学)で最先端のアメリカのメンタルケアおよび福祉施設について学ぶ。高齢者介護施設勤務経験あり(ホームヘルパー1級、福祉用具専門相談員)。東武医学技術専門学校非常勤講師(2010~2013)。2005年にmami'sカウンセリング・ルーム開設。著書に『生きづらいあなたには「見捨てられ不安」がある!』(主婦の友社)がある。


📚書籍ご紹介📚

追い求めるのをやめてみた帯付書影【最新】

『ばいばいこころの緊急事態 追い求めるのをやめてみた。』
~「生きづらさのカラクリ」を知って幸せになる方法~

妹尾まみ/著
ISBN:9784907537333
本体価格:1,400円(1,540円 税込) 体裁:四六判・P224


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