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spring diary

ふと思い出したこと。
大学の入学式の日。どきどきが鳴り止まなかった、当日の朝。なんとか学校まではたどり着いたけれど、式の途中で張りつめた空気に耐えられなくなり、こっそり一人で体育館を抜け出したことがあった。

体育館裏には、ふかふかの原っぱがあって、野球場が一望できる。季節柄、淡くきれいに色づいた桜の木が、やさしい光を浴びて美しかった。

その横に、すとんと座り、まずはゆっくり深呼吸。まだまだ終わらなそうだなぁと、かばんからスケッチブックを取り出して、その桜の木を描いてみることにした。空は眩しいくらいの水色で、あたたかな日差しと、たまにふわりと吹く春の風が心地よい。

木と紙を目で往復しながら、サッサッと夢中で手を動かしていたら、描き終わる頃には不思議と気持ちが落ち着いて。なんだかむしろ穏やかな気持ちになっていた。私は昔から緊張した時や不安な時など、何かを描くこと作ることで気分を安定させることが多い。

ほんのり甘い香りを引きずったまま、そのあとはちゃんと体育館に戻ったのだけれど、抜け出したのは良くないことなのに、この時の景色があまりに心地く印象的だったので、いまでもずっと覚えている。

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先日、春にまつわる素敵なnoteを読んだら、ふとそんなことを思い出して、久しぶりに書いてみました。ヘッダーのイラストが桜ではなくたんぽぽなのはご愛嬌で。。それでは良い夜を。



お読みいただきありがとうございました。おだやかな1日になりますように。