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小説のようなもの

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最高に都合の良い男

最高に都合の良い男

「結婚することになった」

まるで他人事のように彼女は告げた。

テーブルの上にある焼き鳥を口に運びカシスオレンジで流し込む様子を見つめつつ、僕は煙草に火をつけた。彼女に煙が触れないように天井へめがけて吐き出す。

「なんで?」

平常心を保とうとしながらも、言葉には動揺が現れてしまった。もう少しクールな返答ができないものか。

「彼氏が本格的に病んできたから」
「どういうこと?」
「そのままの意

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