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GINZA SIX

「この20年で変らなかったのは、本への思い入れを読者に伝えようとし続けた書店員たちの存在である。彼ら、彼女たちがこれからも書店を支え続けるのである。・・・」 学芸出版社営業部の名物社員・藤原がお送りする、本と書店をめぐる四方山話。

別の場面で書いたので繰り返しになるけど、本を読むというのは益々マニアックな世界になろうとしている。まして紙の本を読むという行為は、寺社めぐりが好きだという若者の存在確率と同等なのではないだろうか。

鉄子さんや山ガールより、本が好きな女子は少ないような気もしているし、釣りが好きだという男子よりも本好きの男子は少ないのではないかとも思う。そう考えると書店はかなりマニアックな存在であると言える。

履歴書に趣味=読書又はレコード鑑賞なんて書いていた昭和の時代ではまだまだ高尚な位置を占めていた読書は、今や履歴書に書いてはならない言葉になっている。読書という趣味からその人となりが見えないから、という意味ではなく、暇があれば本を読んでいるような人物像がマイナスイメージとなっているのだ。

本が好きという男子に憧れる女子の数はどれほどだろう。初めて訪れた彼の部屋の書棚から、彼の志向を見抜ける女子はどれだけいるか。本という媒体を通して人を見抜くことは難しくなっている。エロ本が棚に入っていれば話は別だが。

だからこそ、書店は益々読者ひとりひとりに対してシビアな品揃えをして欲しい。1年に1冊か2冊しか売れないけれど、あなたの店に訪れるマニアさんが買ってくれる本がズラリ。あんた目利きだねと書店も読者も互いに思っているような書店。売れへんけどええ本ありまっせ!そんな意気込みがマニアは好きなのである。

そう言えば、書店ではないが、GINZA SIXがそのあたりを敏感に感じているようだ。元々書店とは特定のあなたを相手にしていた商売だったのだが。

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