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ブック&カフェ

「この20年で変らなかったのは、本への思い入れを読者に伝えようとし続けた書店員たちの存在である。彼ら、彼女たちがこれからも書店を支え続けるのである。・・・」 学芸出版社営業部の名物社員・藤原がお送りする、本と書店をめぐる四方山話。

少し前からカフェのある書店、雑貨を売っている書店、そんな業態が特に珍しいものではなくなった。
当初は小規模の書店の話だった。しかし、このところ大手グループが大規模にこうした書店を展開しつつある。
現状ではカフェのない書店なんて・・・という言葉が聞かれても不思議ではない状況だ。

また、1000坪を越える敷地内に、書店、カフェ、レストラン、レンタルDVD、セルCDなどを集中させ集客するというスタイルのものもある。
映画はインターネットで簡単に入手出来るし、音楽CDは今や風前の灯火で、音楽を手に入れるのはダウンロードが一般的になりつつある。
レンタル店は時代から取り残されようとしている。

本だってネットで買える時代だし、いまさら斜陽産業を集積しても売上は見込めないと思うのが一般的だが、すでに何度も言っているが「物」の力は大きい。
家の中でキーボードを叩くことと外へ出て手に取ることの違いは誰でも知っている。
映画、本、音楽などインターネットに持って行かれたグッズを大規模店舗でドッカーンと並べれば、その空間に居ることに満足する。そして購入意欲が増す。そんな発想である。

実際にこのスタイルで営業している店舗は成功を収めている。
これは本を売るための仕掛けではなく、本は数ある商品の一部として機能している。映画と音楽しかなかった店舗に本を導入することで、さらに商品力を高めたと言えるのだ。
書店側の目から見れば、その品揃えに不満があるかも知れない。
本がたくさんあるからといっても本の専門店ではないのだ。
多少欠陥があってもこうした店舗では問題はないのである。

これから先こうしたスタイルの店が増えて行くだろう。
だからこそ本の専門店、つまり書店は気を引き締めて商品と向き合って欲しいと思う。
ブック&カフェ、どっちが主役か。本好きなら、書店に気の利いたカフェがあれば大満足だと思う。

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