加害防止のための活動方針

私たちは社会にある差別と抑圧に抗していくための枠組みであり、そのための運動内でそのような差別や抑圧があってはいけない。私たちは運動内での加害行為を起こさないように取り組むことに務めるとともに、もし起こってしまった際には被害者の救済と再発防止に真摯に務めることを確認する。
 運動内での加害は、個人の尊厳を破壊し、自分たちも抑圧の再生産にまわるものであるから、絶対に回避しなければならない。それに加え、運動の不可逆的な衰退も引き起こしてしまう。より大きな目標のために、目の前の差別に目をつむるなどという考えから私たちは決別しなければならない。

 ほとんどの加害は無自覚におこなわれる。したがって、加害が起こった際の話し合いではその行為「意図」で議論しようとすべきではないし、同時に加害の防止は意図ではなく加害が起こりやすい「行為」の制限によって試みられるべきである。私たちは次の項目について注意することを確認し、運動の中で必要な時に互いに注意していく。

①見た目による決めつけ
 見た目で性別や民族的アイデンティティを決めつけてはいけません。相手の意識や考えを尊重しましょう。

②常識の押しつけ
 自分が「常識」だと思っているものがそうだとは限りません。「常識」を盾に説得するのではなく「相手に不信を抱かせるから」など、きちんと原因を説明すべきです。

③属性による判断
 属性によって行動や考え方が必ず同じようになるわけではありません。個人との対話を積み重ね、安易な決めつけはやめましょう。

④不在の属性
 その場にある属性がいないからといって、特定の属性が不快になるようなことを言っていいわけではありません。そのようなことが常態化すれば、新たな人々が参加するのに困難を感じる団体となってしまいます。

⑤性的欲望の発露・公言
 性的欲望などをことさらに公言し、それによってコミュニケーションを図ろうとするのはホモソーシャルの最たるものです。私たちはそのようなコミュニケーションとは決別します。

⑥属性による役割分担
 性別などによって、役割が偏ってはいけません。特に「裏方」や「顔役」が一部の属性に集中することは避けるようにしましょう。

⑦知識マウント
 学生運動は知識の共有や継承と切り離せませんが、自分の知識や考えをひけらかすことと、必要な継承を混同していないかチェックすべきです。

⑧飲み会での注意
 飲み会に参加せずとも関われる運動を目指してしていくべきです。団結を深めるために飲み会は有効ですが、それが強制になってはいけません。

⑨告発を封殺しない
 組織の防衛や運動のイメージダウンのために告発を封殺しようとすれば、結果として組織にとって不可逆的な悪印象をもたらします。告発には真摯に対応すべきです。

⑩容姿に言及しない
 相手の容姿について、ことさらに言及すべきではありません。特に、ルッキズムを助長するような発言はやめましょう。

⑪同意のない身体的接触の禁止
 NOと言わなかったらOKではありません。「同性」の間であっても、同意のない身体接触を不必要にすべきではありません。

 また、自分の言動がダブルスタンダードになっていないか確認することは常に必要です。
 加害行為を指摘できるようにすることは重要ですが、身近な人のものや突然の差別的発言にすぐには注意できない人が大半です。中央メンバーは、運動の場でハラスメント・差別発言が発生した際に代わって対応できるよう、特に自覚的に準備しておくことを要請します。


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