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LOCAL PRODUCE BOOK (11) 「プレゼン論」

企画書論に続いて、「プレゼン論」についてお伝えしたいと思います。

圧倒的に場数。近道はない?

この章では、よくある「声の音量」や「目線」、「話すスピード」といった具体的なプレゼンの話よりも、そもそも僕が大切にしているスタンスについてお伝えできたらと思います。

いわゆるプレゼンのスキルを身に付けたい方は別の本を読んでいただくとして、何よりプレゼンは圧倒的に場数なので、緊張感のある場で人に何かを話す機会をとにかくたくさん得ることしか近道はないのかなと思います。

人前で、同じ内容を繰り返し繰り返し話すと上達します


一応、プレゼン時に意識していることを具体的にご紹介しておくと、「ゆっくり話す」「相手の理解スピードや開いているページにあわせて臨機応援に話を変える」「手元の資料はあまり見ず、相手を見て語る」ぐらいでしょうか。

ローカルでは、若者の話をじっくり聞いてくれるオジサンたち(特定の誰かではなく概念として)は多くはいません。ガンガン先にページをめくるのでそれに合わせて話す必要がありますし、横文字は理解してもらえないので、言葉を選び、伝わる言葉で話すことになります。

そもそも広告代理店は企画書を書いてプレゼンすることが主な仕事でしたので、日常的に数多くのプレゼンの場を経験することができました。また、遠野に来てからも、多くの講演やインタビューの機会がありましたのでプレゼンスキルはだいぶ洗練されてきました。

ただ、振り返ると「あー、、これ話そうと思っていたのに、緊張して話すの忘れた…」とか「あのチームメンバーへの御礼を言わないといけなかったのに、時間が押しているプレッシャーで忘れちゃった…」という、苦い失敗もたくさんしました。凹みました。とにかく場数を経験しましょう。

なお、一口にプレゼンといえど、ゼミのレジュメ発表から、商品やサービスの提案、またはコンペ形式の競合プレゼンまで大小様々なものがあります。どんなシチュエーションや規模でも押さえるべきポイントがあるので、経験を踏まえて伝えていきたいと思います。


プレゼンは、プレゼント。

まず、「プレゼンテーション / Presentation」はある言葉が変化した単語です。それは「プレゼント」

研修ではいつもこれをクイズにしていますが、意外に「プレゼン」と「プレゼント」が繋がっているという認識を持っている人は多くありません。

プレゼンテーションがプレゼントから派生した単語だとすると、どうしたらプレゼンの聞き手にとって良いプレゼントになるかを考える必要がありますよね。渡す側の一方的な自己満足プレゼントにならないようにしたいところです。


また、プレゼンがプレゼントだとすると、プレゼントには「内容」とその「渡し方」があります。『LOCAL PRODUCE BOOK』を読んでくださっていれば、きっと質の良いプレゼント(プレゼン)が出来上がるはずですが、さらに相手に喜んでもらえるようなプレゼントにするためには、渡し方も工夫できるといいです。

というのも、人に何か情報を伝える際、内容がどんなに正論だとしても、伝え方が良くなければ決して相手には伝わりません。伝え方や言葉のチョイスが上手くない場合は、反感を買うことだってあります。

「勉強しなさい!」は正論ですが、ガミガミ伝えられると逆効果になりますよね。書籍化の際は引用元を明確にします


プレゼントの渡し方のコツ、それを「しいたけ占い」を例に考えてみましょう。しいたけ占いを知らない人は検索してもらうと色々出てくるので、まずは自分の星座のところをチェックしてみてください。半年分から毎週まで、実におもしろい人気コンテンツです。富川もよく見てます。

書籍化する際に引用できるかは要確認です


しいたけ占いの特徴は(と言いつつ他の占いはほぼ知りません)、こうした方がいいですよというアドバイスの前に、その星座の人々の性格や特徴を、じっくり語るパートがあることだと思います。

「〜座の人はこういう特徴で、ついこういうことをしちゃう性格で、最近はこういうことが大変でしたよね」と。如何せん他の占いなどを見たことがないので、これがどのぐらい特徴的なのかは定かではありませんが、相手のことをしっかりと理解していることを伝えた後に、「だから、今月はこうするといいですよ」というアドバイスが続きます。

例えば、以下は山羊座の例。前半、山羊座の特徴について的確に言い当てるところで「なんで俺のこと知ってるんだ…そうそう山羊座ってそうなんすよ、しいたけさん!」とすでに心が掴まれてしまっているので、後半のアドバイスをすんなりと受け入れてしまいます。

これをプレゼンに置き換えると、「御社は、こういう会社ですよね」「〜さんて、こういうスタンスがカッコいいと思っていたんですよね」「この商品のここがめちゃくちゃいいですよね」と、相手に対する理解度が高いことを示した上で、その後に「だから、こういうことをした方がいいと思います」「だからこそ、こういうチャレンジを一緒にしませんか」と具体的なプレゼンに入るようなイメージです。

プレゼンは本論にあたる提案内容が優れていなければいけませんが、それと同じぐらい「相手に対する理解度の高さ」を示すことが重要だと考えています。ここでグッと心を掴み、期待値を上げてプレゼンのサビに突入できることが望ましいですね。
※理解度が低かったり精度が低かったりすると、「え、そんなプレゼント欲しくなかったんですけど、、私のこと何も分かってないんだなこの人…」となってしまうのでご注意を。

以下は架空の企画書ですが、例えばKIRINビールさんへ提案するとなった場合は、本論に入る前に、KIRINのことをしっかり理解していることを示しておきたいですよね。担当の方が聞いてて、「そうそう、そうなんだよ!KIRINはそういう会社なんですよ、富川さん」と言ってもらえるような、核心をつく前段を入れておきたいところです。

「KIRINは、日本のビール業界を牽引してきたCSVカンパニーですよね」とプレゼンの前半でしっかり伝えた上で、「そんなKIRINさんと一緒に取り組みたいことがあります」と続くイメージ。


ちなみに、「そうそう、そうなんだよ!〜〜さん」という言葉が先方から出てくるような話しぶりをできると良いです。人は人の話を聞いてるとき、「はい」から始まり、「はいはい」となり、「ふむふむ」になり、「なるほど」になり、最終形態では「そうなんですよ!」になります。この「そうなんですよ!」を出したいですね。これは核心を数回突かないと出てこない言葉です。

必要以上にごまをするとか下手に出る必要は全くありませんが、プレゼンをする相手のことを事前にしっかり調べ、相手の立場や気持ちを踏まえた上で話すことは大切です。話の焦点・力点をどこに置くか、その精度を高めていきましょう。

プレゼンは「説得」ではなく「納得」してもらうことだ、と一般論でよく語られていますが、その通りだと思います。それもこの「相手への理解度の高さ」や「プレゼントになっているか」が起因するものだと思います。

参考:研修ではこのようなシートを使ってワークをしている


プレゼンの内容を信頼してもらうために、盛り込んでおきたい大切なこと

プレゼンで話すべき中身については、ほぼ企画書論でお伝えした内容と同じなので割愛するが、そもそも相手からプレゼンの内容を信頼してもらうために、プレゼンに盛り込んでおくと良いポイントがあるので紹介したいと思います。それは「実績」、「本気度」、「リアリティ」です。

「実績」は言うまでもないですが、「本気度」はどれだけそのことについて熱意を持っているかという点。心の内は見えないものの、具体的なアクション、行動でそれを相手に伝えることができます。

まず、どれだけ時間をかけているか、下調べをしているか、または仕事じゃなかったとしてもすでに自分でやってみているか(自腹で何か体験しているか、取り組んでみているか)、そしてその領域の人たちと繋がっているか、または繋がる努力をしているかで、その人の本気度は判断することができます。これは就職活動の面接でも同じことが言えるでしょう。面接になって慌てて準備するのでは遅く、すでに何かに取り組んでいる、取り組んできた人の言葉は説得力があります。

つぎに「リアリティ」です。これは提案内容についてどのぐらい解像度を高くイメージできているかという点です。完成イメージが想像できるようなデザインやビジュアルも含めて、解像度が高ければ高いほど、その提案内容の信頼度は増します。大切なプレゼンや提案であれば、その時点からデザイナーに依頼して、完成イメージを用意することをオススメします。どんなに正確な調査やロジカルな仮説よりも、イメージしやすいビジュアルがあるだけで、一発でプレゼントが通ることもあるのです。

特にローカルで新しいことをやるために上の世代へプレゼンする場合、完成イメージを想像することができないだけで敬遠され、NGになることも少なくありません。そうした際は、デザインやビジュアルを駆使したり、参考事例や自らの過去実績などを引っ張ってきて極力リアリティを持ってプレゼンできるようにしましょう。



プレゼン論は以上です!書籍化した際はもう少し細かな話も盛り込めるといいなぁと思います。

最後に、プレゼンではないですが、僕が自分の活動についてYouTubeの番組で話している動画を紹介します。何度も同じ内容を繰り返しているうちに段々と説明は上手くなるものです。頑張っていきましょう。


今回も最後までお読みいただきありがとうございました!次回は「事業化論」です。ラストの記事になるかもしれません。ゴールが近づいてきた〜◎

最近引越しました。ようやく書斎が整い、執筆に集中できます。


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