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誰のコンディションが重要か

最前線で価値を生む人の環境を整えることが全体の質につながる。それぞれの分野で何ができるか、という話

私の主な仕事は現場で作業をする人間に場を提供するということだ。

市場をさだめ、技術を発揮できるような仕事をとってきては、当日までに最適な場を整える、というのが仕事だ。いわば完全な裏方であり、主役はあくまでも最前線で作業をしてくれる人間になる。

そして、現場でも作業員が仕事のしやすいように立ち回り、場合によっては矢面に立って面倒な人間との衝突や摩擦を避ける、なんてこともやってのけるのだ。

社長なんて肩書きが嘘かのように平身低頭、ペコペコと頭を下げまくり、作業員が質の高い仕事を遂行してくれればそれが価値となるゆえ、徹底的にサポートにまわるのだ。

そんな思いに共感するかのように、先日お仕事をさせていただいたお宅での話、都内の高級マンションで在宅のままの工事であった。

当日を迎えるまで色々と気を使いながら段取りを行い、作業員にもいくつかの注意点を共有して作業に入った。

作業自体はスムーズに進み、先も見えてきたこともあり、私は挨拶をしてその場を離れることにした。

数時間後、作業員から無事に完了したとの連絡をもらい、ホッと胸をなでおろしたのだが、完了報告の電話には続きがあった。

家主は元々建設会社を経営していたそうで、作業員の仕事に理解を持っており、私が離れた後も仕事のしやすいように配慮をもって接してくれ、お昼には昼食代、作業完了後にはコインパーキングの駐車代まで出してくれたそうだ。

さすがにここまではやりすぎのような恐縮した気持ちになるが、おそらく家主の方は現場で作業する人間への敬意やどうしたらいい仕事をしてもらえるか、ということを熟知していたのだと思う。

私も普段から思うことなのだが、作業員もプロフェッショナルなので仕事において一定のレベルは保つのだが、それ以上のことについては環境や状況などの外的要因によって左右されてしまうことはあるのだ。

だからこそ、私は事前に外的要因をできるだけコントロールし、場を整えてより質の高いパフォーマンスを発揮してもらえるように動くのである。

「仕事はとってきたぞ、あとはよろしくな」ではその仕事のクオリティーは担保できない。それなりに形にしてはくれるだろうが、先述した一定のレベルまでということになるだろう。

あまりに雑で、そして敬意のかけらもない仕事の振り方では最前線で働く人間がいい仕事をしてくれるわけがないのだ。

時々、驚くような扱いを受けることや勘違いした態度をとられることもあるが、私の中で作業員に対して目に余るような行為をするようであれば、その仕事自体をお断りしたり、放棄することもあるのだ。

過去に何度か作業員に対しての不当な扱いにより、目の前で仕事を断ったことがある。作業員は心配していたが、私にとってそのような行為を平気でできてしまう人間はお客様とは認識していないのだ。

よって、縁が切れても何ら問題はない。むしろそのような人間と付き合う中で作業員のモチベーションが毀損されてしまう方が大問題なのだ。

先ほど今回の家主の方から追加の工事の発注をいただいた。作業員も今度の仕事は前回より高いモチベーションで臨むことは間違いないだろう。このような好循環はありがたいかぎりである。

それぞれの役割りで価値を高め、抽出部に集中することで高い質の仕事が生まれる





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