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いろいろゆるむ

老化による体の変化を端的に表すと「ゆるんでたるむ」が適切だろう。
漢字で書くと「緩(ゆる)む」「弛(たる)む」。合わせると「弛緩(しかん)」。因みに対義語は「緊張」。老いは緊張を解(ほど)いてゆく。

私の体もいろいろな "ゆるみ" が原因で、漏れたり失くしたり忘れたり間違ったりと、各種不具合が頻発するようになってきた。
今日はその中のひとつ、"涙腺のゆるみ" についての一編。

"涙腺のゆるみ" と書いて、山口百恵の「秋桜」(コスモス) を思い出した。この曲は さだまさし作詞作曲で1977年のリリース。「♪ この頃 涙もろくなった母が 庭先でひとつ 咳をする」という歌詞が印象的だ。

歌の中の母の言動「涙もろくなった」「ひとつ咳をする」「同じ話繰り返す」「独り言」「小さな声」は、全て認知症の初期症状とおっしゃるお医者さんがいた。これは余談。

話を戻す。私は最近明らかに涙もろくなった。今更感受性が豊かになった訳ではない。情緒が不安定な訳でもない(多分)。ただ何かが "ゆるんで"、涙がこぼれ易くなっただけ。

思いつくまま「私の涙💧」の具体例を挙げてみます。
以下は【表題】と、その "あらまし" 。私は泣いてばかりいます。

甥っ子の結婚】格式高い神社での神前結婚式。厳粛な空気に感動。どちらの親も泣いていないのに叔父だけが泣いたらおかしいので涙💧は我慢。

次男の結婚】年末に次男が結婚した。心配が多かった彼に素敵な娘さんがお嫁に来てくれた。彼の良さを理解してくれた彼女に感謝。彼女の家族にも大事にされている次男を見て涙💧 彼女の(超)面白いお父上の話は後日

白鳥とコウモリ】東野圭吾の小説。一人の悪人が発端でたくさんの善人に不幸が拡散してゆく。登場人物の健気な生き方に涙💧

孫の初寝返り】昨年8月に生まれた孫③(♀)が先月初めて寝返りを打った。努力している姿に感動して涙💧  動画   可愛い過ぎるぞー!

志村けん】レッツゴーよしまさのモノマネ。そっくり! 御園座裏の飲み屋で竜ちゃんといっしょの志村さんを見た。二人とも死んじゃったなぁと涙💧

ミスチルの口笛】上司との関係が最悪で、毎日が憂鬱だった頃流れていた曲。ミスチル30周年のYouTubeを観ていてその頃が蘇って涙💧  ※⇩動画

大和田獏さん】奥様を亡くして一人で頑張っている姿をインスタで見る。お孫さんとのとても良い関係。岡江さんを思い出して何だか切なくて涙💧

博士ちゃん】好きなことに打ち込む子供たちの純粋さにウルッと涙💧

ファミリーヒストリー】困難な時代を家族のために頑張って生き抜いてきた、昔の方々のご苦労を偲び毎回涙涙💧💧

私は優しくて真面目で謙虚な人が、困難や不幸な境遇と向き合い、それらを克服すべく頑張る姿に感動する。上手く何かを成し遂げることも、失敗して切ない結果になることもある。いずれにしても皆次のステップに向かわなきゃならない。

ちなみに私が今までで一番泣いたのは、次男の出産に立ち会った時。この時ばかりは不覚にも号泣してしまった。命の誕生に勝る感動は無い。

私は泣いている姿を見られたくない。だから必死に涙を堪(こら)える。感動のスイートスポットから外れるよう、よそ事を考えたり視線を逸らしたりする。感動しているのに、感動から遠ざかろうとする変な努力だ。

そんな私は常々「感情の赴くままに、"さめざめ" と泣いてみたい」と思っていた。今週そのチャンスが訪れた。細君が横浜アリーナで行われた、B'z稲葉さんのソロライブに泊まりで出掛けたのだ。

細君が出掛けたその日、私は話題の映画「すずめの戸締まり」を見に行くことにした。note でも「泣いたー」という人をたくさん見掛けたので。

「誰に憚ることなく思う存分泣くぞー!」と一番後ろで端っこの席をネットで予約、タオル地のハンカチを持って席に付く。準備万端で臨んだ130分だったが、私はほぼ泣けなかった。

私が「すずめの戸締まり」で泣けなかった理由は書かない。批判する気は全然ないのに、批判と受け取られかねないから。当り前だが、泣けた泣けないで映画の良し悪しは決まらない。

「すずめの戸締まり」を観た日の夜、「何か "さめざめ" できる映画はないかなぁ ?」と Netflix を探った。するとかねてより細君が「すごく面白い!」と絶賛していた、ちょっと前のTBSドラマ「カルテット」があった。"さめざめ" できるとは思わなかったが、観てみることにした。

果たして「カルテット」はとても面白かった。深く感動して、一人で存分に "さめざめ" した。第3話 真紀(松たか子)がすずめ(満島ひかり)に「泣きながらご飯を食べたことがある人は、生きていけます」と言うシーン。ここで私はいっぺんに心を持っていかれた。以降は満島ひかりが出て来る度に、切なくて胸がキュっ! となった。

「泣きながらご飯を食べたことがある人は、生きていけます」のシーン

※「カルテット」は坂元裕二さんの脚本。細君によると、昨年の日テレ「初恋の悪魔」も坂元さん作の良いドラマとのこと。是非観たい。

ちょっと長くなってしまった。
そんなふうに泣いたり泣かなかったりで、私はひとりの一日を過ごした。

"泣き" も "笑い" もそのボタンは人それぞれ。私はヨネダ2000のネタを真顔で見ていられるが、志らくさんやナイツ塙さんは腹を抱えて笑うと言っていた。"泣き" も同じ。泣く人もいれば泣かない人もいる。そういうもの。

ただ感動したら泣いたほうがいい。せっかくの感動を無視したり縮小するのは、もったいないし多分健康にも悪い。タイトル画像の星飛雄馬のように「俺は今猛烈に感動している!」と滂沱(ぼうだ)の涙を流せばいい。 
"泣き虫ジジイ" にオレはなる!

< 了 >

【附記】B'z稲葉さんのソロライブの話を急遽書き加えます。本文中に書きましたが、うちの奥さんは横浜までライブの初日を観に行きました。このライブは過去数年続いたものと違い「ガイドライン遵守のうえで声出しが可能」とされていました。彼女から聞いたライブの様子です。
オープニングからしばらくは静かに鑑賞~7曲目くらいに稲葉さんがコールアンドレスポンスを振る~観客はこわごわ返す~少しずつ声が大きくなっていく~曲間のMCの時男の子の「稲葉さーん!」の声~稲葉さんは両手で胸を押さえ「うれしー!」と呟く~あちこちから「稲葉さーん」の声があがる~次の曲からは昔のように声出しで盛り上がる。みんな泣きながらのレスポンス。
すごくいい雰囲気だったそうです。「いい話だなぁー」と思い書きたくなったのですが伝わりましたかね。



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