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【365日の魚介レシピ】香ばしくほろ苦い『秋刀魚の味』

結局今年も秋刀魚が不漁のようです。海温が高いので、ずいぶん北の海まで上っていって漁をしているそうです。遠くまで行くと、頑張っても寄港に時間がかかるので、鮮度も落ちやすく、経費や輸送費がかかるので値段が上がる、値段が高いとなかなか思うように売れない、と漁師さんも消費者も苦々しい状況が続いています。

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秋の味といえば、秋刀魚!新米!きのこ!芋!とかだったんじゃないの?と思います。なんか淋しいですね。

旬を追いかける仕事をしていると、経験による旬の感覚と最近の実際の状況がどんどん合わなくなっているなあと思っています。今年はいわしやさばなどは良かった(脂が乗って美味しい個体が多かった)のですが、さんま、鮭、ウニなど三陸自慢の海の幸は不漁が続いています。

温暖化のおかげで北海道で美味しいお米がとれるようになって良かったじゃないか、という話が出ていましたが、食の未来を考えると、気候変動には呑気なことを言ってられないなぁと思います。


〜さんまの梅しそ巻き揚げ〜

ちょっとサイズがなぁ、という小さめのさんまは天ぷらがおすすめ!梅しそ風味が美味さを引き立ててくれます。もちろん、焼いて食べても美味しいですよ。

*材料*
さんま 1尾
梅 1個
しその葉 1枚
天ぷら粉 

揚げ油

*作り方*
①さんまを3枚におろし、腹骨を削ぐ。小骨は骨抜きなどで抜く。
②半身1枚につき、大葉と梅干しを半分ずつのせて、頭の方からくるくる巻いて、尻尾から中心に向かって爪楊枝で刺して留める。
③天ぷら衣をつくり、②を天ぷら粉、衣の順にくぐらせ、175℃の油で2.3分揚げる。


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以前はこんな感じにさんまのお刺身も張り切ってお出ししていましたが、今年は鮮度も大きさも「お刺身にはうーん…」というものが多いのです。これも不漁の影響。

さんまのたたき 青唐辛子醤油あえ

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もう一つ。さんまのお刺身で作る定番。脂の乗ったさんまとピリ辛青唐辛子醤油がマッチして、お箸が進みます。

細切れにしたさんまのお刺身に、玉ねぎや大葉などの薬味と青唐辛子を漬け込んだお醤油を混ぜるだけです。


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先日、さんま缶詰食べ比べ企画のご依頼をいただきました。さんま缶詰にあまり馴染みのない方も多いかもしれませんが、臭みはないし、柔らかく、脂がのり、そのままでもアレンジしてもとても美味しい缶詰がほとんどでびっくりしました!しかもほとんど国産だし、缶詰でも消費量が上がれば、漁師さんも少しは助かるんじゃないかと思いました。

生が無いなら加工品を食べれば良いじゃない⁉︎

いつか秋刀魚の味も懐かしい高級品になってしまうのでしょうか。昔食べたあの味、美味しかったなぁと遠く思うような。

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↑さんまご飯も缶詰なら簡単!です。

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『秋刀魚の味』といえば、小津安二郎の遺作。笠智衆演じる優しいお父さんの、娘が結婚した時の寂しそうな顔が切なくて。娘役の岩下志麻はとても綺麗でした。いつの時代も庶民の悩みはさほど変わらないのだなぁと。人生って、秋刀魚の味のように美(味)しくほろ苦い。

#秋の味覚レシピ


おいでくださりありがとうございます。 不器用な料理人、たぬき女将が季節の食材、料理、方言にまつわるよもやま話を綴っています。おまけレシピもありますよ。