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組み合わせの妙〜果物×○○〜

山梨の知り合いの農家さんから、たくさんの桃が届いた。日川白鳳という、甘くて香り良くて、割と食感がしっかりしている品種(もちろん、熟すにつれて柔らかくなる。)

使いきれないと困ると思い、とりあえず半分はコンポートにした。

桃のコンポート

桃 4個は半割にして、種をとる。
水800cc、白ワイン180cc、グラニュー糖240gを合わせて煮立て、桃を皮面から入れる。弱火で5分煮たら、ひっくり返し、さらに2分煮る。
レモン汁1個分をいれ、火から下ろして冷まし、冷蔵庫で冷たく冷やす。
冷凍してもOK、凍った桃をフープロなどでシャーベットにしても!!


さて、生のままおつまみにするにはどうしたものか。何年か前に『桃モッツァレラ』が流行ったけど、もう一つ何かしたい。

そこで!柿とチーズの生ハム巻が好評だったので、柿を桃に置き換えることにした。

これが、なかなか絶妙な組み合わせ。

生ハムメロンだと、メロンが甘すぎだなぁと思っていた。

柿とチーズと生ハムは柿が硬くてあまり美味しくなくてもOKなのだが、柿は甘くなると柔らかすぎて、食感がばらつく。


桃の品種や熟度によるけど、

桃のほのかな甘みと適度に歯ごたえを残した柔らかさ、

そこにチーズのクリーミーさが繋ぎとなり、

まとめる生ハムは塩加減がおつまみにちょうど良く、

ちょっとだけフルーツヴィネガーか、レモンで酸味を足したら、さらに引き立つ甘さとクリーミさと塩気が三味一体となって絶妙なハーモニーを奏でるのだ。

『フルーツ×○○が、こんなに美味しいとは!!』

と驚く。

私は、実はフルーツを料理に使うのはあまり好きじゃなかった。子供向けのハンバーグや酢豚のパイナップル、給食のフレンチサラダのみかん、ポテトサラダのリンゴ、甘酢漬けのさくらんぼ、しそ巻きあんず…みんな、別個に食べた方が美味しいのに、なぜ合わせるの??と不思議だったし、美味しいと思えなかった。


学生の時、イタリアンレストランでバイトしていて、ある時、“リゾットフェア”なる旬のオススメフェアがあった。全20種くらいのリゾットメニューの中、生ハムと桃?メロン?だったかの果物を合わせたリゾットがあった。

驚愕だった。田舎の米農家育ちだから、お米は大好き!だけど、雑炊に果物と生ハムとシャンパン混ぜるなんて、すごい変な組み合わせだなぁと。でも、食文化の違いって、そういうものなのか、と常識にとらわれてちゃ料理人を目指す上では世界が狭くてダメだよなぁ、とも思った。

(あまり美味しいとは思えなかったけど。)

お米は野菜の一種扱いで、ボイルしてサラダにしたり、炊いても前菜やコロッケや肉料理のガロニ の一種となったり、パスタ替わりの扱いのリゾットだったり、とアジア圏でモリモリ主食として食べているのとはずいぶん違うとイタリア料理で働いていて知った。

そして、フルーツも料理に多用していた。

鴨にオレンジのソース、豚肉にリンゴ、カルパッチョとグレープフルーツ、パスタにレモンをたっぷり、レバーにカシスやブルーベリージャム、柿とチーズ、初めて出会う組み合わせばかりだった。

何のこだわりか、私はご飯のおかずに混ざるフルーツは嫌だったけど、イタリアンやフレンチで食べるフルーツ×○○は美味しかった。

いちいち、『オシャンティ〜』なんて言いながら感動した。

そして、ワインに合うこと!!昔、映画でイチゴとシャンパンが美味しいというシーンを観たけど、果物ってお酒に合うんだーとわかった。

和食では、ぶどうをみぞれ酢にしたり、ホタテとりんごで酢の物にしたり、いちじくを揚げだしにしたり、白和えやなますにリンゴや柿やイチゴを入れたりと、イタリアンとはまた違った果物の取り入れ方があり、それはそれで美味しいものだと思った。

そして、白ワインに合うおつまみは、日本酒にもさっぱり系の焼酎にも、カクテルにも合う、意外と。ギチギチに考えて、マリアージュしなくても、おおらかにお酒と料理を組み合わせても大丈夫だ。


一見、え?と思う組み合わせでも、思いがけない美味しさの調和に出会うことがある。

思い込みにとらわれず、のびのびと料理して、もっと果物×○○の可能性を見つけたいなぁ。


桃とチーズの生ハム巻き

桃は種と皮を取り、くし形に6等分する。

それぞれに大さじ1くらいのクリームチーズをのせ、生ハム1枚で巻く。

上からフルーツヴィネガーか(フランボワーズなど)、レモン汁と、オリーブオイルをかけ、ベビーリーフのサラダを添える。





おいでくださりありがとうございます。 不器用な料理人、たぬき女将が季節の食材、料理、方言にまつわるよもやま話を綴っています。おまけレシピもありますよ。