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運と達成。国によって異なる幸福観の違いを知る#シアワセを紐解く

「幸福とは何か?」シンプルですが、本企画のテーマです。「幸せになるための○○」といったHOWの情報は流通していますが、幸福の概念や定義などのWHATやWHYについてはバラバラではないでしょうか。
そもそも幸福とはいったい何を指すのか?をこの企画シリーズでは考えていきたいと思います。


幸福の定義は広く曖昧です。人間によって異なるケースも多く、特に文化が異なると、認識に差が大きく出ます。前回の記事では幸福の語源について調べ、文化によって異なる幸福観について調べました。

前回の記事でも触れていますが、「幸福」の意味合いとして海外におけるニュアンスは「達成や自分で勝ち得るモノ」が多く、日本だと、現在ある物事に対して「満ち足りた気分や感謝」の意味合いが強く見て取れます。

今回のWIRED VOL.32のテーマが「DIGITAL WELL-BEING」でした。

その中で各国の幸福観の違いにつれて触れている記事があります。どうやら、海外と言っても欧米から、アジア、アフリカと広く各国によっても幸福観の違いがあるようです。

アメリカ合衆国では、幸福とは個人が自らの能力を駆使することで獲得するもの、と考えられている。対して、日本や中国では、幸福な状態は自分の能力よりも、むしろ幸運によってもたらされると考えられている。
引用:WIRED VOL.32 p83

今回は「運によってもたらされる幸福」「自分の力で獲得し、達成することで得られる幸福」の違いについて調べてみたいと思います。

運によってもたらされる幸福。感謝の概念がキーワードの幸福観

日本においては、幸「福」の言葉や語源にもある通り、幸せである事と「運勢」の結びつきが強く見られるようです。幸福は他人よりもたらされるもの、といった印象があるのかもしれません。

また、日本独自の言葉からも「他者を尊重する」考えが見て取れます。

・いただきます
・ごちそうさま
・おたがいさま
・おかげさま

英語にも上記と同様の言葉はありますが、日本語と若干意味合いが異なります。たとえば、いただきますは「Let's eat!」となりますが、食材に対する感謝のニュアンスは薄いようです。

また「ありがたい」の言葉も他者への感謝が存在します。
アジア圏においては仏教思想からか、幸福と感謝の気持ちとの関連性があるんじゃないでしょうか。

日本、韓国、中国、そしてロシアとノルウェーを含めた24カ国においては、幸福の概念が「運」と結びついているという指摘だ
引用:WIRED VOL.32 p83

日本だけではなく、主に東洋の国では幸福を「運」によってもたらされるもの、と考えるケースが多いようです。

西洋と比較し「自分」と「他者」の概念が近しいからかもしれません。
調和を重んじる日本は、個人の存在を集団の中の一人と捉えているからではないでしょうか。

幸福は手に入れる。「成功や達成」と概念が近い幸福観

アメリカンドリームに代表されるように、アメリカの場合は何かを掴む事が幸せと結びついているのではないでしょうか。「成功や達成」と幸福の概念が近しいのかもしれません。

アメリカが設立された文化的な背景も関わっているように思えます。
アメリカ合衆国の歴史的な背景として、独立を勝ち取った経緯があります。
そこで自由を獲得したため、「成功」や「達成」と幸福の概念が比較的近しいのかもしれません。

また、「個人」が東洋に比べ、はっきりしている印象があります。
「わたしはわたし」であり「あなたはあなた」として人間を捉えているのではないでしょうか。
つまりは「自分で手に入れる自分の幸福」たる人生観があるのかもしれません。

国によって異なる幸福観。よりよく私たちが生きるためには?

運によってもたらされる幸福」と「自分で手に入れる幸福」に関して国による幸福観の違いを調べました。
幸福観の違いは、その国の思想や文化から影響されています。もちろんどちらが「いい」「悪い」では決してありません。

現代を生きる私たちにとって、よりよく生きるため、安心して暮らすためには何が必要か、を今後も考えていきたいです。

参考書籍

文・構成・編集/佐藤政也 デザイン/蓮池しのぶ


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