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セレンディピティが生まれる場。6curryが混ぜるリアルとオンラインのつながり。

思わぬ出会いが、人生の可能性を広げてくれます。ただ、外出の機会が減り「偶然の出会い」が減っています。
自宅にいながらオンラインで過ごす時間が増え、オフラインはこんなにも「偶然」に溢れていたのか、と気づきました。

6curryさんは安全や安心を担保しながら、オンラインとオフラインの良さを組み合わせて人とのつながりや偶然の出会いを生んでいます。
今回は株式会社6curryのコミュニティクリエイターの廣瀬さんにお話を伺いました。

みんなが混ざる。カレーがつながりを生むコミュニティ。

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ー6curryさんのサービスをお伺いしてもよろしいでしょうか。
みんなが大好きなカレーを通じて、新しいコミュニティを作ることに挑戦しています。コンセプトは「EXPERIENCE THE MIX.」。「みんなを混ぜる、みんなが混ざる」です。
メインは恵比寿と渋谷にある「6curryKITCHEN」で、月額会員制のコミュニティになっています。レストランではなくキッチンと名前をつけたのは、登録してくれているメンバーのみなさんと一緒に作る場所にしたかったんですね。

ー「一緒に作る」とは具体的にはどんな事をされているんですか?
メンバーの方が自分達で企画を持ち込んで6curryでイベントをやったり、1日店長になったりしています。部活の中で好きなもので繋がり、活動をしています。現在はリアルだけじゃなくて、オンラインでも集まれるようにメンバー限定SNS「6curryROOM」を持っていたりします。
 
ー登録されてるメンバーさんは何人ぐらいいらっしゃるんですか?
登録しているメンバーさんは400名弱です。
「キラキラした人が多そう」とよく言われますが、様々な方が幅広くいらっしゃいます。年代は大学生から50代まで。一番多いのは30代ですかね。男女比では大体同じで「食べる」や「コミュニティ」に興味がある人が一番多いです。

ーコミュニティの熱が高いイメージがあります。6curryさんらしい象徴的なエピソードがあればお聞きしてもよろしいですか?
間借りで店舗を借りて色んな所でフルーツサンドやお料理を出しているフードデザイナーの方がいます。6curryも毎週金曜日はフルーツサンドの日なんですけど、その人とうつわソムリエの方とスイーツフォトグラファーの方と、モデルも6curryのメンバーで一緒に作品を作った事がありました。

※作品のInstagramになります。

ー6curryさんがコミュニケーションの触媒になってるんですね。人と人との出会いによって生まれる価値を作ってらっしゃる印象があります。
まさに触媒になれたらいいなって思っています。

オンラインとオフラインのコミュニティ運営の違い

ーオンラインとオフラインの違いについても伺いたいと思います。まずコロナの影響で店舗型のキッチンからZoomに運営を移行されたんですか?
まずは、Zoomで毎日時間とテーマを決めておしゃべりするイベントを始めました。「ここに来たら誰かいて喋れる」みたいな形を作りたいなと思ってやっていました。

ーその後オンラインのコミュニケーションツールとしては、ZoomからDiscordに移行されたと伺いましたが、何か理由があったのでしょうか?
Zoomだとその日その時間に行かないといけなかったり、テーマによって行く・行かないを判断したりします。思いがけない“偶然の出会い”を6curryとしては作り続けていきたいのですが、そこが難しい印象でした。

「思ってたより面白いな」と発見があるよりは「テーマが好きな人が集まる」印象がありました。盛り上がって思いがけない方向にには行かないんですよね。しかもZoomだと個別で話せないですよね。「この人と気が合いそうだな」と思っても、その場で二人で話しましょうとはならなくて、どうしても1対Nの会話になってしまいます。
盛り上がった後に個別で連絡を取り合えたり、話してみたい人達2~3人で喋れるツールに変えたいと思い、Discordを選んだ経緯があります。

ーZoomは良くも悪くも「参加しないといけない」感はあるかもしれませんね。
参加の濃淡が選べないんですよね。外側からだと何やってるか、楽しいかどうかも分からない中で入るのは勇気が必要ですよね。参加する側のハードルを下げたいのと、テキストでのコミュニケーションも同時に進行出来ればいいな、と。テキストは誰かが喋ってても入れるし、参加しやすいじゃないですか。Discordは喋るのとチャットを平行出来るんですよ。

ーコミュニケーションが2軸で進んでいくのがいいですよね。チャットで気を付けている事がありますか?
誰かがチャットを書いてくれたら拾うことを心掛けています。勇気をもってテキストに書いてくれる中で拾われないって無視されたみたいに感じるので…。どこかのタイミングで必ず拾うし、そこは意識してやってました。

ー廣瀬さんがコミュニティを運営する中でオンラインとオフラインの違いを感じたことありますか?
イベントで話を聞いてもらえるのはオンラインで、ゆっくり話が出来るコミュニケーションが取れるのはオフラインのイメージがあります。
1対Nの講義やプレゼンは、オンラインが適している気がしていて、オフラインは情報量が多いんですよ。キッチンで言うと、話を聞いてる時にカレーが目の前に来たり、隣に新しい人が座ったり、友達と喋りたくなりますし。キッチンだと情報量が非常に多いので、集中力が10分くらいしか保てないんですよね。オフラインでイベントするときは1プレゼン10分以内にしていました。
何かを学んだり、誰か一人の話を聞くイベントはオンラインが向いていると感じましたね。

“みんな”で作るから愛されるコミュニティ

ー6curryさんはメンバーさんに愛されていますよね。その理由をお聞き出来ると嬉しいです。
運営する側とメンバーさんの境目をいかに曖昧にしていくかは注力をしていました。今はコロナの関係もあるのでカウンターの中を制限してますが、以前はカウンターの中にも入れたんです。

ー「一緒に」が大事なんですね。
いかに「みんな」で作るかは考えています。例えば6curryのワインはブレンドしたオリジナルワインなので、その日に出すオリジナルブレンドを作ってそれを投票で決めたりしています。ブレンドはメンバーのブレンドだったり、渋谷の家具はメンバーさんと位置を一緒に決めたものだったり。「あれ自分がやったんだよね」って言って欲しいんですよ。

ーその言葉が出てくるってことは「自分ごと」になってるんですよね。
「あれは自分が命名した」とか「自分が選んだ」みたいなポイントをいかにたくさん作るか考えてます。

1日店長の時も「一緒にやりませんか」「 1日店長をやってみない?」と伝えています。「やってください」や「やってほしい」じゃなくて。もちろん近くで私達が出来る限りはサポートしつつ、主人公は1日店長のメンバーさん自身である部分はすごく大切にしてコミュニケーションをしています。1日店長をするとだんだん意識が6curry側になってもらえるんですよね。ハードルを下げてやってみると、6curryの中の人の意識に近くなっていくのかなと思います。

ーだからみなさんが6curryさんを「自分ごと化」されてるのかもしれませんね。
しかも、昔からのメンバーであればあるほど6curryの中の人の意識を強く持ってくれています。例えば「会員数がどうやったら増えるか」「どういう人を連れてきたら6curryに合うか」だったり。
6curryが皆さんを迎えてコミュニティになるために、オリジナルルールもあります。例えばメンバーさんは、メンバー特別価格で食べられるように6curryの通貨があります。メンバーさんしか買えない通貨やオリジナルなルールが散りばめられています。新しく来たゲストが分からない時に、横にいるメンバーが声をかけたり、迎え入れてくれる空気があると言われます。

自分の予想を超えた出会いが生まれる場

ービジョン「みんなでみんなが主人公になれる場をつくる」が出来た背景を聞いてもいいですか。
仕事にはしてなくても、人に言いたい特技を披露出来る場があるといいなって思っていました。背景は、1日店長をしてくれたメンバーさんが「どうして6curryが好きなのか」をプレゼンをしてくれた事があったんです。
6curryに来るようになっていろんな生き方をしてる人達を知って「私も人生で好きな生き方をしてみたくなった」と言ってくれました。

「特技が特にない」とおっしゃる方がよくいますが、あなたのその思いがけない特技が必要な人がいるんです。自分では気づいてない特技で喜んでくれる人がいることにみんなに気づいて欲しいし、みんなに踏み出して欲しいなーって思ってます。

6curryが好きなものや人に新しく出会えて、セレンディピティがたくさんある場になったら嬉しいです。さらに出会ってからも、それぞれ一緒に好きなものを育む仲間を見つけて、披露する場が6curryで出来たらいいなって気持ちのもとにビジョンが出来ました。

ー6curryさんが本当に提供したいものは、カレーよりもカレーが触媒となった人との出会いなんですね。
出会いを繋げるのが「カレー」なのがいいなって思っています。カレーを食べるって気軽なんですよ。「飲みに行こう」だと何時間かかるか分からないじゃないですか。でも、カレー食べようって30分ぐらいの場合もあります。

30分で終わってもいいし、気が合ったらそのまま2時間でも3時間でも一緒にいたらいい。繋ぎたい縁かどうか、を自分で選べるのが今の時代にすごく大事なことですよね。

ーみんなが好きな食べ物であるカレーを通して偶然を引き起こしていく部分が素敵だと思いました。
コロナで状況が大きく変わり、遊びに出るよりも、安全に暮らして行く優先度が上がっています。
ただ、安全な中で知り合いと久しぶりに飲んで楽しめたり、自分の予想を超えたものに出会える偶然性のセレンディピティが大事になる時もきっと来るんじゃないでしょうか。
この大変な時期だからこそ、いつでも誰かと繋がれる安心感があるコミュニティの大切さを信じていきたいです。

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【プロフィール文】
廣瀬彩さん
1987年、岐阜生まれ。2017年8月にNEWPEACEにコーポレートスタッフとして入社。
現在は、6curryのコミュニティ担当で6curryKITCHENでの体験作り、オペレーション、6curryKITCHEN内外でのコラボレーションの企画/運営を行なう。料理と旅と本が好き。

取材・編集・文/佐藤政也 デザイン/熊谷怜史

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