ラーメン4.0@開業日記#63 スタッフの育て方後編

今日も昨日の続きでスタッフの育て方について書いていこうと思います。
前編から続いていますので、まだ読んでいただいてない方は先に読んでいただけると、つながると思います。
それでは今日も最後までよろしくお願いいたします。

新人が辞めてしまう理由

一般的に新人スタッフが辞めてしまう理由は以下の通りです。

・仕事の仕方を教えてもらえないため不安になるから
・新人スタッフと店長や先輩スタッフの間にコミュニケーションがないから
・スタッフどうしの人間関係が悪いから
・職場の労働環境が悪いから

このうちの1番目の辞める理由はマニュアルが整備されていることで避けることができます。

新人教育の原則

そもそも新人を教育する上では大原則が3つあります。

・ステップを踏んで教えること
・基本を反復して教えること
・細かい行動の内容だけではなく、それを支える自店舗の「方針」「理念」をしっかりと教えること

です。

ステップを踏んで教えることとは

新人スタッフはいきなり育つわけではありません。赤ん坊と同じで、最初は「はいはい」、次に「伝い歩き」、そして「直立歩行」できるようになります。したがって教育とは、そのように相手が徐々に育っていけるように、内容の難易度を優しいものから順に教えるべきです。

そのことを、20世紀の有名な軍人である山本五十六はこのように表現しています。

やって見せ
言って聞かせて
させてみせ
ほめてやらねば人は動かじ(動かない

つまりこれは以下のようななことです。

最初は、まず店長や先輩が見本を「やって見せ」、その仕事がうまくできた場合のイメージを与える
その作業や接客トークの意味を「言って聞かせ」る
実際に新人スタッフに「やらせてみ」る
うまくできた部分を「ほめて」やる
このようなステップを踏めば必ず新人は育ちます。

基本を反復して教えることとは

また接客にしても調理にしても慣れてくれば、新人スタッフの頭の良さによっては、自分なりに工夫してより良いものにするかもしれません。しかしその際の注意点は、店長や経営者が期待するのとは別の方向で工夫してしまう場合があり得ることです。

たとえば料理でも、自分がおいしいと思うので醤油をオイスターソースに変えてしまうかもしれません。しかし、それは店の方針である「その料理は醤油味で提供する」ということに背いてしまいます。そうならないようにするには、この料理は醤油で調理する、という基本を教えておくことです。そうすれば、スタッフは醤油を加えるタイミングを自分で考えて変え、よりおいしくするかもしれません。それは自店舗にとってメリットがあることです。

細かい行動の内容だけではなく、それを支える自店舗の「方針」「理念」をしっかりと教えることとは

作業や接客トークだけを詳細に教えて、それをスタッフが実行したとしても、その場合は決してスタッフのレベルはそのマニュアル以上にはなりません。ということは自店舗のクオリティはマニュアルで示していることが上限になってしまいます。

しかし人間は誰しも考える頭を持っています。それは場合によってはマニュアルで示している内容以上のことを考えつきます。自店舗のクオリティを競合店に圧倒的に勝てるようにするためには、その人間の考える能力を最大限に活用することも必要です。

一方では上でも書いたように、その方向性が示せていないと、考えたものが店長や経営者の意図とそぐわない危険性もあります。それを避けて、なおかつ考える能力を最大限活用するためには、自店舗の「方針」「理念」を教えることが重要なのです。

たとえば、接客の場合、自店舗の理念が「すべてのお客様に居心地よく滞在していただく」という場合です。この理念をあらかじめスタッフにしっかり教え込んでいれば、仮にお客様の連れている赤ちゃんが泣き始めたとしても、スタッフが「これはおもちゃが必要だな」とか「水を飲みたいといってるんだな」と考えて、それを提供し、問題点を解決することができます。それはその赤ちゃんを連れているお客様の満足度も上げますし、同時に周囲のお客様の満足度も上げるでしょう。

しかしこのような内容までマニュアルに書くことは、内容は膨大になりますし、すべての問題や状況は網羅できず、現実的に不可能です。その点「すべてのお客様に居心地よく滞在していただく」という方針を教えておけば、スタッフが臨機応変に対応してくれ、なおかつその対応が店長や経営者の意図に沿ったものになります。

このよう局面は接客にしても調理にしても山のようにあります。ですから自店舗の「方針」「理念」を教育することが重要なのです。

先輩が後輩を教える仕組みを作る

またマニュアルを最大限に活用するのであれば、先輩スタッフが後輩や新人を教える仕組みを作りましょう。具体的には以下のようなものです。

トレーナー制の導入

先輩スタッフのうち、仕事内容が熟練してきた人を「トレーナー」として認定し、スタッフ教育の一部を任せましょう。それは店長や経営者の教育の時間や手間を削減できるとともに、その先輩スタッフの自覚やモチベーションを喚起します。

時給との連動

さらにトレーナー制はただの称号だけではなく、時給とも連動させましょう。たとえばトレーナーになったら、時給が30円上がる、などです。そうすることによって、トレーナーというものの地位も向上しますし、スタッフにとってトレーナーになりたいという目標を与えることになります。

スタッフの継続が売上につながる

マニュアルを整備して自店舗で定着させることは一朝一夕にはできません。そもそもマニュアルの作成だけでも大変ですし、既存のスタッフがマニュアルの内容を理解し、実行するまでには、店長や経営者が相当の時間をかけて教育する必要があります。

しかしその最初のハードルを越えてしまえばマニュアルは定着し、何よりそれによってスタッフのモチベーションが上がって、退職することがなくなります。このようにスタッフが継続すれば、スタッフの経験値が上がるため、接客のレベルも料理のレベルもアップします。それは顧客満足度の向上につながるので、結果的に自店舗の売上アップをもたらします。

マニュアルの作成と教育だけではなく、以下の点も気をつけましょう。

・店長はスタッフに気配りをする
・店長は機嫌の良しあしで仕事をしてはいけない
・店長はお客様の前でやたらむやみに怒ってはいけない
・店長は感情的になりそうな自覚がある時には、1人になって冷静さを取り戻す

雰囲気作りと笑顔

上記が実現できても、自店舗の雰囲気がよくなければ新人は定着しません。そのために必要なことが上でも挙げた「人間関係が悪く」ならない点です。

人間関係を良くして自店舗の雰囲気作りをするためには、何よりも笑顔です。店長は常に笑顔でスタッフに接しましょう。それはスタッフをリラックスさせるので、普段以上の力を発揮させる源泉になります。

また店長や経営者が笑顔でいることによって、スタッフが話しかけやすくなるので、スタッフからの問題点や改善点の指摘がどんどん出てくることを促せます。それも自店舗のクオリティをアップさせるためには重要なことです。

スタッフレベルとお給料

またトレーナー制だけではなく、スタッフのレベルそのものとも時給を連動させましょう。

具体的には、マニュアルの熟達度と実行度をレベルに分けて、全スタッフをそのレベルでランク分けをしましょう。そして時給もそのランクに合わせて、アップさせるのです。それは間違いなく、スタッフの向上心を引き起こします。

店長、経営者の恣意で昇格を決めない

その際に重要なことは、店長や経営者の感覚でそのランクを決めない、ということです。感覚で決めてしまうとランクの納得度がないため、かえってスタッフ間に不満をもたらしてしまいます。そうならないようにするためには、以下の点を合わせて整備しましょう。

・ランクごとの接客内容、調理技術のレベルをチェックシートなどで明文化して、全スタッフに周知する
・ランクアップは店長や経営者が気付いた時に行うのではなく、定期的にテストを行いその結果によって行う

時給を上げることは、店として公式にそのスタッフを「ほめた」ことと一緒です。山本五十六が言っているように、ほめることは非常に重要で、それは言葉だけではなく、「実利」でも行うべきものです。

しかしほめるだけでは自店舗のクオリティは上がりません。時には駄目なことは駄目と叱り、その内容を徹底することも重要です。

たとえば「挨拶」でもよいでしょう。シフトイン時、シフトアウト時に必ず周りにいるスタッフや店長に挨拶をするのを徹底することで、自店舗の雰囲気は格段に良くなります。しかしそれは、店長が顔合わせるたびに口を酸っぱくして繰り返すような徹底さがあって初めて実現します。

今日はとても長くなってしまいました。最後まで読んでくれた方はありがとうございました<m(__)m>

それではまた明日!!


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