記憶の断捨離⓪-3 ~瞑想から催眠状態に入る~

記憶の断捨離術は、自分の本当の気持ちと向き合うことで、過去の嫌な記憶に決着をつけて、心を健康にする心理療法です。

前回は瞑想中に起きる身体の変化について書きました。今回は瞑想から催眠状態に入る方法を説明します。


瞑想には強烈なリラックス効果があるので、通常はすぐに寝つけるのですが、まれに目が冴えてしまうことがあります。実はこれが、催眠状態に入れるときのスイッチです。

背中の血流に意識を向けます。肩甲骨の辺りがぞぞっと寒気がするようになります。

また、あくびをするときの"ずずずーー"という耳鳴りに似た低い音が耳の奥で聞こえてきます(これは手動であくびの準備をすることでも可能です)。

このとき、脳が"この記憶に決着をつけたい"と思っている過去のシーンが独りでに蘇ってきます。忘れたい過去を任意に選んで消化することは出来ませんが、深層心理だけでなく自分自身も日ごろから決着をつけたいと強く意識している過去のシーンであれば、脳もそれを選んでくれる可能性は高くなります。


さて、瞑想では余計な思考を捨てて自分の身体の変化に意識を集中させることが重要ですが、この状態になったら脳の気分のおもむくままに思考を始めて構いません。続けましょう。

記憶にこびりついた過去のシーンがあなたの脳内に再現されてきます。

過去のシーンで、例えば子供時代の自分が今まさに傷ついている瞬間が思い起こされているとしましょう。あなたはそれを、現在の姿で傍観しています。つまりその場面には過去と現在の2人のあなたが同時に存在しています。

現在のあなたは、傍観といっても、あなた自身が過去に体験したシーンですから、あなたは過去の自分に共感することができます。そしてそれは世界の誰よりも深く共感することができ、さらに当時にはなかった知識や考え方などを備えた"成長したあなた"として共感することができるはずです。


記憶の断捨離は、過去に整理できなかった感情の正体を掴むことが目的です。感情の正体に気付くだけでストレスの大部分は解消できることが知られています。

「そんなの、悲しかったに決まっている!」ではなく、さらに一歩も二歩も踏み込んで感情を分析します。今や、あなたは当時より成長していて、想像力が豊かになっているはずです。


そして次にやることは、過去のシーンでのあなたの本音を代弁することです。自分の本音を探るというよりは、考えうるあらゆる気持ちを思いつく端から列挙していきます。自分の気持ちというより、そのシチュエーションで考えられる気持ちを、屁理屈も駆使しながら思い浮かべます。

数撃ちゃ当たる作戦で、そのうち過去の自分の本音にカチッとはまるものが出て来ます。出来たら大泣き出来て、スッキリして終了です。

例えば「人の気も知らないで……!!!」の代弁で大泣き出来たのだとしたら、「そうか、あの時とき自分は、辛かった出来事そのものだけでなく、それを誰も共感してくれなかったことが寂しかったのかな」などと思えるわけです。これが分かれば、現在のあなたが過去のあなたに共感してあげればいいわけです。


今回は催眠で何が起こるかだけを書きましたが、次回は私自身の催眠の具体例として、過去のシーンを紹介します。


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