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最近読んだ本の感想

「リピート」乾くるみさん

 「イニシエーション・ラブ」が有名な乾くるみさん。知人から面白いと聞き、読んでみました。タイムリープミステリというものなのでしょうか。ネタバレ厳禁系です。
しょっぱなから「絶対に何かどんでん返しがある」という予感に満ちているので、続きが気になって一気読みしてしまいました。物語の進行に合わせて少しずつ伏線が回収されていくのですが、中盤からは先の展開がうっすら読めてしまうように思いました。主人公にあんまり共感が出来ないので、途中から物語に没頭出来ず、自分がただの傍観者になってしまったからなんでしょうかね?
でも、すごく面白かったです。
私は不思議大好き人間なので、「運命」について考えさせられる小説が好きです。この小説を読んだとき、命の取り引きは呪いと一緒で、自然の理(ことわり)に反する行いだから、何かしらのしっぺ返しがあるものなのだろうと思いました。

「砂の女」安部公房

 海辺の砂丘の部落に、砂かきの働き手として幽閉された男がじわじわと狂っていく描写がリアルです。部落民も、男と生活をともにする寡婦も、みんな狂っています。比喩表現を多用した、淫靡で狂気じみた描写に圧倒されます。すごいです。
サブタイトル?の「罰がなければ、逃げるたのしみもない」。
この台詞の意味がわかると背筋が寒くなります。人は心の均衡が保てなくなると、その渦中にいる時は自分の危うさに気づけないものですよね。


「無人島のふたり 120日以上生きなくちゃ日記」山本文緒さん

 膵臓癌で余命4ヶ月と宣告され、夫と二人で軽井沢に療養していた直木賞作家山本文緒さんの日記です。
 死を眼前に眺めているのに、軽いタッチの屈託のない文章です。さぞかし読者想いの方だったのでしょう。でも実際には、書くことの出来ないすったもんだがあったのだろうなと想像します。最期まで彼女には物書きの魂が宿っていたのだと思います。

 私はいつ死んでも後悔しない生き方を目指しているのですが、それでも墓まで持ってゆくであろう執着が二つほどあります。おそらくそれは、今生ではどうにもできず、来世に持ち込むのだろうと想像。そんな時、仏教の国、というか宗教におおらかな国に生まれて良かったなと感じます。キリスト教に輪廻転生はないみたいですから。

 では、次は三島由紀夫を読み始めようと思います。


 読んでいただきありがとうございました!いつもの事ですが、全然本の感想じゃなくなっててすみません!


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