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読書感想 田辺聖子 ジョゼと虎と魚たち

Kindle Unlimitedで読み放題になっていたので昨晩読みました。ちなみに映画やアニメは見ていないです。映画も素敵みたいですね。(原作はかなり短いので、相当脚色が加えられているとは思いますが…)


この書籍は9つの恋愛短篇集です。やっぱり、表題作の「ジョゼと虎と魚たち」が一番良かったです。ガッツリ心を奪われました。


はじめて恋愛小説を読んで泣きました。(つっても私は恋愛小説はそんなに読んでないんですけど…)
しかも、出てくる涙が一体なんの涙なのかわからないのです。主人公に対する共感なのか、同情なのか、それとも単純にその世界観に感動しているだけなのか、さっぱりわからない不思議な涙です。

この小説は、バリアフリーがまだそれほど浸透していない、昭和の時代の障害者のお話なので、少し息苦しくなるような描写が多いです。


あらすじとしては、
脳性麻痺(のようなもの)の後遺症で車椅子生活を送る「ジョゼ」と、不思議な縁で彼女の家に出入りするようになった大学生恒夫が、やがて恋愛関係になり、二人だけの世界を作っていくという物語です。


 物語終盤、ジョゼが見た景色に胸が苦しくなります。二人の儚い関係の延長線上には何があるのでしょう…。

 失恋や別離による表面的な悲しみとはまた違う、喪失感とも空虚感ともつかない、圧倒的に底深い世界観が描かれている気がして、それなのにどこか温かく、
読んだあとなんとも言えない気持ちになりました…。この胸に迫る感情の正体は一体何なのでしょうね。

 読んでいただきありがとうございました!
皆様素敵な週末を。





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