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祖父母

富山出身なんだけど、父方、母方、どちらも鹿児島出身なので、祖父母に会いに何度か鹿児島に行ったことがある。
どちらかと言えば、母方の祖父母と会う機会が多く、思い出深いので、そのお話を。


おじいちゃんは、挨拶に関してだけ厳しかったけど、他のことはとやかく言わず、欲しいとねだれば、玩具や服などを買ってくれた。
さすが九州男児というか、成人してからは一緒にお酒に飲めるのが嬉しそうで、顔を赤らめながらずっと微笑んでたね。
家族みんなダウンしたけど、おじいちゃんと自分だけが残って、焼酎のお湯割りを飲んだのも良い思い出。
 

おばあちゃんは、とにかく優しい。
兄の結婚式で祖父母が富山に来てた時、父親と母親が何かの段取りの事で、プチ喧嘩してて、俺は、あ〜また始まったぜ、の感じで無視に近い傍観してたんだけど、その二人の様子を見たおばあちゃんが、急に泣き出してしまった。
言い争いを見るのが辛かったようで。
それでもおばあちゃんは、何も関与してないのに、「ごめんね」と言ってた。


祖父母とも90歳を超えても元気だったけど、おじいちゃんが脚を怪我してからは身体も弱ってしまい、先に亡くなった。
 
母親から訃報の連絡を受け、すぐ鹿児島に向かったんだけど、行くのは5年以上経ってたし、おばあちゃんも辛い中、孫なんかに構っていられないだろうなと思っていた。

おじいちゃんが眠る和室に母親と入り、おばあちゃんの背中に、何から言えば良いか分からないまま「おばあちゃん」と声をかけた。
すると「あら、てっちゃん、ありがとう」と言ってくれた。
この瞬間のおばあちゃんの声のトーン、照明の明るさ、座っていた椅子などの情景は今も忘れられない。
安心感なのか、気遣う優しさなのか、覚えてくれていた嬉しさなのか、分からないけど温かくて泣きそうだったから。
 

そして、後を追うようにおばあちゃんも亡くなった。
 

ネームコーリングという心理学のテクニックで、誰かと会話をするときに相手の名前を入れると好感度アップや脳に快感を与えるのだそう。
うん、それはすごい腑に落ちる。

だって、世界一優しい「てっちゃん」を聞いたのだから。
 
おじいちゃん、おばあちゃん、いつもありがとう、これからも見守っていてね。

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