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[RIZIN43] 考察:鈴木千裕の勝ち筋

北海道で開催されるRIZIN43のメインイベント、クレベル・コイケVS.鈴木千裕はフェザー級のベルトを賭けたタイトルマッチ。

RIZINの団体内での試合では負けが無いボンサイ柔術のクレベル・コイケはRIZIN参戦から連勝を続け、そのままフェザー級のタイトルを手にしている。

その頭一つ抜けた実力もあって今回のタイトルマッチは圧倒的にクレベル優勢の見方が強く、MMAの経験値や技術を鑑みてもその予想はかなりの確率で的中することになると思われる。

この圧倒的な実力差が伺える状況でアンダードッグと見られる挑戦者・鈴木千裕が王者クレベル・コイケから金星を挙げられるとすれば、どんな所に可能性があるのか考えてみたい。

打撃では確実に優勢をとる

この戦いで鈴木千裕が優位を取れる要素があるとすればスタンドでの打撃になる。

組み技では圧倒的に不利なので、鈴木千裕はここで確実に上手を取らなくてはならない。

ただ、鈴木自身が評価しているようにクレベルの変則的な打撃も強力で、ヒットすれば効かせる事が十分出来る威力を持っている。

またクレベルはこれまでにKO・TKO負けを喫したことが無く、打撃によるフィニッシュを防ぐ立ち回りにも長けていることが分かっている。

鈴木は致命的な打撃をもらわないようにしながら、KOとまで行かずともクレベルの動きを鈍らせるだけのダメージを乗せていく必要があるだろう。

この得意な場面で確実に優勢を築くことが鈴木にとってマストな条件となってくるのは間違いないのではないだろうか。

トップコントロール

鈴木が仮にスタンドで優位を取りクレベルを苦しませることに成功したとしても、クレベルは引き込みで強引にグラウンド展開へ持ち込むことが出来てしまう。

なので鈴木はピットブルやAJ・マッキーが見せたように下からの仕掛けをディフェンスしながらトップコントロールを維持することで、引き込みを有効手段として活かせないようにしなければならない。

しかし柔術スキルの差から多くのファイターがここをクリア出来ず、クレベルの攻略に失敗してしまっている。

上を取った状態から攻め急ぐとクレベルの仕掛けに反応出来なくなってしまうので、ディフェンスを重視しながらハーフガードで押さえ込むことを優先とし、コツコツと打撃を加えて着実にポイントを奪い、勝ちに徹することが出来れば鈴木の勝率を上昇させることに繋がるのではないだろうか。

ただ鈴木の性格を考えると、ここでもガンガンに突っ込んでいくことが予想されるので、余程上手く対処出来ない限りこれまでのファイター達と同じ結果に収まってしまうことになるかもしれない。

なのでここでの展開が鈴木にとって鬼門となってくることは間違い無いだろう。

寝技に付き合わない・バックを取らせない

「寝技に付き合わない」これも鈴木のファイトスタイルを考えると選択されないことが濃厚な戦法ではあるが、鈴木にとって比較的安全かつ優位な試合展開を作ることが出来る1番シンプルな方法だろう。

「バックを取らせない」引き込まれた場合は優位を奪える可能性も残っているが、バックテイクされてコントロールされてしまうとフィニッシュを防げてもラウンドを失うことになる可能性は非常に高く、一貫して不利状況に陥ってしまうことになる。

なのでこれはなんとしても回避したい展開になるのではないだろうかと思う。

対クレベルに必要な勝ち方と正確性

スタンドを制しグラウンドを対処することが出来れば、ピットブルやガムロットのように勝ち切る戦いをクレベル相手にも行うことが出来るのかもしれない。

しかしそれには高い技術レベルが必要で、そこに到達出来ていないが故にRIZINファイターは勝てずにいる。

クレベル相手にはミスをしてはいけないが、知識と技術量に差がある状態ではいくら注意してもクレベルからは穴だらけに見えているのかもしれない。

気持ち的にも技術的にも余裕のあるクレベルを相手に鈴木はこれ以上ない内容を正確にミスなく遂行しなければならない。

海外選手のようなガッツとクレイジー

クレベル相手にアップセットをかませるとしたら、鈴木の思い切りの良さなりふりかまわない強引さ、引く場面で踏み込む力強さといった彼自身のカラーが大きく影響を与えることになるだろう。

そういった気持ち面でのタフネスさや真っ直ぐに突っ込めるシンプルな思考という部分では、鈴木は海外選手たちと似たものを持っているように感じる。

Bellatorで活躍する堀口恭司のように海外勢と勝負するのであれば、技術に加えて気質でも勝負していかなければならなくなる。

KSWで王座を獲得しているクレベルはブラジル仕込みのタフな気質を持っているが、鈴木はその部分でクレベルに対して勝負していける貴重なファイターなのではないかと思っている。(RIZIN内では)

この鈴木の気質がクレベルの手を焼かせ、小さな可能性を手繰り寄せるきっかけとなっていくかもしれない。

変わらない圧倒的不利の事実

何があるか分からないという所から鈴木千裕が勝つための流れや要素を考えることは出来ても、総合的に圧倒的な不利であるという事実は変わらないだろう。

あらゆる局面で仕留めるチャンスを得られるクレベルの攻撃を防ぎながら鈴木は自分の試合を作っていくことが出来るのか。

豊富なカードを持つクレベルに対して鈴木はミス無く試合を進めながら少ない切り札で崩していく必要がある。

スタミナが減っていく中で高い集中力を保ちながらクレベルの仕掛けを防ぐことが出来れば鈴木千裕にも可能性が残るだろう。

しかし力で技術を挫くといった根性論だけでなんとかしようとしてしまうと、「考えて」戦う選手には到底勝つことは出来ないだろうと思われる。

情熱的な狂気はそのままに冷静な思考も持ち込むことが出来れば、鈴木千裕の危険性はより高まることになると思うので、是非とも今大会のメインイベントとしてタイトル挑戦者の輝きを見せてくれることを期待したい。

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