エッセイ : 欧州で食べた朝ごはん 9 / チュロスと珈琲の朝ごはん スペインのバルで食べたタパス料理とガラスのコップに入った珈琲

僕と奥さんの新婚旅行の最終目的地はマドリードだった。アンダルシアを廻り、バルセロナに行き、
飛行機でマドリードに到着した。

マドリードで食べた最初の朝ごはんは、チュロスと珈琲だった。スペインの一般的な朝ごはんのひとつでもある。
日本で売っているチュロスと違い、スペインのチュロスはサクサクとしていて香ばしくて美味しい。
また、日本のチュロスの様に長くもない。
そして、チュロスをガラスのカップに入った温かいチョコレートソースにつけながら食べる。
これは美味しかった。

スペインの珈琲は日本で言うとエスプレッソで濃い珈琲だ。
ミルクを入れて飲むのが一般的で、ミルクや珈琲の配分によって名前が違う。
1番多く飲まれているのがカフェ コン レチェと呼ばれる珈琲とミルクが同量のカフェオレ。
カフェオレと言っても、元々濃い珈琲なので、奥さんは途中からカフェ マンチャードと呼ばれる、
ミルクが70%位入っている珈琲を飲んだ。

朝ごはんにこの苦いカフェオレを飲みながら食べる
チョコレートソースつきのチュロスは最高だと思った。しかもスペインでは、珈琲1杯の値段が日本円で150円位だった。

僕たちが新婚旅行に行ったのは今から30年以上前のことだ。その当時、ホテル、空港、公共施設や一部レストラン以外は英語が通じなかった。タクシーに乗ってもドライバーの人に行き先を分かってもらうだけでも大変だった。
1番大変だったのは、ホテルのレストラン以外で食事をする時、スペインに限らずヨーロッパでは、
食事のメニューに写真が載っていなかった。
料理の名前とその料理の簡単な説明が書いてあるだけだった。英語表記もされていたが、どんな料理か想像も出来なかった。

そこで僕たちが選んだのがバルだった。
スペルはBarで英語読みするとバーだが、スペイン語読みするとバルになる。
若干のカウンター席と立ち飲みが基本。夜はもちろん営業しているが、昼も営業している。
ここで提供される料理は、タパスと呼ばれる小皿に盛った料理と、ピンチョスと呼ばれるパンに具材をのせて長い楊枝の様な物で刺した物。これが、沢山
店に並んでいる。どんな料理か一目で分かる。
しかも、いろんな種類の料理が並んでいて、目移りするほどだ。

スペイン語は喋れなくても、少しの単語で何とかなった。
スペイン語でプリーズはポルファボール。
数字の1はウノ、数字の2はドス、自分はミ、
妻はエスポア、ありがとうはグラッシャス。
コンは英語のwith、シンは英語のwithout
水はアクア、ワインはビノ、ビールはセルベッサ。
コーヒーはカフェ、ミルクはレチェ。
そして会計は、ポル ファルバ パガ ラ ファクツラと
言えば金額を書いた紙を持って来てくれた。

バルに入り座る、そしてお店の人にポルファボ〜ル
と言うと来てくれる。
そして、まずお水、
アクア コン ガス(炭酸水)
アクア シン ガス(炭酸の入っていない普通の水)
があるので、僕たちは普通の水が飲みたかったので
ドス アクア シン ガス ポルファボール、と言うと
水が2つ出て来た。
夕食でビールが飲みたい場合は
ドス セルベッサ ポルファボール と言えばいい
ワインの場合は
ドス ビノ ポルファボール、そして赤か白か言う時は
英語でレッドとかホワイトと言ったら通じた。

タパス料理で有名なスペインの生ハムが手頃な価格で食べれたし、マッシュルーム料理から、肉料理、魚介類の料理等いろんなスペイン料理を食べることが出来た。
僕と奥さんが気に入った料理の1つはホタルイカの唐揚げだった。ホタルイカを唐揚げにすると美味しいのに、なぜ日本にはないのかなぁと思った。 

そして最後に珈琲を飲んだ。
ウノ カフェ コン レチェ ミ, ウノ カフェ マンチャード エスポア ポルファボールと言うと珈琲が出て来た
温かい珈琲がガラスのコップに入って出て来た。
バルで珈琲を頼むとコースターを敷いてくれて、
ガラスのコップに溢れるくらい入った温かい珈琲を置いてくれる。
珈琲自体も美味しいが、ガラスのコップで温かい珈琲を飲むというのが良かった。バルのなかで飲んでいる珈琲、バルの雰囲気に合った珈琲だった。
珈琲の入っていたガラスコップは、スペインで珈琲用のコップなのだと思うが、シンプルな形で大きさも縦の長さも丁度いい、という物だった。
僕は珈琲を飲みながら、ガラスのコップに注がれた珈琲自体を楽しんで見ていた。

日本に帰って来て、スペインで珈琲用のガラスのコップを買って来なかったことを後悔した。
僕はスペインバルの真似をして、珈琲をガラスのコップに注いで飲んだのだが、ガラスのコップの形か合わなかった。
いろんなガラスのコップで試したがダメだった。
先日、奥さんとデパートに買い物に行った時に、
食器コーナーも見た。僕はガラスのコップを見ていた。 
あれから30年以上経つのに、僕はまだ温かい珈琲に合うガラスのコップを諦めきれずに探している。





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